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五職(ペンタ)の世迷人

国会議事堂

それは日本の政治における中枢。

幾多の政治家たちが国の運営と自身の繁栄をかけて戦う戦場。

利他的に日本のことだけを考える偉大な政治家もいれば、利己的に自身の繁栄のみを追求する矮小な政治家もいる。

そんな権謀術数が蔓延る魔窟。それが国会議事堂。


と、日本の中心ともいえる機関、日本国民ならば誰もが知っているそれは異世界にもあったようです。


「どうしました?冒険者ギルドの本部はこの中ですよ。行きましょう」


「え、ああ。そうだね。そうしよう」


国会議事堂にそっくりの中央議会に度肝を抜かれたがここは異世界、何でもアリなんだろう。


中央議会の正面玄関をくぐると、中央に大きな階段。そして左右に大きな扉が1つずつ。


「この右側の扉の奥が冒険者ギルドです。左側は街人ギルド、階段を上がって右が商人ギルドで左が魔導ギルドで、地下に鍛冶ギルドがあります」


そう言って大階段右の扉をくぐるアーニャ。

それに続いて扉をくぐると、そこはまるで大手銀行の待合室と酒場を横に引っ付けたような少しちぐはぐ感のある場所だった。


「それじゃ、私はクエストの達成報告をしてきます。ゼンさんは冒険者登録ですから、一番左の受付で冒険者登録に来たっていえば手続きしてもらえますよ」


「わかった。いろいろとありがとう」


「どういたしまして。それじゃあ、またあとで」


「ああ、またあとで」


アーニャと別れ、俺は一番左の受付へ赴く。

他の受付は数人並んでいる程度だが、一番左の受付だけは誰も並んでおらず、すぐに対応してもらえそうだ。

おそらく、新規登録専用の受付なのだろう。

受付では、緑色の長い髪を後ろで結ったエルフのお姉さんが座っていた。


「すみません、冒険者登録をしに来たのですが」


「はい、新規冒険者登録ですね。ではそちらにお座りください」


お姉さんは対面にある椅子に座るよう促す。それに従い椅子に座る。


「では冒険者登録にあたってこちらの書類に必要事項をお書きいただくことになります。代筆も可能ですがどうされますか?」


もちろんこの世界の文字は1文字すら書けない。


「代筆でお願いします。私は字が書けませんので」


「かしこまりました。では名前と年齢、出身地と主な武装、あとは冒険者になる動機をお願いします」


「はい。名前はサエキゼン、年齢は24です。出身地は日本で主な武装は短剣、冒険者になる動機は煌龍様に勧められたからです」


「・・・はい?」


なにかわからないことでもあったのだろうか。結構簡潔にしか言っていないはずなんだけど。


「・・・・・申し訳ありませんゼンさん。えっと、出身地と動機をもう一度お願いできますか?」


「はい。出身地は日本で動機は煌龍様に勧められたからです」


「・・・・・・」


無言になるお姉さん。


「えっと、何かおかしい事でもありましたか?」


「ゼンさん、あなたの言う煌龍様というのは・・・」


「煌炎龍グラン・リオン様のことですが」


アーニャ曰く、五大龍王として有名だったのではなかったか。


「少々お待ちください、上のものを呼んでまいります」


そういうや否や、結構な速度で裏へ引っ込んでいくお姉さん。

数分後、お姉さんと一緒にハゲ、というのは少々はばかられるくらいの後退具合のオッサンと、敏腕女弁護士といった風情の女性が戻ってきた。


「煌龍様に勧められてきたとか寝言をほざいたのはお前か?」


オッサン、いや、こんな突然ぶしつけな質問を投げかけてくるような奴はハゲで十分だな。

ハゲが質問をぶつけてきた。


「寝言ではなく本当のことですので。ところで、あなた方は?」


「俺はオルガ。ここの副ギルド長だ。そしてこっちは」


「鑑定士のエルダです」


まさかのお偉いさんだった。鑑定士を名乗るエルダさんの方はよくわからないけど。


「で、煌龍様に勧められてきたと言ったらしいが、何か証明するものはあるか?」


まずこのハゲは俺と煌龍様に接点があるということを疑っているらしい。


「これが証明になるかわかりませんが、これが煌龍様から頂いた短剣と腕輪です」


そういって右手に着けていた腕輪と右足に着けていた短剣を外し受付のカウンターに置く。


「エイダ、鑑定をしてくれ」


「はい」


エイダさんは短剣と腕輪に手をかざし


「『-鑑定-』」


魔術を発動した。あれ?魔術って詠唱がいるんじゃなかったっけ?


すると、短剣と腕輪の上にステータス画面のようなものが浮かび上がった。

知らない言語の文字ではあったが、なぜか意味は十全に理解できた。



○●○●○●○●○

名称・緋炎のナイフ+6

特殊効果

スロット1・精鋭化

スロット2・赤熱

スロット3・なし


煌炎龍グラン・リオンの爪から作られたナイフ

○●○●○●○●○


○●○●○●○●○

名称・煌炎龍の腕輪

特殊効果

スロット1・煌炎龍の守護

スロット2・凍結無効


煌炎龍グラン・リオンの鱗から作られた腕輪。

煌炎龍グラン・リオンが認めたものにのみ与えられる。

○●○●○●○●○



武器のステータスだ。

鑑定はこういった物のステータスを調べるものだったらしい。

とはいえ、これで俺が煌龍様と接点があることは証明された。

煌炎龍の腕輪とか『煌炎龍グラン・リオンに認められたもののみに与えられる』って書いてあるし。


「これは驚いたな。お前本当に煌龍様のところから来たのか」


「だから何度もそういっています。これで冒険者登録は続けられますか?」


「あぁ、大丈夫だ。さすがに煌龍様のところから来たやつを相手にする以上、俺が対応することになるが構わないな?」


「はい、構いません」


正直、エルフのお姉さんの方がいいです。と言いたいところだが、時間の無駄になりそうなので心の奥に潜めておく。


「これからお前さんのステータスと天職(ジョブ)を調べて登録する。エイダ、よろしく頼む」


「はい。それではゼンさん、まずはステータス確認からしますがよろしいですか?」


「はい、大丈夫です。で、私はどうしたらいいですか?」


「そのまま座っていただいていて大丈夫ですよ。では『-ステータス鑑定-』」


エイダさんがステータス鑑定とつぶやくと、俺とエイダさんの間に緋炎のナイフと煌炎龍の腕輪の時と同じステータス画面が浮かび上がってきた。



○●○●○●○●○

名前・サエキ ゼン

種族・人間(ヒューマン)【世迷人】

年齢・24歳

出身・日本


HP 480/480

MP 1272/1272

STR(力) 409

VIT(守備) 378

AGI(素早さ) 327

INT(知能) 470

MND(精神力) 468

DEX(器用) 897

LUK(運) 255

○●○●○●○●○



まずこの世界での平均的な能力が全く分からないので、自分がどれくらいの能力があるかは判然としない。

数値だけ見るならSTR、INT、MND、DEXが高い。特にDEXは2番目に高いINTのほぼダブルスコアだ。


「これは・・・すごいですね」


「あぁ、こりゃ驚いたな」


エイダさんとハゲが目を真ん丸にしながら絞り出すようにつぶやいた。


「私、これほどまでに高い数値のステータス見たことありませんよ」


「確かに、この数値はそうそう拝めるもんじゃねェな。MPやINTなんて宮廷魔術師でもいいとこ300だってのに。INTは現時点で1.5倍、MPに至っては4倍だぞ」


「それに、HPやSTRもです。こんな数値、ベルン帝国の三大将軍並ですよ。一個中隊程度なら一人で蹴散らせるレベルです」


・・・異世界から来たらチート持ちでしたってよくあるテンプレだけど、俺もそれに漏れずテンプレ通りのチート持ちだったようです。


「・・・オルガさん、ちょっとここ見てください。【世迷人】ってたしか・・・」


「【世迷人】ォ!?おいエイダ、このステータスほんとに間違いないのか!?」


「ステータスは一部隠匿はできても改竄はできません」


「おいお前、ゼンって言ったか。ステータスでは世迷人って書いてあるが、これは本当か?」


ステータスの高さに驚いた時とは比べ物にならない剣幕で詰め寄ってくるハゲ。顔が近い、近づけるならエイダさんの顔にしてください。


「煌龍様の話ではそうらしいです。世迷人だとなにか冒険者になるのに不都合があるんですか?」


「いや、そうではないんだが・・・まぁいい。世迷人に関しての事情は登録手続きが終わってからしてやる。エイダ、あとは天職鑑定をしてくれ」


「はい。ではゼンさん、これから天職鑑定を行います。その前に、天職についてご説明しようと思います」


「はい、お願いします」


「ごほん・・・では。天職とは個人が神から与えられた職業のことです。一般的に一人が持つ天職の数は1~2つ程度、まれに3つ天職がある人もいますがそれは大体1万人に一人いるかいないか程度です。また、複数の天職を持つ人は大体似通った天職を持っていることが多いです。また、2つ以上の天職を持つ人間のステータスが一定を超えると新しい天職に目覚めることがあります。たとえば【魔術師】と【僧侶】の2つの天職を持つ人が新たに【賢者】に目覚めるといった具合です。そして、天職が1つの人をシングル、2つの人をダブル、3つの人をトライ、4つの人をスクウェア、5つの人をペンタ、6つの人をヘキサと呼びます。とはいえ、ペンタ以上の冒険者はかつて魔王を討伐した勇者ただ一人だけです。」


なるほど、いわゆるジョブチェンジはないけど複数のジョブからの派生はありということか。

つまり、ギガ○インといなづまからジゴ○パークを思いつくような感じ、いやちょっと違うか。


「さて、これで天職の説明を終わりますが、何かご質問はありますか?」


「いえ、今は特にありません。もし今後天職に関して質問ができたらエイダさんに聞きに来てもいいですか?」


「ええ、構いませんよ。私はいつでも冒険者ギルドにいますので。では、天職鑑定を始めます」


「はい、お願いします」


「『-天職鑑定-』」


さて、天職はどんなものになるんだろうか。



○●○●○●○●○


サエキ ゼン

天職

賢者(セイジ)

錬金術師(アルケミスト)

鍛冶師(ブラックスミス)

鑑定士(アプレイザー)

(サムライ)


○●○●○●○●○



ステータスだけじゃなくて、天職もチートだったようです。


本当は一昨日更新する予定でしたが、書き終わってたのにもかかわらず仕事が忙しく更新していませんでした。

次からは大体3日ごとのペースで更新していこうと思います(努力目標)

ゆったりとした更新にはなりますが、暖かく見守ってやってください。


誤字脱字の指摘、感想は随時募集中です。是非是非お寄せくださいませ。

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