第2話 狼鍋
「うーん・・・
野っ原って・・・
ヒマ・・・」
歩いているのは、黒猫系の白いローブを着た幼女と同じようなローブの少年。
「じゃあ、あんたの姉さんのケーキ食べる?」
少年は、首を左右に振る。
「さすがに・・・
トラルティア殿下への献上品ですよお・・・」
幼女は、キティルハルム王国王太子ニウ・アニス・キティルハルム。
少年は、王太子補佐官レアン・ミケランジェロ。
ふいに、森から狼が飛び出し、二人に襲い掛かった。
アニスの目が鋭くなり、狼の懐に飛び込む。
「ごちそうだ・・・」
「ぎゃいんッ!」
アニスは、鉄拳を狼の股間に叩き込んでいたのだ。
「うあ・・・」
狼の「股間にあった物体」は、「消滅」し、血の塊となっていた。
レアンは、どこからともなく簡易式のかまどと鍋を用意している。
物体召喚術だ。
「待っててね。もう少しで獲物が獲れるから!」
「はい!」
レアンは、かまどに薪をくべ、魔法で火をつける。
狼は、そそくさと逃げようとするが、痛みのあまりうまく動けない。
「野獣のくせして、人を襲うのは、自分を『食っていい』ってことよ。」
アニスは、言うなり狼の腹部を殴る。
笑顔が怖い。
「ぎゃん!」
そのまま、狼を横に転がす。
「ふんッ!」
腹部・・・特に腸のあたりを踏みにじる。
ぐしゃっ!
狼の皮膚が破れ、腸が飛び出る。
べきっ!
そのまま、脊柱を砕く音がした。
「「いただきまーす!」」
二人して、「狼鍋」を食す。
「エラいもん見た・・・」
東トラルティール騎士団長ティアムルは、物陰でガタガタと震えていた・・・