先生、精霊が呼べません!5
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「ビビさん、見て見てー。ララちゃんと妖精さんとプリ撮ったんだー」
希望通り3人でプリクラを撮りご満悦のマナは、部屋に帰ると早速ベッドで寝ていたビビにそれを自慢した。
「は? お前今日、ララに召喚教わるんじゃなかったのかよ。なんで妖精とプリクラ撮る事態になってるんだ?」
「ズッ友だから」
「おいララ! 俺にはコイツの言ってる意味がサッパリ分かんねえ! お前が説明してくれ!」
言葉は通じても話が通じないマナに業を煮やしてビビがこちらに助けを求める。ええい面倒くさい。私は端的に簡潔に端折りに端折って事のあらましを説明した。
それでもなんとか理解したビビが「お前、ほんっとバカだな」と呆れながらも、椅子に座ってるマナの膝の上に移動した。
「今度はビビさんも一緒に撮りに行こう」
「ぜってーヤダ」
相変わらず口は悪いのに、黒猫ときたら今ではすっかり背中を撫でるマナの手を心地良さそうに受け入れている。なんだかんだデレたな、コイツも。
膝の上で丸くなるビビの背中を撫でながら、マナはるりるりと嬉しそうな笑顔でプリクラを眺め続ける。私の手にも均等に分けられた同じプリクラ。口角を上げては見たものの、やっぱり引きつってる私と、もはやギャルにしか見えないノリの妖精。それにプリクラでもやっぱりホワホワと間の抜けた笑顔のマナの3人が『ズッ友』やら『☆魔女&フェアリー☆』やらの文字に囲まれ写っている。くそダサい……。
目の届かない机の引き出しの奥にそっとプリクラをしまった私とは対照的に、マナはスマホやら生徒手帳やらにやたらめったと貼りまくっていた。うわ。と思ったそのとき。
「ララちゃんこないだはゴメンね! お詫びに花火やろう!!」
高速ノックと共に部屋のドアが勢い良く開かれ、シホが意味不明な事を言いながら飛び込んできた。
「花火っ」
シホの“花火”という単語にめざとく反応したマナが、目を輝かせ椅子から立ち上がる。あ、ビビ落ちた。
「あたしも花火まぜてー」
シホにテタテタ駆けて行ったマナを、床に落ちたビビが「マナ、こら、てめえ」と睨んでるけど、既にテンションが上がってるマナの耳には届いていない。
「いいよ! いっぱいあるからマナちゃんもやろう!」
そう言って嬉しそうにシホが持ち出した花火は、なんと抱える程の大袋にぎっしり詰め込まれている。なんじゃこりゃ。花火セットてレベルじゃないんだけど。
「うわーいっぱい」
「何これ、すごい量……どうしたのこんなに」
「コンビニで700円くじ引いたら当たったの!」
コンビニ太っ腹だな、と思いながら袋を覗いて見ると中には手で持つタイプの他にも打ち上げるタイプのものやらロケット花火やネズミ花火やらと色んな種類が詰め込まれていた。
「3人じゃやりきれないよ、これ。寮の子みんな誘ったら?」
私の提案にシホとマナはキラキラした瞳をすると大きく頷き、颯爽と他の子を誘いに駆け出していって廊下でコケてた。




