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ビー玉の秘密

「これは、なんだ」


ひどく驚いたように口を開く煌龍様。

こちらとしてはわけがわからない。もちろん、ガラスの製法が存在しない世界では宝飾品の類として重宝されるのではと少し考えたが、そういう感じではない。

なにか、信じられないものを見たような声色だ。


「これがビー玉というものですが、どうかされましたか?」


戸惑いと疑問を込めてそう聞くと、煌龍様は思案しながらも俺の質問に答えてくれた。


「このビー玉という玉だが、おそらく魔力との親和性が恐ろしく高い。今現在も空気中には我からあふれ出した魔力が充満しておる。そしてそのビー玉はそれを吸収し内にとどめているようだ。調べてみなければわからんがもしかすると魔法、魔術の術式そのものを内に留められるかもしれん。」


「えっと、それはどういう・・・それに、魔法?」


まぁドラゴンがいて、しかも言葉を話すほどファンタジー色が強い世界だ。今更魔法が存在したところで驚かないけど。


「うむ、貴様の世界がどうであったかは知らぬが、この世界では魔法や魔術と呼ばれる技法が存在している。魔法は事象の発現、つまり、火をつけたり水を作り出したり風を吹かせるなどのことをいう。これに関してはその力の特色の強い土地にある魔力と親和性の高い石などが秘めていることも少なくない。たとえば火の魔法なら火山、水の魔法なら海中などになり、これを魔石と呼ぶ。ものによっては人間の生活に利用されているものも多くあるという。そして魔術とは、魔法で起こる事象を操作して操るものをいう。たとえば炎や水を操作し矢や剣、盾にしたり、土魔法のゴーレム生成なども魔術にあたる。そして、このビー玉とやらはこの魔法や魔術の術式を取り込むことができるかもしれぬ。たとえば炎を盾にする魔術はいくつもの行程を経て発現するが、術式を取り込むことができればこのビー玉は魔力を通すだけで炎の盾を作り出せるようになる。つまり、ごく一部のものが今まで修行によって得た工程を飛ばし魔術が使えるようになるというわけだ。」


煌龍様の言葉が真実であれば、ビー玉は非常に有用な、それどころか存在するのであれば戦略級や戦術級の魔術を取り込むことによって1つで核兵器並みの効果があることになる。

あまりにも効果的で、かつ恐ろしいものだ。


「そんな力が、ビー玉に・・・」


百円均一で20個108円 (税込)で売っていたものとは到底信じられない。3つ買ったから今の手持ちは60個。一財産どころかやりようによっては国相手にケンカができるかもしれない。


「もちろん、取り込めるかどうかは我の推測だ。もし貴様が望むのであれば調べてみるのも一興だが、どうする。」


「煌龍様がお調べになるのですか。」


「うむ、これでも我は300年以上生きておる。魔術においても数十年程度生きただけの魔術師よりも理解しておる。」


つまり、煌龍様は優秀な魔術師でもあるということか。ドラゴンを魔術師というのかはさておいて。

しかしながら、これは渡りに船ではないだろうか。煌龍様からこういう提案をしたということは、煌龍様もこのビー玉の潜在能力に興味があるのだろう。そもそも俺自身は魔法魔術に関して基礎の基礎も知らない異世界人だし、それこそここから出て外の人間に調査を依頼すれば俺がビー玉を複数持っていることやその有用性が広く知られることになる。そうなれば俺の身にも危険が及ぶだろう。ならばここで煌龍様に調べてもらえば他に情報が流出する可能性は外の人間に調査してもらうよりはるかに低い。もしここで煌龍様がビー玉の有用性から俺を害したとしても、そもそも外に出て調査しても同じ結果になる可能性が大いにある以上、大した問題ではない。いや、害されたくはないけど。

何はともあれ、リスクは煌龍様に頼むのと外人間に頼むのでは前者の方が圧倒的に低くリターンも大きい。ここは煌龍様に依頼するべきだろう。


「それでは煌龍様、ビー玉の効果の調査お願いしてもよろしいでしょうか。」


「うむ。それではビー玉を数個、我の前へ。これほどのものだ、2~3日ばかり時間がいる。その間我が住処の滞在を許そう。ここには我以外の生き物はおらぬし、食べ物も食物庫に備蓄がある。そこの扉を出て左に行けば人間が休むくらいのスペースはあるから、調査が終わるまではそこで生活するがよい。」


煌龍様に指示られた方を見ると2mほどの高さの扉があった。しかし、煌龍様が出入りするのは明らかに無理であろう大きさだ。


「ありがとうございます、煌龍様。しかしながら、なぜこんな大きさの扉が。煌龍様が通るにはあまりにも小さい扉だと思うのですが。」


「その扉は人間や亜人が訪ねてきたときに使用する扉だ。我は滅多に外に出ぬ上、外に出るとすれば天井の穴から飛んで出る。その扉を使えなかったところで何も困らん。奥にある部屋も訪ねてきたものが滞在するためのものであるから遠慮などはいらん。」


なるほど、この扉は来客用だったのか。それなら納得だ。それに、人が滞在する空間として部屋があるならそんなにひどい場所ではないだろう。


「わかりました。ではビー玉をお渡しします。調査の方よろしくお願いいたします。」


5つのビー玉を煌龍様の前に差し出し、頭を下げる。


「うむ、任された。貴様が滞在する間、研究と並行してまた貴様の世界の話をまた聞かせよ。興味深いものが多く存外心が躍った。」


「はい、もちろんです。では、失礼します。」


煌龍様の提販を快く受け入れ、来客用の扉から滞在用の部屋へ移動した。


またまた更新が遅くなり申し訳ないです。E-3で三隈も熊野も来ないのが悪いのです。

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