第二話
俺は目の前の可笑しすぎる状況を見て逆に落ち着いてしまった。
今、俺が出来ることは状況と場所の確認だけなので周囲の探索をすることにした。すぐ近くに鞄が落ちていたためスマホを取り出し、時刻などを確認してみたがまるでバグったかのように時刻のところにノイズがはしっていた。それ以外の機能も電波が通じず使えるものは無かった。俺は使えないスマホを眺めながらいくつかの仮説をたてていたが今考えていても情報が全く足りず答えは出る気がしないので諦めて探索を始めた。
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鞄に入っていたノートに地形を書きながら数十分歩いてた。歩いても周りには植物しかなかったが、開けた場所に腰を掛けるのにちょうど良さそうな倒木を見つけた。此処には多くの紅葉が見られた。倒木に座り此処迄で見つけた不可思議な点をノートにまとめた。
1つ目は気候と生えている植物である。此処は何もしていなくても汗が出る程暑い、日差しが強いため気温が高く、湿度が高い、地球の熱帯地方に近い気候なのだが生えている植物が明らかに可笑しい。熱帯地方に多く分布している常緑広葉樹やシダ、つる植物が生えているのは分かるが、日本で見るような桜があった。熱帯地方で桜が野生下で咲くことはできない。人工的に春化処理すれば分からないが野生下ではあり得ない。またその他にも高山植物の特徴によく似た植物もあった。また植物の中にはこの場所のように紅葉して、散っている場所もあった。実際の気温が分からないため決めつけることは出来ないが全く違う環境で育つ植物が俺の歩いたこの範囲の中に自生している事は地球ではあり得ない、これが1つ目。
2つ目が植物のサイズである。途中で見つけた桜は、日本に生えている物の数十倍はあるのではないかと思う程に大きかった。単に樹高が大きいと言うだけでなく、花びら一枚一枚が日本にあるものとは比べ物にならない程大きかった。桜だけでなく、此処にある全ての植物が地球の植物の数十倍のサイズになっている。
そして最後が全く生物が見付からないということである。これだけ多様な植物が自生しているにも関わらず虫の類いを全く見ていない、見逃している可能性もあるがそれでも1匹も見ていないのはおかしい。また鳥や獣の鳴き声や足跡、糞等生き物の痕跡が見付かっていない。しかし時々、何かにじっと見られているような視線を感じていた
この3つの不可思議な点から俺の立てていた仮説が当たっているような気がしていた。
その仮説とは、此処が地球ではないと言う事である。植物のサイズで地球ではない可能性はあったが、種類によってほぼ確定となった。だが此処が地球ではないと分かったからといって此処が何処なのかが分かったわけではない。それに地球ではない事と周りの植物のサイズから俺は一つの嫌な予感がしていた。
それにしても此処は暑い、流石にそろそろ水分がほしくなった。まぁこれだけの種類の植物が有るんだタビビトノキやキャッツクローなんかの水を多く含む植物位有るだろ。
俺は水分を探すため立ち上がろうとすると、
ガサガサ、ガサガサ、パキパキパキッ
歩き回った時とは違い明らかな生き物の気配に、俺は警戒しその場に屈んだ。耳を澄まさなくても聞こえてくる枯れ葉の音はそこらじゅうから聞こえており正確な場所が分からない為何処から襲われるかが分からない恐怖に駆られていた。更に、枯れ葉の踏む音の大きさから恐らくかなりでかいのも恐怖を煽る一つの要因だった。感じる視線も歩いていた時よりも強くなっている。姿の見えない未知の生物に怯えながら、周りを警戒していると何かが震えるのが視界の端に写った。俺は此処に来て何度も衝撃を味わっていたが、この衝撃はそれを上回ってきた。何故なら俺の視界で震えているものそれは俺が今まで座っていた倒木だったからだ。俺は何が何だか分からず目を見開いていると、ミシミシという木が軋むような音と共に倒木から足が生え体を浮かせた。そして、倒木だと思っていた物の端からナナフシよく似た顔を出した。俺は腰を抜かしてしまいその場に座り込んでいた。倒木ナナフシは何処に収まっていたのか分からないぐらい長いあしを使い顔を此方に向けてきた。
俺の嫌な予感が当たってしまっていた。此処にある植物のサイズからこの環境に適応した他の生物も巨大化している可能性があった。地球で昆虫が巨大化するには不可能な点が様々存在するが少し見ただけでも分かる程足の太さが体に対してかなり太い、恐らく重くなりすぎた体重を支えるためだろう、外骨格や酸素を取り込む気門に関しても何かしらの変化が起こっていても不思議ではない。
地球に存在していたナナフシは草食だがこのナナフシも草食であるとは限らない。ナナフシは、虫特有の感情の無い瞳でじっと此方を見つめていた。
いや正確には俺の背後に目を向けていた。ナナフシの衝撃で忘れていたが俺の周りに謎の生物がいることを失念していた。俺は慌ててナナフシの視線の先に目を向けるがそこには何もいなかった。正確には何もいるようには見えなかった。俺はナナフシに警戒しつつじっと見つめていると、枯れ葉に二又に指がわかれた足跡が四つ等間隔に並んでいた。足が有るであろう部分を凝視していると、そこの風景が急に歪み出した。すると突然ナナフシが威嚇のためなのかギィギィと耳障りな音を出し始めた。俺がナナフシの方を向こうとした瞬間俺の頬を強烈な風が叩いた。あまりの突風に目を瞑ってしまったが目を開けると先ほどまでいたはずのナナフシが消えていた。周りを見渡すが姿が見えないが、俺の頭に何かがパラパラと落ちてきた。よく見るとそれは木屑のようだが石よりも硬い何かだった。俺は木屑の出所を探すため見上げると、ナナフシが体の一部を割られながら宙に浮いていた。ナナフシがもがいていると、ナナフシの割れている所の空間が再び歪み始め更に色がつき始め謎の生物がその姿を現した。
そこには、黒色の肌をし首の長いカメレオンに近いがこれもまた植物と同じように巨大な生物がナナフシを咥えながらギョロギョロと片方ずつで別々に動く目で此方を見ていた




