表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/11

別れを告げに。

次の日。


まぁ、当然俺のテンションはもちろん最悪なわけで。


これまでないくらいブルーなわけで。


一回は休むことを考えたわけで。


…でも、そんなプチ・大それた事を俺が出来るはずもなく。


部活の朝錬もあるし。


しかたなく早起きして


取りあえずは登校した俺。


それに今日は女子テニス部は朝錬がない日。


ブルーな気分を吹き飛ばすのには最適だった。


パコーン… スコーン…


テニスボールのおなじみの音。


…もう俺にはテニスだけだ…。


こういうこと言う柄じゃないけど今はこんなことを言えるほどマジ。


とりあえず朝錬が終わったらあいつらと逢わなくちゃ行けないわけだし


それまでにはテンション上げとかなきゃさすがにまずいよなぁ。


テニスのボールと頭の中にあるもやもやについてのみ集中する。


…つもりだったんだけど。


「翔太っ!!!」


後ろから聞こえてきた聞きなれた声。


そして、


今最も聞きたくなかった声。


なくなりかけてたもやもやが一気に逆戻りしてくる。


こんなにも、簡単に決意が壊れるなんて。


俺もまだまだだなぁ…。


ラケットを振る手を止めた俺のところに


ゆっくりと智夏が向ってくる。


俺はまだ振り向いてない。


今なら…まだ大丈夫だよな?


今ならまだ…すっぱり別れてやれるよな?


顔見たらきっと…アウトだな。


「智夏」


「?どうしたの?」


「おめでとう」


「え?」


智夏のおどろいたような声。


きっと今日の朝、早く来て俺に言うつもりだったんだろう。


先にいえて本当によかったと思う。


面と向って言われたらやばいし…。


なにより、俺はまだ好きだし。


まだ嫌われたくないというのはやっぱり男らしくないだろうか?


でも、そうなこともうどうでも良い。


今は開放感でいっぱいだ…。


こんなことを言ってのけた自分をほめてやりたいぐらいだ。


「仲良く…やれよ?」


「え?」


それだけ言った後、俺の側に転がっていたボールを拾い上げる。


もう話さなくて良いように…ありったけの力を込めてサーブを打つ。


「翔太?」


…出来れば、もう名前もよんで欲しくないんだけど。


それは俺のわがままだろう。


だからせめて、


「危ないからコートから出てろ」


今だけは俺から離れて欲しい。


せっかくここまでやってきたのに今にもそれが全部壊れそうなんだ。


これ以上ここに智夏がいたら…。


これで、全部終わったんだよな。


じゃぁな。俺の初恋。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ