7話 サラ お嫁さんと移動開始。
隊長さん……わかってるよね?
うん。ならいいのよ。
私ヒドイ事って嫌いだからね。
トスカさん達にヒドイ事したら、そのヒドイ事が自分に帰ってくるんだよ? 分かった?
え? ……私が……隊長のお仲間さんをのしちゃったのは……ホラ。
……人助けの気持ちでの行き違い?
そう! 行き違いだからいいの!
うん!
……でも…本当にヒドイ事しちゃダメだよ?
ご飯抜きとかもだよ!?
おなか減るのってほんと辛いんだから。
うん。
よろしくね。
じゃあ私ニアさんを送るのに同行してきまーす。
***
馬車って揺れるのね~。
お兄ちゃんが動かす馬車は揺れないしなぁ……なんかいつもと違い過ぎて…………気持ち悪くなりそう。
うぇ。
…………あ~。
気を紛らわせるのも兼ねて、トスカさんの件もあったしニアさんにもちゃんと、お話聞いておこう。
ねぇねぇ。ニアさんはストーカーじゃないよね?
……
そうだよね。
向こうから求婚されて向かうんだもん。
ありえないよね。ごめんね。
で、スーカさんていうのは貴族なのよね?
一体どこで出会ったの?
へぇ。
領主の館で騎士をしてるんだ。
ニアさん家は領主の御用達商人で顔を合わせる事が多かったのね~。
……そういう出逢いもあるのか~。
しかし響きからしてカッコイイね『騎士』って。
え? 見た目もカッコイイって。
流石恋する乙女!
そうよね~。
私もお兄ちゃんが何してても素敵に思えるしなぁ。
あ~……なんだか会いたくなってきちゃうなぁ。
ね~……切ないよね~。
会えない時間って。
でもいいじゃない!
ニアさんはもうすぐ解消されるんでしょう?
ウリウリ~。
うらやましい~!
んもう幸せそうなんだから。
……はぁ~。
私も幸せになりたいなぁ……
でもお兄ちゃんにはお嫁さんいっぱいだしなぁ……
ニアさんの所もそう?
お嫁さんはニアさん以外にもいたりする?
いないのか~。
……うっらやましいっ!
愛情独り占めとか羨ましいっ!!
……でもこればっかりは仕方ないよね。
好きになっちゃった人が好きになっちゃった人だし。
はぁぁぁ~~~……
……あぁ。ダメ。
やっぱり揺れる馬車ダメ。
私これ以上乗ってたら危ない。
ちょっと降りて歩くね。
大丈夫。止まってもらわなくても全然降りれるから。
よいしょっと。
うえぇ……
もう馬車乗りたくないよ私。
はぁ。歩いて元気取り戻そうっと。
ん? 副隊長さんって若いのね。
へ~! ニアさんと幼馴染なの!?
あら?
あらら?
この覇気の無さに、元気も無さげな顔……
もしかしなくてもニアさんの事好きなんじゃない? この人。
む……むむむ……
……いや何もしない!
こういうのは自分で考えて動かないとうまくいかないもんね!
何か余計な事して私のせいにされてもイヤだし。
…………
しっかしニアさんって人気あるのね。
……成長か。
……成長が足りないのか?
私には。
どうやったら成長するんだよー!
この胸はあぁぁあぁぁ!
……いけないいけない
逆に考えるのよ。
そう逆に!
お姉達はみんな大きい!
私は希少価値! 個性よ個性!
中途半端な大きさだったら埋没しちゃう!
コレはメリット!
……
とはいえ欲しいよぉ~~~!!
あぁ……なんかもう、ストレス解消したい。
でも道中な~んにも危ない気配無いのよね。
向かう街までの距離は……まだ遠いなぁ…ん?
…?
……
………なんだっけこの気配。
……どこ…か……で、感じた事がある様な……
あ~~~!!!
わかった!
この気配!
私の防具をお兄ちゃんが揃えてくれた街だ!
……うわぁ嫌な事思い出した。
短剣は隠そう。
なんかイヤな予感がするよ。