終幕 サラ ただいま
パミラさんはここでちょっと待っててね!
……
うぅ。
なんか家に帰るだけなのに緊張するなぁ。
すー…… は~……
よしっ!
ただいまっ!!
…………
あ。 誰の気配も無い。
あれ? 家にいるもんだと思って油断しちゃってた。
気配探ろうっと。
………………んっ!?
なんでみんなの気配がお城の方に集まってるの?
んんん??
ゴメン、パミラさん。
ちょっとお兄ちゃんが違う所にいた。
お城に向かうよ!
大丈夫大丈夫!
お城には顔パスで入れるから。
お姫様とか英雄さんとかとも知り合いだし私。
じゃ、行こう!
…………
なんか嫌な予感がする。
お兄ちゃんとリリ姉に、ローザ姉とエリィさん。
アルクスさんや、クリスティさんが居るだけならおかしくないわ。
…………なんで、リザ姉とか、ミレー姉まで揃って、さらにカルタさんや、アルフレッドさん達イケメン10人衆まで揃ってる気配があるの!?
これって異常事態よね?
………うぅぅ!
やっぱり我慢できないや!
私今すぐお城に行く!
お城にはパミラさん達が来たら入れるように言っておくから頑張って追ってきて!
先に行くわ! ゴメンね!
* * *
うーーーーーーそーーーーーーだーーーーーーー!!
……はぁ ……はぁ
ふぅ~~……
うーーーーーーー!!
そーーーーーーー!!
だーーーーーーーっ!!
なーーんで!
なんでエリィさんとお兄ちゃんが隣同士に座ってお食事会してるの!?
『まぁまぁ』じゃなくてっ!
あーーーーーもーーーーーー!
エリィさんに先越されたーーーーっ!!!
先越されたよぉぉぉーー!
もうっ! 笑わないでよローザ姉!
っていうか! 私抜きで何でこんな大事なこと進めてるの!?
いや確かに私いつ帰ってくるかわからない状態だったけどぉ!
!?
あ。え?
あ。
確かにエリィさんから、お兄ちゃんと一晩共に過ごしたって話は聞いたけど。
…………あ。
……あ~~~。
……
はぁ~~……あれ途中で逃げちゃったけど、そういう報告だったの?
あぁ~~~……
……お嫁さん5人目だ~~。
……私の立場は~~!!?
もう!
笑わないでよみんなっ!
…………
……ふぅ。
いいわ。
落ち着いた。
なんていうのかしら。
私も旅に出て『寛容さ』がいい女の条件って学んだし。
……それに……そもそもエリィさんなら『いつかこうなる』って気もしてたしね。
うすうす所じゃないくらいレベルでね。
……はぁ。
メリー姉とミレー姉は、私に気を使ってくれてるみたいで、まだ正式にお嫁さんってワケじゃないけど……誰がどう見てももう奥さんだし。
それに、二人の事は私も認めてるし。
はぁ~。
……私は6番目か~。
ううん。いいわ。
おめでとう。
エリィさん。
そっか。
お姫様が結婚するけど、その相手がお兄ちゃんだから、まずは内々のパーティなのね。
ふぅ。
冷静になったら、パーティに参加できてよかった。
騒がしくしちゃってゴメンね。
お祝いするよ。
うん!
おめでとー。
…………?
なに? 衛兵さん。
あ。
パミラさん来ちゃったのね。
あ~~……どうしよう。
流石にこのお祝いの席に混じれないよね。
……ちょっと宿とか手配して待ってもらおうかな。
あれ?
パミラさんの気配が……
………
消えた?
!?
なんでローザ姉の真横からパミラさんの気配がするの!?
!?
なんでパミラさんがローザ姉に『お姉さまお姉さまっ!』って言って抱きついてるの!?
!?
パミラさん速っ!?
………
なんでお兄ちゃんに「勇者様勇者様!」って抱き着いてるの!?
……………………
……………
あ~~。
ええ。
私『寛容さ』を身に付けましたから。
大丈夫ですよお兄ちゃん。
さ。
パミラさんとの関係を私に説明してくれます?
ううん。
全然竜の爪握ってないよ。
ねぇ?
エリィさんも聞きたいよね?
さ、話して。
お兄ちゃん。
* * *
うふふ。
お兄ちゃん。
避けちゃダメだよ?
…………
お兄ちゃんの浮気者ーーーーーーっ!!!!
ばかーーーー!!!
『危ない』?
切ろうとしてれば危ないのは当然よね!!
お兄ちゃんのバカーーーーーっ!!
はぁっ はぁっ。
ううううう……
別にお兄ちゃんの愛人が増えるのはもう仕方ないと思ってるよ。
それはエリィさんと一緒だよ。
そうじゃないよ。お兄ちゃん。
…………許せないのは
……私には
私には『お前にはまだ早い』って言って手を出してないくせに!
今の私より若いパミラさんとエッチしちゃってる事だバカーーーっ!!!!
うわぁぁぁあああああん!!
ちゃんと私にも好きって態度しろバカーーーーー!!
* * *
エリィの婚約パーティで、サラが大暴れするというハプニングがありつつも、ローザやリリィの説得もあり、この後なんとかサラの怒りは鎮まった。
そしてパミラも一途な思いをドゲドー達に改めて打ち明けました。
その思いに胸を打たれたエリィの厚意によって、お姫様のお付きという立場が与えられ、パミラはドゲドーと……こっそりローザとも交流を持てるようになり着々と愛人の立場を築きあげ、幸せに過ごしましたとさ……
こうしてサラの初めての女磨きの旅は、幸せを諦めかけていた領主の娘パミラを幸せにし幕を閉じました。
ただ……サラ自身の幸せは、まだほんのちょっぴり遠いようです。
サラの女磨きはまだまだ続くのでした。




