第91話 クリスマス・フィードバック・ブディズム その2
「クリスマスだな」
お?突然お師匠がこんなことを言うからやたらに身構えてしまう。どういうつもりだろう。
「うちはクリスマスなんて関係ないでしょ。寺の中の大掃除やら、檀家さんからのご挨拶やら、新年の準備やら」
わたしは冷静に事務的な応対をするけれども、お師匠はいたって気にも留めない様子で会話を続ける。
「クリスマスを布教に利用できんかな」
「?え?」
「いや。キリスト教がなんとなく目立ってるのはクリスマスやらハロインやらがあるからだろう」
「はろいん?あ、ハロウィーンのこと?」
「仏教にはなにやらそれらしきものが足りないように思うんだよなあ・・・報恩講とかあるけれども、クリスマスほどのインパクトはないだろう」
「いんぱくと・・・お師匠がそんな言葉使っても全部ひらがなに聞こえるよ」
「でも、一理あると思わないか?仏教はそういったメジャーなイベントが少ないんじゃないかと・・・・神社はお祭りや初詣があるから人は集まるけれども、お寺とか仏教で一大イベントっていったら、結局葬儀じゃないか」
「うーん、なんかそんな気がしてきた」
最初は軽い雑談だったのだ。ほんとに。




