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ハプニング2

あれから、彼女を見ることはなかった。


彼女をみないって事だけで、本を読むだけの朝の駅はいつもと何も変わらない。

ほんの少しだけ気になってはいるのだが。


そんな日が何日も続いたある朝、信号の故障でダイヤが乱れていた。

いつもより、ホームにいる人がやけに多かった。


今日は電車の中で本は読めなそうだな。


そんなことを思いながら電車を待っていた。

最近では物足りなさを感じつつも、彼女の事を気にしなくなってきていて。


やってきた電車に乗っていつもと同じように反対のドアに寄りかかった。

やっぱりいつもより混んでいて、本は開けそうになかった。

そして、いつもだったら開いている反対のホームに電車が入ってきて、並んで止まった。


無意識にいつも捜している彼女が目の前にいた。


驚いたのなんのって。

彼女はぼーっとしていた。

もしかして俺のことをみてる?何だか焦点のあっていなそうな目をしていたから気のせいかもしれないが、一瞬そんなことを思った。


近くでみる彼女は印象とは違っていて……

何と言って良いのか説明出来ないけど、面白い彼女という発想は頭から抜けていた。


心臓の鼓動が早くなったのだけは解った。


次にあったら絶対噴出してしまうだろうと思っていたのだが、そんなことは全くなく自然と口角を上げている自分に気がついた。


そのまま電車は発車してしまった。

ほんのわずかな時間だった。

ドアさえなかったら手を伸ばせば触れられるような距離だった。

彼女の目の中に俺は映ったんだよな。


気にしなくなったのではない。

気にしないようにしていたのでは?

ドアに寄りかかって、外を眺めながら満足げに微笑む怪しい俺がいた。

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