4話 サラ 情けは人の為ならず
あれれ? やっぱり違った。
商隊の人じゃなかったんだ。
ごめんね。間違えて。
何者なの?
男の人5人組がこんなところで馬車引いて。
ん? ちょっと失礼。
荷物は……ない…ね。
馬車が全然空じゃないの。
あ。分かった!
これから入るのね? 荷物。
……え? 人?
人を運ぶ用って言った??
言ったよね?
……奴隷商だったら私大っキライだから! 絶対手を貸さないよ?
てゆーか邪魔するしっ!
…………
あ。ゴメンね。
違ったのね。
ううん。 全然短刀に手をかけてないよ。
気のせいですわよー。イヤですわ、ウフフフー。
早とちりしちゃってゴメンなちゃい。ゆるして♪
てっへへ♪
…………なによ。
そこはもっと崩れた笑顔で許してほしかったよ。
ぎこちなく許すよりも『こんのお茶目さんめ♪』くらいのノリが欲しかった。
だって精一杯可愛く笑ってみたんだからっ!
……でもいいんだいいんだー。
もう……慣れてるし。
これまでも助けたら助けたで自分より強いとか思われると、カワイイって思ってくれなくなること多かったし流石にもう慣れたもん。いいもん。別に。
お兄ちゃんは可愛いって言ってくれるし。いいもん。
はぁ……
強いって孤独よね。
あ。これが分かっただけでもいい女になったかもしれない!
よし! もう帰ろう!
おうち帰ろう!
護衛?
…………う~ん……気が変わりました!
ごめんなさい!
じゃっ!
ちょっとー。私の進もうとする方に回り込まないでよ~。
いーえ。知りません。
報酬なんて必要ありません。
こう見えても食べるには困っておりませんので。
え? ……甘味サービス?
……いやいやいやいや。
マオーバーガーのアイスの方が絶対おいしいし。
うん。大丈夫です。お気遣いなく。
お嫁さん迎えに行くとか言われても関係ないし。
……ん? お嫁さん?
え?
ちょっと何それ!
プロポーズ!? プロポーズしに行くの??
キャー!
ちょっとそれ大変じゃない!
なになに!? もしかしてさっき襲われてたのもその関係!?
え。そうなの!?
……障害のある求婚。
素敵すぎー!!
あ!? 相手気絶させちゃったけど大丈夫!?
もしかして私スッゴイ邪魔しちゃった!? ごめんなさいっ!!
……よかったー。
問題ないならホっとしたよ。
え!? 明日までに着かないと求婚のチャンス無くなっちゃうの!?
ええええ!? 相手が貴族と結婚させられちゃう!?
ちょっと何よそれ!!
急がないとダメじゃない!! 早く!!
早く行くわよ!! なにのんびりしてるのっ!!
ホラ駆け足!!
***
はーい。
相手先の方々ゴメンなさーい。
ちょっとオヤスミしててくださいね~。
ていっ!
ぐるぐる巻きー!
気絶した人が回復したらほどいてもらってねー。
みんなおいでー。もういいよー。
とりあえずこれで道中の障害はなくなったから大丈夫だと思う。
いそご! いそご!
あ~でも、もうしばらく進んだら日も暮れるし、野宿した方がいいんじゃないかな? それとも進む?
ここまで来れたら野宿しても着けるのね。
じゃあいっか。
そだそだ。
ちょっと色々聞かせてほしいですよ!
求婚相手との出会いとか!
え? 恥ずかしいから贈った物とかの話だったらいい?
ケチー!
でもまぁ、それでいいわ!
おしえてー!
へ~。
……季節の花と一緒に蜂蜜酒? ……ふーん。
……絵画? ……ふ~ん。
……貴金属 ……ふ~ん。
え?
イヤ……うん。
素敵だと思いますよ。うん。
感動薄い?
え~……だってぇ。
わたしぃ、これでもぉ? 竜の鱗とか爪を贈ってもらったことあるしぃ。
ちょ!
嘘じゃないし!
本当だしっ!!
いやいやいや! 夢でもないからね!
ちゃんと貰ったから!!
そりゃあ超超超高級品だし、嘘だと思うかもしれないけどさ!
ちゃんと貰ってるから!!
……
あ~もう!
じゃあコレっ! これ見なさいよ!!
竜の爪で作ってくれた短刀!! 私だけの武器!!
……
ドーヨドーヨ!
そうそう。よくできてるでしょ?
はぁ? 偽物には見えないじゃないわよ!!
あったま来た! ちょっとアンタ! 剣を持ちなさいよ!
もう! 戦いやしないわよ! 大丈夫よ!
ホラ! さっさと剣を抜く!
いくわよ!
ていやーー!!
……マタツマラヌモノを切ってしまった。
え?
いや……お兄ちゃんに言えって言われてるから。うん。
見てない所でもちゃんと応えてあげるのも、またひとつの愛情かな?って。
どう?
剣ですらバラバラに切り裂ける代物なんて本物以外ないでしょ?
うんうん。
納得したのならいいのよ。
そう! 私は竜の爪を贈られる女なのよー! ウフフフフ!
いや……別に脅す気はないのよ?
そんなに怯えないでよ。
明日は求婚するんでしょ?
ちょっとぉ。