表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/23

2.コボルト退治依頼_1

「さて、まずはA子御一行にこなしてもらう依頼だな」


結界の類の魔法も解かれ、酒場然とした騒々しさの中に四人も戻ってきた。

同時に、少女——A子達は先程までとは異なり、冒険者としてこの宿屋に所属することとなった。依頼の斡旋者として、マスターはぺらぺらと乾いた音を立てながら紙の束を捲り出す。マースの、「本当にそのチーム名でいくのか」と言いたげな視線などは気にも留めない。


「ふむ。最初は物探しやペット探しなんかから名を売っていくものだが。……」

「……」

「……」

「?」


目が合おうとも、ともすれば不機嫌としか見られない無表情を崩さない二人と、首を傾げながらもとりあえず笑みを浮かべてみせるコウにマスターは深くため息をつく。しかし正直に「コウはともかくお前さんら二人には不向きだな」などと言ったところで反感を買うだけなので、黙って猫や犬、アクセサリーのイラストが添えられた依頼用紙たちは捲るだけにした。


「となると、魔物退治か。あまり最初から無茶はさせたくないんだが」

「……その魔物退治って、どういうのが相手なの?」

「依頼によりけり、だが、例えば今ある依頼だと、ゴブリンやコボルトなんかがいるな」

「具体的には?」

「ふむ。具体的に、か」


A子の質問内容を汲み取り損ねかけたが、間もなく察したマスターは言葉を続ける。


「ゴブリンの中のこの個体、なんていうのはなかなか無いな。洞窟に住み着いてる奴らだの、畑を荒らしに来る奴らだの」

「そいつらを全滅させろ、って依頼?」

「物騒だがまあ、そういうことになる」

「ふーん」

「ふむ。今挙げたコボルト退治はどうだ? この街の中の話だから、遠出の必要もない」


言いながら、依頼の束から一枚の紙を一番表に持ってくる。勿論、まだA子達には見えないように。


「守秘義務なんだから、もう少し良い紙を使ったらどうだ」

「お前さんらがでかい依頼をこなしてくれるようになれば考えるさ」


マースの皮肉げな声に、マスターもまた負けじと笑ってみせた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ