13話 サラ 見た物を報告
超絶だ―っしゅ……
……の前に、
どうも衛兵さん。
中からすみません。
そして驚かせてすみません。
パミラさんとお話ししてたのよ。すみません。
えっと夜に来るって言っちゃったけど、あれ無しで。
スーカさんに
『明日、婚約者のニアさんがこの街に到着する』
って伝言お願いできますか?
有難うございます宜しくお願いします。
ではっ!
ニアさんの所に超絶ダーッシュ!
* * *
……ふぅ。
ん~……ニアさん達の気配。
まったくもって異常なーし!
お~い。副隊長さーん。
あ、気が付いた。
……
……なぜこの副隊長さんは……こんなにもスーカさんの話を聞き出そうとするのでしょうか。
答えはニアさんがモテるからですね。わかります。
はいはい。
……くそう。
……いや、別にこの人にモテたいわけじゃないけど『好かれる』って羨ましいのよ。くそう。
はぁ。
だーめ。あなたには教えません。
と言うか……教えられません。
ニアさーん。
もどりました~!
明日着くって伝言してきたよ。
じゃ色々報告したいし馬車に入れて。
……さて……ニアさんにどう伝えたらいいんだろう。
……ぐううう。
なやましいっ!
…………
……
う~~~~~
だめ!
もういいや。
嘘ついてもニアさんの一生に関わっちゃうかもしれないんだもん!
全部ありのままに伝えようっ!!
いい人はいい人だけど、性癖に難あり! って。
* * *
…………この反応は
……予想外なんですけど。
……容認されるとは思ってなかった。
というか、むしろ貴族っぽくて良いのでは? とか。
……なんだか私が逆に心配し過ぎみたいな空気すらあるんですけど……あれえ?
……ニアさんって……寛容なのね。
なんかすごい。
肝が据わってるって言う感じなのかな?
すごいなぁ。
……っていうか……ニアさんが逆に嬉しそうな気がするのは気のせいよね?
うん。気のせい!
…………この寛容さが……いい女の条件かしら?
あ~。ハードル高いなぁ!
私ムリだー。
お兄ちゃんがもしあんな風に秘密特訓してたとしたら……
……うわ、なんかム…………ん~~~。
……
……んん?
ん~~。
ん?
…………本人が望んでいる場合だったら仕方ないわよね。
うん。
別に見たいとかそういうんじゃなくて。
うん。
いい女は寛容だから。
うん。
本人がそういうんだったら、仕方ないよね。
え?
いやいやいやいや、ニアさん。
スーカさんと副隊長が特訓とか……いやいや。ねぇ。
それは、いやいや。
スーカさんがわざと負けてとか、ヤダもう。
それならトスカさんが特訓に飛び込んでくるとか
そうそう。
で、スーカさんがトスカさんに――
* * *
…………
まさか夜中までこんな話し続けるとか思ってなかった。
馬車にも酔わなかったし。
でもニアさん。
もう寝よう?
話し足りない感はなんとなくあるけど……でも明日婚約者と会うんでしょう?
いやいやいやいや『明日着いたらすぐに副隊長に特訓参加させましょう!』とか鼻息荒くさせなくていいから!
* * *
……ふぁ~~。
………………ねむい。
結局眠ったのか寝てないのかわかんないや。
あ~……ところで、向かう先は『領主の館』って思ってたんだけど、それでいいの?
あ。違う。
スーカさんの館かー。
そっか貴族だったら館があるか~。
じゃあ私はそこに着いたら別行動するね。
うん。お仕事完了でお別れって事で。
別の用事もできたし。
……
ニアさんは全部受け入れて無事に結婚しそうだし。
……なんでか、ニアさんが副隊長とトスカさんがスーカさんと訓練をしなくちゃいけない状態に持っていきそうな気がしないでもないけど…………それはもう私には関係ないよね。うん。
私と話したせいでトスカさんが巻き込まれたような気がしないでもないけど、それはきっと気のせい。うん!
さ、街が見えてきたわ。
パミラさん。
待っててね!
そして一緒に王都へ!




