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七、ナフタ

 雀の鳴き声が聞こえた。

 ハンス・カストルプは目を覚ました。ふと、顔を上げると、自分が寝ている窓際のベッドの脇には、ラダマンテュスが立っていた。後ろに手を組んでいる。

「ここは……」

 昨夜の記憶はすっかり混濁していた。何を話したのか皆目覚えていない。

「おお、良かった。やっと目覚めたかね。ハンス君も災難だったのぅ。一日に二度も昏倒するとはな。まあ慣れるじゃろう。七度丁度で微熱になったの。わしも手術が終わったところで疲れとるんじゃ、これから仮眠を取らせて貰うよ。ふぁあああああ」

 と欠伸をしながら後ろを向き、廊下へと出て行った。

 『横臥療法』ではなく、そのままベッドで蒲団を被せられて眠っていたようだ。

 ハンスは起き上がって床に足をついた。

 次第に記憶が戻ってきた。考えを巡らせる。昨日で自分の運命はどれだけ変転したのだろう。

 たった三週間の滞在のつもりだったのが、いつの間にか入院をすることになってしまった。一人ぼっちの青年にとって、結核という不治の病に冒されている事実の衝撃はそれほどのものではなかったが、しかし、下界との繋がりが全く切れてしまうとなると、少し怖い気がした。

 エンジニアになる勉強もまだまだ途中である。ところが今では本を読んで学ぶ気力さえない。

 でも、このサナトリウムで是非また逢ってみたい人が出来た。

 セテムブリーニだ。

 いとこがどうなったのかも気になったが、また彼女と逢ってみたい気持ちが自然と優先された。

 幸い身体は軽い。立ち上がって、足を踏み出したその時である。

「ハンス」声を掛けられた。

 開いたドアの枠に背中を寄せていたのはセテムだった。

「セテム」ハンスの顔は一気に輝いた。

「迎えに来たよ、散歩に行こう」

 セテムはハンスの手を取った。ハンスはちょっと蹌踉めいたが、相手に導かれるままに廊下を移動した。

「今何時?」

「七時過ぎだ。ハンスのいとこはまだ眠ってることだろう」と鎖付きの懐中時計を取り出し、セテムは言った。

 外に出た二人は一緒に大きく息を吸い込んだ。

 朝霧に煙る山の空気は心地がいい。昨日の胸の重苦しさを感じる事もない。

 今度は他の山々を観察することもできた。一つ一つの木々にいたるまで鮮明に確認でき、ずっと見詰めていると目眩がしそうな気がした。自分がこの中を一つに紛れ込んだら、きっと迷ってしまうのだろうな。病気の状態で取り残されるのはまっぴらだ。

 いくらか鳥の鳴き声もしたが、都会生まれのハンスはその種類を見分けることが出来なかった。

 変なところに連れて行かないでくれよ。そう思って若干相手に悪いと感じた。

 でも、昨日の一件があって、どうもベルクホーフの人々は皆どこか曲者なのだと思い知らされたので、変なところまで連れて行かれた上で、いきなりこの繋いだ手を離されたらどうしよう、と思ってしまうのだった。

「どこへ連れて行くつもりなんだい?」

「そんなに遠くまで連れて行きはしないよ、そこまでだ」

 と、少し登ったところにある、一際大きく岩石が張り出した場所を指さした。その下は断崖絶壁である。

「あんなところ、危ないよ!」ハンスは叫んだ。

「わたしは毎日行ってるよ、そうか、ハンスはやっぱり臆病なのかな」挑発するような口調で言った。

「なんだと!」鈍感なハンスも流石に腹が立った。「待ってろよ、いま一人でも行ってやるから」

 手を離して、ズンズンと先に進んだ。

 見返してやりたい。ただ、それだけだった。

「ほら、できただろ」

 両腕を立てて、セテムに向けて誇示する。内心鼻高々だった。

 ぐらり。

 突然、足の力が抜け、身体が崖の側に揺らいだ。

 落ちる。死ぬ。ハンスはそう思った。

「危ない!」声が聞こえた。

 腕が掴まれていた。身体がそちらの方向に傾くのを感じる。素早く駆け寄ったセテムに、引き戻されたのだ。

 その拍子に二人とも地面に倒れた。

 そのまま折り重なって転がった。草いきれがした。

 ハンスは赤面した。セテムの乳房のかたちが衣越しに感じ取れた。

 いや、それ以上に相手の息遣いも。苦しそうに顔を歪めている。 

 早くどかないとと思ったが、ずっとそうしていたいとも考えていた。 

 ハンスは興奮した。病気になってもいまだに性欲から逃れられない自分には嫌悪感を抱いたが、まだ人間でいられるような安心も同時に感じていた。

「セテム、大丈夫か?」

「とくに、問題はないよ」

 相手も赤面していることに、この時初めて気付いた。

 鈍感な青年は飽くまで鈍感だった。いそいそと身を起こして、相手の腕を掴んで立たせる。

 起き上がると、セテムは苦しそうに咳込んだ。見ていると、自分も胸の奥が苦しくなり、咳をしたくなったが、口に手を当てて押さえた。やはり元気そうに装っても、みんな結核に身体を蝕まれているんだ、そう言う風に思った。

「どこか、怪我してない?」

「どこも大丈夫だよ。それよりちゃんと出来るじゃないか、凄いよ。ハンス」

「えっ」ハンスは驚いていた。てっきり怒られるものか詰られるものだと思っていたからだ。

 それが、褒められるなんて。

「ハンスが自分から登ろうとするなんて、凄い進歩だろう」

「そっ、それは……セテムが煽ったからじゃないか」ハンスは頭を掻いた。

「そうでもしないと、ね」とセテムは照れ臭そうに顔をそらした。

「ところで、ハンス」

 暫くして、セテムは話を切りかえた。

「この山の上では、通常とは違った時間が流れている事には気付いたかい?」

「まだ一度も降りたことないから……でもなんか、確かに今が何時なのか分からなくなることがあったような気がしたな……」

「それだよ、この辺り一帯は魔の山だ。ベルクホーフを中心として、普通と異なった時間が流れている。そして、それは下界の時間と同質のものではありえないんだ」

「なかなか意味が分からないな」

「わたしたち病人にとっては、下界の時間の進み方は、余りにも身体に悪すぎる。だから、ベルクホーフ(ここ)では自然と時間がゆっくりと流れるようになっている」

「そんなことが出来るのか? なぜ、一体?」 

「ここは『世界の臍』だからだよ、ハンス」

「『世界の臍』?」ハンスは聞き慣れない表現に戸惑った。

「世界を変えようと思えば、ただ一点だけを抑えればいい、そう言う場所がこの世界にあって、そこがここなんだ。ここから停滞した時間の流れが欧羅巴全土に流れ出して、段々希釈されては行くが、時間と物事の進みを遅くさせているんだ。つまり、ここから流れ出す時間の流れを増減させる事で、世界の時間を操り、物事を停滞させるのも進ませるのも思いのままになるんだ」

「なんか壮大な話になってきたな。俄には信じられないよ」ハンス・カストルプは驚き呆れていた。「そんな、時間の流れを変えるっていったいどうやるんだい?」

「残念だけど、今すぐには教えられない。ここだとアイツの邪魔が入るからね」僅かにセテムブリーニの顔が曇ったように感じられた。

「アイツ?」ハンスはビックリした。

「この世界を潰乱させたいと望む奴らが結構いてね。このベルクホーフの近所にも一人いるんだが、何とも変わり種で……。危険なやつだ。ハンスは絶対にアイツにだけは会ってはいけない」

 セテムも随分変わり種だろと思いつつも、ハンスは頷いた。これ以上やばい奴に関わり合いたくはなかったからだ。

 セテムブリーニは大仰に手を前に広げた。

「わたしは、この欧羅巴の大地が末永く平和であってくれたらいいと望む。そのためにはどのような事でもやるつもりだ。ハンスも『何度でも』誓ってくれ、絶対にこの欧州に滅びへの道を選ばせてはならないと」

 『何度でも』の部分が強調されたのが気になった。

「滅び、って、そんな大げさな。確かに前々世紀の末には革命が起こって、多くの人命が失われたけど、それでも今まで欧羅巴はとても平和だったし、戦争は何度か起こっても内戦レベルだった。それに文化的水準も当時より遙かに高まっているし、今更人間が滅びの道を選ぶような愚かな真似をする訳がないよ。人は皆人権を持ってるし、それを踏みにじられるような事はないんだ」

 ハンスは珍しく饒舌に抗弁したが、わたしたちから言わせると、それは彼の中に眠っていた標準的な欧羅巴人の見解が目覚めたと言うだけのことである。これと同じようなことをわたしたちは授業で幾らでも習ったし、本を読んで知っている。当然の認識として、語ったまでのことだった。

「そうかな」セテムは冷ややかに答えた。「そうだよ! セテムは気にしすぎだよ。人類はそこまで馬鹿じゃないんだ。あんまり考えすぎたら身体を悪くするよ」

 と、言ってセテムの肩に手を置いた。その瞬間ハンスは今までこんなに大胆に女性の身体に触ったことがないことに気付き、自分らしからぬ行動に手首が震えるのを覚えた。

「ハンス、顔が赤いよ? どうしたの?」「いっ、いやいや、どうもしてないよっ!」

ハンスは大きく手を振って弁解した。

 と、どこかで口笛を吹く音がした。

 途端にセテムブリーニの目付きが鋭くなった。ハンスは彼女のこんな表情はその時初めて見た。

 セテムは睨むように辺りを見回した。 

 すぐ近くに大きな菩提樹が生えていた。その木の枝に、一人の細身の女性が腰掛けていた。

 ハンスはその腰まで伸びた黒髪を最初に捉えた。憂鬱そうな切れ長の目で下を見ている。

 その濃い紫の瞳は遠くからでも全てを吸い込んでしまいそうで、虚無を湛えているかのようだった。

「ナフタ!」セテムブリーニが叫んだ。「『また』、ハンスに関わろうとするのか!」

「何れも無駄ですよ、セテムブリーニ。やがてこの大地は全て灰燼に帰すのですからね。わたしたちがどんなに叫ぼうが、喚こうが、何れも同じ。滅びは必定なのです。そしてそれはわたしにとってはこの上ない安逸なのですよ」少女は樹上から叫んだ。よく響く、鋭い声である。説教師のようだなと、ハンス・カストルプは思った。

「そんなことはない! 滅びの道は必ず回避できる。何としてもね! 決してお前の思う通りにはさせない」セテムブリーニが応じる。こちらも身体が心配になるほどの銅鑼声である。ハンスはあたふたとセテムとナフタと言われた女性との間を動き回った。

「カストルプ君、わたしのところに来なさい」ナフタが手招いた。

 ハンスは面食らった。見も知らない人からいきなり自分のところに来なさいと言われたのだ、それは驚くだろう。

「だめだ、ハンス、そいつのところに行っちゃいけない」セテムがハンスの前を遮った。

「行くもなにも……」ハンスは驚いた。

「ああ、そうそう、そうでした」ナフタは何か納得したように軽く拳を開いた掌に打ち付けると、急いで言った。 

 木の枝から少女はひらりと舞い降りた。

「あちっ」と一瞬顔を歪めて、舌打ちをしたが、やがて涼しい表情に戻った。

 全身はローブで覆われていた。ベーレンスの着ている物とかたちは近いが、こちらは黒一色である。

「紹介がまだでしたね。ハンス・カストルプ君。わたしは修道士モンヒのレオナ・ナフタと申します。このベルクホーフの近くに下宿させて貰っているものでして」ナフタは紫の瞳でハンスの顔を覗き込んだ。

 ハンスは驚いた。修道士――しかも女性の修道士とは。

 こと軍人に関しては未だに男のみしかなれないが、二十世紀に入ってから多くの職業は女性にも解放された。

 修道女ノンナと言われた職業も修道士モンヒに統合されたと聞くが、ハンスが実際にその姿を目にするのはこれが初めてだった。保守的な風土のハーンブルクでは修道女しか見かけなかったからである。

「ハンス、奴の言うことを信じるな」セテムが忠告するように言った。

「おや、セテムブリーニ、やはりあなたはカストルプ君を独り占めして置きたいのですねえ。全く大した博愛主義者ですよ。そこでだけ節を曲げておられるようで」

「別に、そんなことは!」セテムは少し恥ずかしそうな口調で叫んだ。

「い~や、あなたはカストルプ君のこととなると眼の色が変わりますね?」

 流石のハンスもこの会話の可笑しさには気付いた。セテムブリーニと知り合ったのは昨日のことだし、ナフタはついさっきである。 それなのに二人はもう自分を既得利権であるかのように話している。変なむずがゆさを覚えた。

「それではカストルプ君、君はこの欧州の大地にとって、尤も必要なもの、それがお分かりでしょうか?」

「そ、そんなの、いきなり聞かれても……」 少し間が置かれた。

 気付いたらナフタの顔が目の前にあった。薄い唇がぎりぎりまで近付けられ、熱い呼気が顔に掛かる。ハンスの胸はまた重苦しくなった。

「テロリスムス」

ぞくっ、と背筋に怖気が走った。悪寒でもない。色気に負けたからでもない。その語調に秘められた底知れぬ冷たさを感じたからである。

「恐怖ですよ、カストルプ君。徹底的な、恐怖による全ての支配と統制、その中に真実の美があり、新しさがあるのですよ。無能な国家元首には一発の兇弾さえあれば事足ります。無能な人民にはダイナマイトを一樽宛がいましょうか、ああ、ぞくぞくするでしょうカストルプ君、君もわたしについて来る気はありませんかねえ?」ナフタは両手を前に突き出しお椀のように窪めて、ハンスに襲いかかるように身を乗り出していた。その目は少し血走っていた。

「……ええと、ぼく、いいです」正直なところハンス・カストルプは引き気味であった。もう早くベルクホーフに戻りたい。それだけを願っていた。

「ハンスを変な道に誘い込むな!」セテムはハンスの手を掴んで自分の側に引き寄せた。「お前は根本的に間違っているんだ。先ず、暴力的な手段に頼ろうとするところ。ここが一番の間違いだ。人間はもっと安全な、言葉だけの対話で仲良くなれるものなんだ。暴力的な手段は決してあってはならない。そんなやり方に頼ろうものなら、そいつの発言には全て信用性がなくなるんだ! 次に人命の軽視だ。お前は恐怖の支配だなんだの言っているが、そのためにどれだけの人命を犠牲にすると思っているんだ」 

「平和平和と謳いながら、あなたが一番平和を壊す方向に向かっているように思いますよ、セテムブリーニ。あなたは平和平和とおっしゃいますが、武力によって守られない平和はあり得ないのですよ。所詮理念だけで唱えられる平和は、弱者の戯れ言でしかない。実力、武力によって裏打ちされていない平和など何の価値もないでしょう。いや、武力ではなく――恐怖と申しましょう。そう言う訳であなたは全く根本的な問題が何も分かっておられないという訳ですねえ」

「それは詭弁だ、平和を戦争にすりかえる詭弁だ! ナフタ、貴様は、いつも嘘ばかり言う!」

 セテムブリーニは顔を赤くしていた。ナフタの方も笑みを浮かべ、冷静を装っていたが、その額には青筋が見えた。

 ハンス・カストルプはそこから取り残されたようになっていた。二人の発言も聞いていると、どちらにも理のありそうな感じがしてきて、頭がこんがらがってくる。

「あの、ぼく、帰ります」そうこっそり言って、二人をそのままにし、ベルクホーフの正面玄関まで戻った。まだ熱心に弁論は続いている。

「ああ、あの二人。いつもそうなんですよ」扉を開こうとした時、後ろから綺麗な声が聞こえた。ハンスは思わず振り返る。

 そこに立っていたのはエンゲルハルト嬢だった。今はアフターヌーン・ドレスに着換えている。どうも、エンゲルハルトはセテムブリーニとはそれなりに話すようだ。

「あ、エンゲルハルトさん」

 その途端、昨日、彼女が見せた本の内容が記憶に蘇った。ハンスは赤面した。

「何かあると、いつもああやって論戦を交わしているんですよ。全く、仲がいいんだか悪いんだかわからないわね」

「あの人は、ベルクホーフの患者じゃないんですか」ハンスはおどおどと述べる。

「正確に言うと違うようです。近所に住んでいる人のようで、結核でもないらしいとか。ただ、殆ど毎日見るので、そんな気はしないけれど……」

「あんなに喋りまくってセテムブリーニは大丈夫なんでしょうか……」

「よくはないでしょうけど、ラダマンテュスはいつも好きなようにさせておくのが一番じゃ、とか言ってます。もう一年前からですけど、ああやっている方がセテムさん、元気そうですわ」

 ハンスはすっかり落ち着いた。エンゲルハルトの趣味には疑わしいものがあるが、こうして話している限り、普通の女性である。ナフタのように取って食われそうになる事はないだろう。

「おおおおっ、抜け足差し足のハンスきゅんだ」カロリーネ・シュテールが向こうからやってきた。

「抜き差しならぬ」相変わらず、訂正が入った。

「もうそれは良いから」ハンスは焦った。

「ちょうつぁん食おう!」天真爛漫な調子でシュテールは言った。

「えっ?」ハンスは聞き返す。

「朝餐」とエンゲルハルトは一言。

「すげえ」思わず品のない言葉が漏れてしまうほど、ハンスはエンゲルハルトの訂正能力の高さに驚いていた。

 食卓に三人で並んで着くと、すぐにスープとパンが運ばれてきた。すっかりお腹が空いたハンスは、空かさず食らいついた。

「ハ・ン・ス!」どきっとした。

 ヨアヒムが後ろの扉から怨みがましい目付きで睨んでいたのだ。

「どこに行ってたの? 寝てなきゃダメじゃないか」

「実は、ルドウィナ・セテムブリーニと……」

「ええっ?」突然意外な人名を聞いて、ヨアヒムは心底驚いたようだった。

「あっ、話してなかったか。実は昨日知り合ってさ……面白い人だよ」

「セテムブリーニとハンスが?」もう一度聞き返された。

 ヨアヒムの頬は染まった。顔を背けて、腕を組んで言う。

「ハンス、ぼくの知らないところで……」

 ハンスは単純な青年である。例によってこの意味も分からなかった。

「どうしたの、ヨアヒム」

「何でもないよっ!」

 離れた席にドシンと腰を下ろし、運ばれてきたパンをちぎって口へ放り込み、むしゃむしゃと咀嚼し始めた。ちょっと怒っているみたいだ。

 しかしハンスは、そのいとこの姿を見て、我が家に戻ったような安堵の念を覚えていた。

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