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第11話 魔剣

その剣は、今はラムンセンにいるホビットによって鍛えられた剣の一つだった。


光の勇者レイストの「レイストの剣」。


国王トラルティアの「トラルティアの剣」。


そして騎士団長ティアムルの「ティアムルの剣」。


同じ鍛冶師によって、同じように作られながら、全て違った運命を辿った。


レイストの剣は、レイストがデラルを倒した時に折れてしまった。


もっとも、二代目の時代に作り直されるが。


トラルティアの剣は、狼の女王と呼ばれる彼の子孫が携え、魔王の一人と対峙する。


最後の、ティアムルの剣・・・


これは、「分裂戦争」で、血を吸い過ぎたため、呪いの剣と化してしまった。


剣は、ものすごい威圧感を放っていた。


「ところで・・・

ティアムル様とレイチェル様は、どういうご関係ですか?

同僚・・・というだけですか?」


アニスが、尋ねた。


ティアムル邸の倉庫の地下室・・・


そこは、殺風景であったが・・・


「うーむ・・・

前トラルティール時代に、傭兵をしていたころに陛下に「雇用」されたというか、「拾って」いただいたというか・・・」


「そうですね。私も、ティアムル様と同時期、同じような感じで。」


「で、意気投合しつつ、見聞の広さと実力を買われ、侍従となった訳です。」


なるほど。


ウズドガルドが、面白がらない訳だ。


「ふーん・・・トラルティア陛下って、人を見る目がありそうですしね。」


「ええ。」


そういえば、アニスの監修で結成された『トラルティア騎士団』にも、獣人は何名かいる。


「ところで、お二人の魔法力は、性質が似ていますよ。」


「つまりは・・・

私の魔法力をレイチェルの魔法力に変換して、「私に近い魔法力」にしか反応しない封印術式を施せるということですか?」


後の「解呪ディスペル」に似ている。


「はい。」


早速術を、開始する。


すると、剣から威圧感が消える。



やがて、その翌日に、ティアムルとレイチェルは結婚。


アニスとレアンは、二人からブーケをもらい、キティルハルムに帰った。


言うまでもなく、ティアムルとレイチェルこそが、二代目勇者レイストこと「レイスト・ティアムル」の遠い先祖である。

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