第111話 クリスマス・フィードバック・ブディズム その22
「どうだった?クリスマス・フィーってのは」
「それじゃ、”クリスマス料金”、だよ。クリスマス・フィードバック・ブディズム、ね。うん、すごい盛り上がったよ。それでね、多分うちのお寺に来る人が増えると思うけど、よろしくね」
「ああ、分かってる」
「ほんとに?」
「うん。もよりは自分が与えられた仕事を着実にやり始めてるな。うちのご本尊や仏様方が衆生を救うためのお手伝いだ」
「わたし自身はシュジョーを救えないのかな?」
「どうしてそこだけカタカナになるんだ?」
「え?カタカナで言ったの分かった?」
「雰囲気でな」
「どうかな。わたし、救えるかな?」
「その時は仏にならんと無理だな」
「やっぱり、人間じゃ無理か・・・」
「ああ、無理だな。人間ができるのは仏様のお手伝いだけだ。まあ、もっともそのために一志ともよりは兄妹として生まれたんだがな」
「え?」
「何だ?今更。もよりが今一生懸命手伝ってる仏は一志だぞ。一志だって仏として修業中なんだから、現世からどんどんサポートしてやれよ」
「え?お兄ちゃん、仏様になったのにまだ修行しなきゃいけないの?」
「当たり前だ。そうでなきゃ衆生を救うことなどできん」
「ひえー。仏になったらもうすべて終了であとは自在に人を助けられるのかと思った」
「何言ってる。仏様の、”救う”、っていうのは、原因から何から含めて、”根本”、から救うってことだ。人間が、”人助けした”、って自己満足してるのとはレベルが違う。はるかに上のレベルで救ってくださる仏様は、それだけ大変なご苦労をなさっているんだ」
「なーんだ。仏様になっても楽できるわけじゃないのか。じゃ、人間のままでもいーかな」
「・・・一志が兄でもよりが妹に生まれた理由が何となく分かるな」
お師匠は失礼なことを言う。
「ところで16歳だな」
「まだあと何日か先だよ」
「プレゼント、何かやろうか」
「え?今まで一度だってくれたことないのに、どうしたの?」
「いや、まあ、もよりは色々と頑張ってるからな。労ってやらんと」
「やった!じゃあね、お願いがあるんだ」
「うん?品物じゃないのか?」
「うん、あのね」
「うん」
「お母さんに遭いに行ってもいいかな?」




