第73話 メイド服の調達法 その4
更衣室も至って普通。ロッカーがあるだけ。
「もより、身長は?」
言いたくないけれども仕方ない。
「174cmです・・・」
「おー、ほんとに高いんだね。しかもスタイルもいいし」
言いながら奈月さんはきれいにハンガーに掛けられたメイド服を渡してくれた。
「着方、分からないでしょ?手伝ってあげるから」
言われてちょっと恥ずかしいけれども、服を脱ぎ、下着になる。それから、一つ一つ説明を受けながら、なんとか着終えた。
「ちょっと小さめのサイズだったけど、スリムだから何とかなったね。その代わり、スカートがちょっとつんつんかな。すごいミニみたいになったけど、我慢してね」
わたしがほっとしていると奈月さんが悪戯っぽく笑う。
「まだ終わりじゃないよ。ニーソもね」
「やっぱりですか・・・・」
椅子に座り、片足ずつするすると履いていく。
「ん、ちょっと立ってみて」
言われるままにすっと立ち上がる。
「くるっと回ってみて」
あー、恥ずかしい、とは思うけれども、一回転してみせる。
「いやー、可愛い!ほんと完璧だよ、もより!」
「そう、ですかね?」
やはり横山高校生徒会副会長の重みか、それともメイド服を晒しているわたしの弱みか、奈月さんにはペースを取られっぱなしだ。
「いや、これはほんと勿体ない。ちょっと店に出てみようよ」
「ええっ!?」
「ごめん、わたしの我儘に付き合って」
確かに奈月さんには無理なお願いをしているのだからしょうがないか、という思いで店の照明の下に出た。




