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第107話 クリスマス・フィードバック・ブディズム その18
結局、お師匠とお母さんは離婚した。
お母さんはお寺関係ではなく、一般家庭からお嫁に来ていた。
子供の頃からわたしを可愛がってくれていた母方のおじいちゃんおばあちゃんも、わたしがお師匠と一緒にお寺に残ることを決めた後は、話すことも無くなってしまった。
おじいちゃんは、お師匠を責めた。
お師匠はお母さんの実家に対して金銭的な支援を提案したけれども、”そんなもん要らん!”、とはねつけられた。
お母さんは実家でうつ病の治療に専念することになる。
わたしがお母さんについて行かないと言っても悲しまなかったのは病気のせいだと思いたい。
多分、お師匠は檀家さんからの信頼を大きく損なっている。
お兄ちゃんが亡くなったことに対する同情はもちろんあるけれども、それを何か悪因縁の因果応報だと陰で噂する人も多い。
それに、理由が何であろうと、お寺の住職が離婚する、ということはありえないことだと認識されているようだ。




