プロローグ
キティルハルム王宮・・・
キティルハルム女王ニウと、評議員たちが会議をしていた。
「あの、ウズドガルド王子・・・
許さんにゃ!」
ものすごい殺気を、発散させ、商工ギルドマスター・ニス・ミケランジェロは、お怒りだった。
「ニス閣下・・・
カッカしていては、血圧が上がりますぞ。」
宰相ベルニア・エラルが、髪をかき上げて言った。
「オヤジギャグは、別にいいにゃ!」
「へぶっ!」
ニスの振り上げた陶器は、割れずに、ベルニアのどたまにダメージを与えた。
彼女は、かつての王都襲撃を防衛した、第一人者で、敵集団に「失敗作」を投擲しまくった、ミケランジェロ一族当主としては珍しい「陶芸家」だった。
事の起こりは、戦争に参加できなかったことに対する謝罪に、「女王補佐官」を使いに出したが、彼が殴られて帰ってきたこと。
キティルハルムでは、重要な使者には女王や女王補佐官を送る。
それは、相手の「信」を得るための「様式美」なのだが・・・
「あの猪王・・・
許さんにゃ・・・」
ニスの怒りは、評議員全員を代弁していた・・・
ここに、「やれやれ・・・」という表情をした、白いローブの幼女とそれに付き添い、なだめるかのような表情の少年がいる。
王太子ニウ・アニス王女・・・
後のニウ二世と、その補佐官レアン・ミケランジェロだった。
つまり・・・
この事件は・・・
「トラルティールのウズドガルド王子が、キティルハルム王国に宣戦布告」したに等しいのだ。