表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/15

2話 サラ 勢いと言うよりやけっぱち。


 嘘でしょう?


 それとも何? 子供出来るとマスコットはもう要りませんか?


 お兄ちゃん悩むような仕草はしてたけどさぁ。

 リリ姉も横から『サラの為よ』とか言ってたけどさぁ。


 まさかの『分かった。行って来い』は無いでしょう。

 めてよ! 私をっ!


 いや、そりゃ私を信用しているからだろうけど……もっと止めろよお兄ちゃん!



 はぁ……でも仕方ない。

 言っちゃったしなぁ……


 ……というか女磨きだもん!


 私はまだ『行ってきます』って言ったら『行ってら』で終わる位にしか見られてないって事だ、ちくしょー。


 いいですいいです。

 分かりました。

 今に見てろよ。超いい女になって惚れさせてやるんだから。


 とりあえずお兄ちゃんに買ってもらった物を装備して本当に出ちゃお。


 具足と……胸当て…………悔しいけど…未だピッタリ。


 てゆーかアレよ。おねえ達が無駄にバインバイン過ぎるのよ!

 私は普通っ!! 小さくない!! 成長期っ!!

 ……だからはやく成長しろよっ!!


 …………はぁ。


 小手は改造するとお兄ちゃんが『パネェパネェ』って変に喜ぶから、ギミック付けすぎちゃってるのよね。


 今の小手は防御を重視した竜の鱗の『盾モード』。


 一見、手の甲まである普通の小手だけど、一瞬で小盾に変わるギミック付き。


 アタッチメントを変える事で『侵入モード』と『弓矢モード』にもできる。


 いや……覗きとかに使ってないし。

 全然使ってないし。侵入モード未使用だし。

 ほんとだし。


 最後にお兄ちゃん特製の竜の短剣を装備っと。


 ようしっ!

 私、ランク『金』モードっ!


 …………


 最後にもう一回だけ、お兄ちゃんに本気度アピールしてこよ。


 ………チラっ


 ……ほら、準備万端。もう家出ちゃうよ? チラっ


 お兄ちゃん。

 家出ちゃうよ? 私。 チラっ


 ……………


 『いってらー』って笑顔で言うなよーーっ!! わぁぁあん!



***



 勢いで家でちゃった。

 どうしよう。



 ……う~ん。


 まぁいっか。


 女は度胸ってお母さん言ってるし。


 とりあえず、アルクスさん達の所にでも行ってみようかな。

 挨拶大事。



 あ~……でも、あの人にはあんま会いたくないなぁ。

 ん~……でもアルフレッドさん達には会いたいしなぁ。


 ま。

 大丈夫でしょ。


 多分会わないだろうし。

 お城いこっと。




***



 こ~んに~ちわ~。


 てへっ♪


 そうそう。

 こういうチヤホヤ大事。


 お兄ちゃんの悪いところは私に対してこういう扱いが無いところよ。


 女は褒められて、大事にされてナンボよね。


 ん~~でもまぁ?

 アルフレッドさん達がどれだけチヤホヤしてくれてもぉ?

 私はお兄ちゃんを選んじゃうワケなんだけどね~。


 あ~悪い女だわ~私。

 わるい女。うふふ。


 ほら、アルフレッドさんとお話ししてるだけで、レナルドさんとパトリックさんもやってくる~。 困るわ~。


 イケメン小隊長達に囲まれたら、こっそり見てるメイド達の視線が痛くて困るわ~。うふふ。



 え?

 あ。忘れてた。


 そうそう。ちょっと旅に出てみようと思って。


 ……いや。

 心配してよ。


 なに? その『武者修行か。さすが!』みたいな反応。


 女の子の一人旅とか心配じゃないの?


 あ、心配じゃないですか。

 そうですよね。


 私の方がギルドランク上ですもんね。



 はぁ……


 誰か……か弱い女の子扱いしてくれる人はいないの?


 


 あっ!?

 アルクスさん来たー!!

 私よりランク上の人きたーー!!


 ねぇねぇ、私旅に出るよ! 心配して。


 ………… 


 ……魔界にでも行くの? って言うなーーっ!

 女の子一人で魔界とか常識考えろ常識っ!!


 ダメだ、この人たちダメだ。


 もうかえゆ!

 私かえゆっ!!


 ……って、イヤーーっ!!



 エリィサンが居るーーーっ!!


 貴方は姫様でしょーっ!

 もっと奥まった部屋とかで隠れてなさいよ!!


 やだぁ! にこやかな顔で近づいてこないでー!

 エリィさん、貴方最近お兄ちゃんと距離近すぎて嫌な予感しかしないのよっ!!

 

 私の中で警鐘けいしょうガンガンガンガガンと鳴りまくってるのよ!!

 アンタまで競い合う相手になったらコワイのよぉっ!


 ……え? なになに?

 こっそり呼んでどうしたの?


 今そっち行くって。


 ……


 え!? うそ!! デートしたのっ!??

 ウっソ! いつの間に。

 え? どうなのどうなの? 顔赤くしてなんかあったの?


 ちょっとぉー教えてよ姫様。

 もったいぶらないでよ~ケチー。


 お菓子とお茶用意する?

 うん! お部屋行く行くー!



***



 うわぁぁあんっ!!

 ライバルに追い越されてるーー!!!



 私は王都の外に向けて屋根を飛び移りながら、ショックから逃げだした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ