第四話 先生、ゴーレムが動きません!
第4話 先生、ゴーレムが動きません!
それは、一学期の終業式の日の事だった。
「ララちゃん、いっしょにアルバイトしない?」
返された通知表の劇的な惨状にもめげず、アホの子マナはニコニコとそんな事を言いながら私の席に寄って来た。
うちの学校は確かにアルバイトを禁止していない。それどころか魔法力を活かして社会貢献が出来るのなら、アルバイトでもボランティアでも積極的に参加を認める方針だ。そういう点では実にお利口な行動を取ろうとしているマナだけど。
「駅前の占いハウスが魔女のアシスタントを募集してるんだって。行こうよ行こうよ」
「いやいやいや。アンタそこで何の役に立つつもりよ」
「…………占い?」
「いやいやいや。アンタ水晶もタロットも赤点だったよね」
何故に魔法力ほぼ0のコイツが魔女としての求人に応えようとするのか。身の程をしりなさい。
「アルバイトしたい」
今日も今日とてポカンと間の抜けた笑顔を浮かべたまま、マナは何故だか勤労意欲に火を灯している。役に立たない勤労意欲って資源の無駄だよね。もったいない。
「魔女の求人は止めときな。間違いなく初日でクビになるから。フツーのコンビニとかファストフードとかにしときなよ」
まあそれはそれで不安だけど。掃除くらいなら出来るんじゃないかな。のたーっとしてるからレジは無理そうだけど。
「ララちゃんが一緒ならどこでもいい」
「えー……」
なんで私まで働くことが前提なのよ。アルバイトなんかしたくないし、そもそも私がやるんだったら時給のいい高等魔法作業に応募するわよ。
そう言って断ろうとしたけれど、ジーっと私を無垢すぎる瞳で見つめているマナを見ると不安が湧いてくる。コイツをひとりで働かせるのは危なすぎる。失敗して怒られるとかそんなレベルじゃなく、悪い大人に『いい仕事あるよ』って騙されてとんでもない事になったりしかねない。うわわわ。
どうしようか迷っていると、マナは手に持っていた求人誌をペラペラ捲り出して
「……簡単なおしごと、女の子募集だって。ララちゃん、これどうかな」
早速怪しい仕事をチョイスしようとしていた。飛んで火にいる夏の虫ってこういう事か。凄いカモっぷりを目の当たりにした。
「分かった、一緒に働いてあげる。ただし仕事は私が選ぶから文句言わないこと」
面倒な事この上ないけど、ルームメイトが警察の世話になるような事態は夢見が悪い。貴重な夏休みにいらん労働をする事にしぶしぶ同意してやると、マナは顔をニパーッと一層輝かせ
「ララちゃんと一緒にアルバイト嬉しいなー。なんのお仕事かなー。可愛い制服だといいなー」
夢見がちな勤労意欲を燃やしていた。あー心配だなあもう。
かくして、高1の貴重な夏休みをアルバイトで潰す羽目になった私は、何をやらせてもポンコツなマナのために極々簡単な仕事を探すのであった。




