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第109話 クリスマス・フィードバック・ブディズム その20
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話し終え、会場を見渡す。
しん、と静まり返っている。持ち時間の倍ぐらい使ってしまった。
”プレゼン”、としてはやってはいけないことだ。けれども、わたしはこの話をすることしか、目の前の切羽詰まった人たちに対してできることはなかった。
「今わたしがお話ししたように、わたし自身はこの場ですぐに皆さんの悩みを解いてあげることはできません。」
”死にたい”、と手を挙げた方々は真剣な視線をわたしに返してくる。
「でも、どうか、わたしに時間をください。どうか、本当に辛い思いをされている方は、咲蓮寺に来てください。心が苦しくてどうしようもなくなったら、ああ、咲蓮寺の小娘が何か言ってたな、って思い出してください。わたしではまだまだ力不足かもしれませんが、咲蓮寺にはお師匠がいます。そして、ご本尊がおられます。皆さんが今日ここへ来てくださった、ってことは、うちのお寺のご本尊が、”必ず皆さんを救いますよ”、ってもう決めておられる、ってことです。どうか、ご本尊のお顔を見にいらして下さい」
わたしは合掌してお辞儀をし、話を終えた。




