第23話 純喫茶アラン その12
市松くんの話を整理するとこういうことだった。
①右隣の男は従兄。市松くんのお父さんのお兄さんの子供。
②市松くんのお父さんのお兄さんは飲食店向けのおしぼりなんかを取り扱う会社を経営してた。エレカもそこに頼んでた。
③エレカが閉店する時、お兄さんの会社の買掛金が溜まってた。お兄さん は自分の会社の分を優先的に払ってくれと頼んできたけれども、個人民事再生を行う以上、偏頗行為(一部の債権者だけに優先して支払う行為)をすることはできず、お兄さんへ支払う額はわずかなものとなった。
④結果、お兄さんの会社は手形が不渡となり倒産した。お兄さんの会社も資金繰りが厳しかったのだ。
⑤会社は法人名義で、お兄さん自身も個人名義で破産申し立てをした。破産を選んだのは会社の資金繰りにまわすためにお兄さん個人として消費者ローンから借りていたお金も多額だったため、破産免責でチャラにしてもらうしかなかったからだ。
⑥お兄さんは自宅を失った。従兄は高校を中退し、今は深夜勤務のコンビニやファミレスなど時給の高いバイトを転々としている。残りの2人はバイト先の仲間らしい。
⑦従兄は「お前の親のせいだ。金返せ」と言って、毎月3万円、市松くんのバイト代を巻き上げている。




