8話 サラ 一足お先に街に到着
う~ん……………
ヒマっ!
護衛についたはいいけど、ヒマッ!
馬車に乗ってお喋りしたいけど、私酔っちゃうし。
降りて歩いてみれば辛気臭いし。
街道に怪しい気配は一つもないし。
……………
ヒマっ!
あ~~~………暇ぁ~……
よしっ! 私とりあえず偵察に行くっ!
なんせ暇だから! もう偵察!
てゆーか街にいくー!
いや、大丈夫!
だって本当に危ない気配が一つもないし、あなた達の気配は覚えたから何かが近づいて来たり、おかしい動きがあったら駆けつけるから!
本気で走って駆けつけるから!!
ねっ?
流石ニアさん! 話がわかる~♪
って、副隊長さんっ!?
ご主人が『いい』って言ってるのに貴方は何故に!?
うわぁ~……この人真面目な人だ~。
アルフレッドさん達みたいで好感持てるけど……今は嫌いだわ。うん。
ニアさんが『いい』って言ってるんだからいいじゃない! この頑固者っ!
むぅ~……いっそ眠らせ……ハッ!?
それはダメ本末転倒! あぶないあぶない!
はぁ~……ローザ姉とかだったらうまく切り抜けるんだろうなぁ。
……こういうの苦手だぁ……はぁ。
いいですよ。大人しく歩きますよ。はいはいはい。
『はい』は一回?
ええそうですね。わかってて言ってますぅー。ぷぷーだ。
え!?
おぉぉぉぉお~~~。
さっすがニアさん。
そうよそうよ! 明日のお昼頃に着きますーって伝言するわ私!
私の足なら今日の日の高い内にスーカさんの働いている所に着けるわっ!
さっすがニアさん!
うんうん! ちゃんとした理由だわっ!
いいじゃないの! 副隊長!
スーカさんの事もどんな人か確認しといてあげるから!
先に言っとくけど興味本位じゃないよ! 全然違うよ。
……お?
なんかすごい悩み始めた。
……もう同意得たってことで、ほっとこう。
じゃ行ってきまーす!
本気で走っちゃうぞーー!!
***
着いたー!
うん! やっぱりこの気配はあの武器防具屋さんの気配だ。
領主の館に居るスーカさんに会うにしても、まず館の場所知らなきゃだしなぁ……ちょっとイヤだけど行きますか。
へ~。
結構発展してる街なのね。
王都ほどじゃないにしろ領主もさぞ立派な人なんでしょうね。
出店もいっぱい並んでるし、うんうんいい街。
あ。おいしそう。
ありゃ? 意外と高い。
お。こっちは安い。
う~ん。
……
どうせなら高い方で!
いったっだっきまーす。
んん?
……ん~……んー。
……うん。
とりあえず高かったし美味しかった。
そう思っておこうっと。
あ。寄り道してる場合じゃなかったわ。
武器防具屋さんに急ごう。
***
こんにちは~。
すみませーん。ちょっと聞きたいんですけど。
えっと実はかなり前にお兄ちゃんと来た事あるんです。
覚えてないですかね?
覚えてないかー!
お兄ちゃんその時『もし来たらいいのにして』って、なんかそんな感じに言ってお金渡してたような気がするんだけどなぁ……全然覚えてない?
まぁ確かに情報がふわっとしてたらそりゃあ難しいわよね。
うーん。
お兄ちゃんは一応元勇者なんだけど……ドゲドーって名乗ってた時もあって……
そうそう!! そのお兄ちゃん!
さっすがお兄ちゃん! 顔ひろーい。
私、お兄ちゃんとここで防具を揃えたの! 覚えてない??
ほら、この小手とか! って小手はもう原型変わってるか……この具足とか胸当てとか。
ありゃ。普及品だからわかんない?
うろ覚えすぎか~。
あ~……やっぱりコレ出さなきゃ思い出さないかなぁ。
……
はいコレ。見て。
…………うわぁ!
ヤダヤダヤダ! その顔怖いっ!
そう! 見覚えあるでしょっ! そうよあの時の女の子よ!
いやっ! だからその顔怖いっ!
もう私かなり強くなってるからそれ以上近づくと蹴るわよ!
……そう。
ソコを。
うん。
よし。
はぁ……なんか昔を思い出しちゃったわ。
焦ったー。
え? そう!?
そんなに成長した!?
そうかなー! えへえへへ。
そうなのかもなー! えへへへ。
……
…………いや……売りませんからね。
あっ! こんなことしてる場合じゃなかった!
領主の館を教えて欲しいんです。
そこのスーカさんに用があって。
………なに?
その顔。
え?
なに?