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第五話 先生、水晶が映りません!


第5話 先生、水晶が映りません!




「これは?」


「ゴキゲンなひと」


「『愚者』ね。じゃあこっちのカードは?」


「花王せっけん」


「『月』。じゃあこのカードは?」


「こわい!」


「……『死神』ね。ってか、あんたやっぱダメだわ」


 私は特大の溜息をひとつ吐き捨てると、手に持っていたタロットカードをバサっと机の上に投げ置いた。ダメ出しを喰らったマナはいつもの半笑いに眉毛だけを下げて少々ションボリしている。


 とある放課後の教室、私はマナにタロットカードのやり方を教授してやっていた。なぜって、来月の文化祭で魔法学科のクラスは『占いの館』をやる事になったから。


 コイツの魔法力じゃ占いなんか100パーセント当たらないだろうな、とは思っていたけれどそれ以前の問題だった。そもそもカードの種類を覚えていない。てか覚えられない。このポンコツ頭では。


「タロットは無理ね。カードの種類、意味、占いの種類と手順、覚える事が多すぎる」


「そんな」


 文化祭への意気込みだけは人の倍なんだけれども、いかんせん実力が付いていってないマナは悲しげに私を見る。そんな目されても困るわ。あんたの馬鹿を私が治せるワケないでしょ。


「……じゃあ、水晶試してみる?」


 タロットよりさらに如実に魔法力が反映される水晶なんか、尚更マナには向いてないとは分かっちゃいるけど。あまりにもポンコツの張り切りが空回りしてて憐れなので、私はロッカーに保管してある教材の水晶を持ってきて机の上に置いてやった。


「占いに必要なのはとにかく集中力。気分を落ち着けて、水晶に魔法力を送って」


「うーんぐぬぬ」


 前から思ってたけど、どうしてマナって魔法を使おうとするとき力むんだろう。そんな風に魔法力を押し出そうとする魔女なんて見た事ないんだけど。


「力まなくていいから。静かに気持ちを落ち着けて」


「うーんうーん」


「水晶の中に星を見つけるのよ。そこから世界が見えていくから」


「星……星……星……」


「何か見えてきた?」


 私の質問にマナはフルフルと首を横に振った。まあ、そうだろうね。到底この子の魔法力と集中力じゃ無理だって。けれどそれをハッキリ言うとまた凹むだろうなあ、と私は少し思案に暮れ


「マナ。占いよりアンタに向いてる仕事しよう」


無理矢理新しい案をひねり出した。


 


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