先生、水晶が映りません!2
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そうして迎えた文化祭当日。
「いらっしゃいませー。占いはいかがですかー」
マナは魔女の帽子に黒マントと云う実に分かりやすい魔女のコスプレに『3F 占いの館』と書かれた看板を掲げ校内を闊歩している。つまり宣伝担当。マナの無駄なヤル気を満たしつつも何の技術も能力もいらないこの役目。我ながらいい仕事を考え付いたもんだと自分を褒めてやりたい。
「ララちゃん、文化祭楽しいねえ」
ご満悦のマナは看板をフラフラ持ちながらも、私にキラキラと輝かんばかりの笑顔を向けてきた。てかその看板、段ボール製で重くないのになんでフラついてるの。
「まあ、たまにはこう云うのもいいよね」
なお、私も宣伝担当。クラスメイトからは『長谷川さんの魔法力なら百発百中だから是非占いを!』って頼まれたけど、占い嫌いなんだよね。私の魔法力じゃ何もかも見えすぎちゃって、人の人生覗き見るみたいで。なので、私はマナのお目付け役兼、宣伝を買って出たワケだ。
「占いー占いはいかがですかー。おいしいですよー甘いですよー」
うん。お目付け役買って出て正解。さすがポンコツ。こちらの予想を凌牙するミスを見せ付けてくれる。
「甘くないから。どうしてそうなった」
「間違えた」
「……あんた、もしかしてお腹すいてる?」
私がそう尋ねると同時に、マナのお腹がグーと軽快になった。分かり易いな。まあ、気持ち分からなくもないけど。あちらこちら飲食の模擬店をやってるクラスから漂ってくるいい匂い。クレープやらカレーやら、確かにお腹を刺激するよね。
「鳴ってしまった」
「よし、じゃああと一巡したら休憩もらおう」
照れくさそうにはにかむマナにそう言って、私たちはもう1度校内を1階からまわる事にした。
「占いはいかがですかー。うらないーうならいー」
時々噛みつつも頑張ってマナが宣伝をこなしていると。
「わー魔女さんだー。私初めて見た~」
小学生くらいの子供たちが私たちのコスプレに目を止めてワラワラと集まってきた。好奇心いっぱいの目をして寄って来た子供たちに「あわわ」と焦るマナ。あっという間に5、6人の小学生に囲まれる。
「魔女さんかわいー。写真撮っていいですか~?」
「本物だーすごーい。ねえねえ、どんな魔法使えるんですか~?」
「ホウキとか乗るんですか? あ、ねえ、黒猫は連れてないんですか?」
「魔法見たいなー。何かやって下さーい」
「えーとえーとえーとえーと」
子供たちの質問攻めに、マナの頭は完全に追いついていない。半分目を回しながらパニックになってる。
「はいはい、写真はダメよ。校内は撮影禁止なの。視聴覚室に魔法授業の展示があるから、何か魔法が見たい人はそっちに行ってね」
私はざっくりと質問に答えると、アワアワしているマナの首根っこを掴んで子供たちの集団から引っ張り出した。おざなりな回答に、子供たちから「えー」と不満の声が上がるが構っちゃいられない。
私に首根っこを掴まれズルズルと引き摺られて行きながらもマナは
「占いはいかがですかー。3階でーす」
と、宣伝担当と云う自分の役割をけなげに果たそうとしていたのだけは偉かったと思う。空気読めてないけど。




