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今日の夜九時に待ってる。

それからという物、


智夏は何度か俺に話かけてきたけど


どれもそっけない返事をした。


呼び方だって一様気を使って苗字で読んだし。


これだけが俺の精一杯の配慮だった。


あの朝錬の日からちょうど一週間がたった。


時間はもうすでに放課後。


部活もひとしきり終わってそろそろ学校から生徒がいなくなるころ。


俺もそろそろ帰らなくちゃなぁ…。


準備を終えて教室を飛び出す。


夏が近いからといってまだそれでもやっぱり梅雨は梅雨だ。


じめじめと曇っていて日が出ていない。


こりゃ雨降ってきそうだな。


足を早めて校門へ向う。


しかしそこには今もっとも会いたくなかった人物がいた。


夕日を受けて眩しそうに俺を見る。


「翔太…」


智夏が俺の名前を呼んだ。


顔は悲しそうに俯いている。


大河が一緒じゃないのが救いだ。


でも、最近この二人が一緒に帰ってるところ見てないような…。


「あのさ…」


智夏が重い沈黙を破る。


でも情けないことに、俺にはまともに話す勇気がない。


おもわずそっけない返事をする。


「悪い、俺もう帰るから」


「ま、待って!!」


「?」


智夏が声を張り上げる。


部活以外では珍しいことだ。


「えっと…今日の夜の九時に…ここに来て?


待ってるから…」


消え入りそうな声でそう俺に言った後、


智夏は走り去っていってしまった。


今日の…九時?


はっきり言って行きたくない。


待たれても困るんだけど…。


でも、俺にはすっぽかすことも出来ない。


意味はわかんねーけど、行くしかないのか?

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