表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/14

オークと女騎士は様式美のはず

「いやー!!助けてー!!!」


叫ぶ声のする方へ顔を向けると、鎧を着た赤い髪の女の子が全力ダッシュでこっちに向かってきていた。

そしてその後ろには3m弱はありそうな豚っ鼻のモンスターが3体と3m半くらいのブサイクなモンスターが1体。

たぶん、というか完全にオーク。大きい方はトロールかな。

とりあえずモンスターに鑑定を発動。この距離で鑑定できるのかはわからないけど。


○●○●○●○●○

種族・グリーンオーク1


HP 48/48

MP 1/1

STR(力) 32

VIT(守備) 13

AGI(素早さ) 9

INT(知能) 3

MND(精神力) 2

DEX(器用) 2

LUK(運) 6

○●○●○●○●○


○●○●○●○●○

種族・グリーンオーク2


HP 45/45

MP 2/2

STR(力) 30

VIT(守備) 11

AGI(素早さ) 8

INT(知能) 2

MND(精神力) 2

DEX(器用) 1

LUK(運) 8

○●○●○●○●○


○●○●○●○●○

種族・グリーンオーク3


HP 50/50

MP 0/0

STR(力) 29

VIT(守備) 11

AGI(素早さ) 10

INT(知能) 2

MND(精神力) 2

DEX(器用) 1

LUK(運) 8

○●○●○●○●○


○●○●○●○●○

種族・グリーントロール


HP 63/63

MP 4/4

STR(力) 46

VIT(守備) 20

AGI(素早さ) 9

INT(知能) 4

MND(精神力) 2

DEX(器用) 2

LUK(運) 4

○●○●○●○●○



おお、50mくらい離れていても鑑定ってできるんだな。



「やだー!こっち来ないで!誰か助けてー!」



追いかけられてる少女は半泣きだ。そらそうだ、男の俺でもあんなキモいモンスターに追い掛け回されたら泣きたくもなる。


「そ、そこのお兄さん!助けてください!!お願いします!」


少女と俺の距離はおおよそ20mくらい。そこまで近づいてやっと俺の存在に気付いたらしい。

とりあえず炎鎗を発動。少女が十分近づいたのを見計らって先頭のオークの顔面に叩きつける。

ドンッ!と豪快な音を立てて爆ぜる炎鎗。残ったのは頭の無いオークの死骸と炎鎗の余波に背中を押されてすっころび、気絶した赤髪の少女。


「ブヒ?」


ブヒっておまえ・・・

テンプレそのままの鳴き方をしたオークとトロールは、何が起こったのかわからないのか呆然と仲間の死骸を見つめ、数秒後、怒りの形相で俺を睨みつけてきた。

仲間を殺されたせいか、はたまた狙っていた獲物との間に割り込んできたからなのか。


「「ブモォォォォォ!!!」」


2体のオークは手に持った棍棒を振りかざして襲いかかってきた。

ブヒだったりブモだったり、豚か牛かはっきりしろよ。

とりあえず、複数の相手と戦うときは機動力を削ぐのが基本。

何の連携も取れていない、ただ真正面から棍棒を振り下ろすだけの攻撃をあえて前に進むことで回避し、左側のオークの足に居合いを放つ。

足を傷つけて隙を作るつもりだったその攻撃は、あっさりとオークの左足を斬り飛ばした。

突然足を失ったオークはそのままバランスを崩し隣のオークへ倒れこむ。

折り重なるようにして倒れたオークたちの首を一刀で刎ね、息の根を止める。


「足に怪我させるだけのつもりだったんだけどなあ。ま、結果オーライか」


最後に残ったトロールは、棍棒に両掌をのせた、まるで守護者セイ○ーのような威風堂々とした立ち姿でこちらを見ていた。

まるで「ほう、人間風情がなかなかやるものだな。だが、あのオークどもと私は一味違うぞ?」とでも言いたげな雰囲気である。

いやお前、オークに毛が生えたくらいのステータスしかなかったじゃん。

ふんっ、と鼻を鳴らしゆっくりと棍棒の柄を握るトロール。

とはいえ相手はモンスター、こっちが待ってやる道理などない。

ノータイムでトロールの足に炎鎗を投擲。

吹き飛んだ足のせいで倒れこんだトロールに向かってとどめを刺すべく接近する。

「えっ?ちょっとタンマタンマ!」と言いたげなトロールの顔をさっくり無視し、オークと同じく首に居合い一閃。

音もなく首が落ち、断面から夥しい血しぶきが上がる。


「…モンスターとの初戦はもっとこう、鬼気迫る感じになると思ってたんだけど…」


実際には一匹につき1~2発の攻撃で沈め、自分は無傷。何とも拍子抜けな結果だった。


「っと、そういやあの子大丈夫かな」


余波ですっころんだところまでは見たけど、そういや放置しっぱなしだ。


「きゅう・・・」


ネコが伸びをする時のような、尻を突き出した状態で少女は気絶していた。


「おーい、お嬢ちゃん大丈夫?」


近くによってしゃがみこみ、声をかけるも返事はない。

とりあえず肩をたたく。無反応。

突き出したお尻を撫でる。さわさわ。

小ぶりだが形はとてもいいし肉付きもほどほどだ。


「んっ・・・」


おぉ、ちょっと反応した。

もうちょっと撫でる。さわさわ。


「んんっ・・・!」


ぴくぴくと頬を上気させて反応するが、目を覚ましそうにはない。

さすがに目撃者がいないとはいえ、これ以上やるとお巡りさんこっちですなことになりかねないのでお尻を撫でるのは一旦やめる。

これ以上どころかもうすでにアウトな気がしないでもないけどあえて考えない。

少女を仰向けに寝かせ、ソフトボール大の水球を精製して少女の顔の上へ。

水球の維持をやめると、魔力によって空中に固定されていた水球はそのまま落下し少女の顔へ。


「わぶっ!げほっごほっ、なん、なに?!」


「目は覚めたかなお嬢さん?」


「え?あれ、さっきまで私、オークとトロールに追いかけられて……はっ!そう、オークとトロールは!?」


「えーと、オーク2体とトロールはそこ、もう一体のオークはもうちょっと向こうに転がってる。全部死体だけど」


俺が指差す方向に顔を向け、自分が助かったことを理解したようだ。


「あ、ありがと、はっ、違った。うむ、よくやった冒険者よ」


突然立ち上がって腕を組み、偉そうにのたまう少女。


「どうしたんだ?頭打った?」


「打ってないよ!ちょっと痛かったけど!じゃなくて、私に怪我はない。オークやトロールも討伐したようだな。よくやった。後日、正式に報酬を支払おう」


……どうしよう、どうにも見た目14~15歳くらいの女の子が下手くそな演技してるようにしか見えない。

正直言って痛い。


「まぁ、君が無事ならいいや。さすがに女の子一人こんなところに放置していくわけにもいかないし、一緒にオスティアに来る?」


「お、女の子じゃないにょ!」


あ、噛んだ


「わ、私はリキア皇国王、エリウッド・リキアの息子で第二皇子のイレイウス・リキアだ!貴様、冒険者でありながら自分が滞在する国の王族も知らないのか!」


……そんなアホな。


「そんなアホな」


「誰がアホだ!口を慎めこの無礼者め!」


やべ、口に出てた。


「いや、だって君女の子やん?」


「だから違うと言っている!大体なんだそのちょいちょい出てくる妙な訛りは!?馬鹿にしているのか!いや、そうじゃなくて、国の王族と会話しているのだから最低限敬語を使ったらどうなんだ!」


えー、絶対女の子だよ。だってお尻ぷにぷにだったよ?

というか、この子ちょいちょい演技崩れるな。


「ちょいちょい演技崩れるな」


「演技じゃないにょ!」


また噛んだ。


「演技ではない!私は正真正銘リキア皇国の第二皇子のイレイウスだ!」


「……『ステータス鑑定・詳細』」


「あ、こらっ!」


○●○●○●○●○

名前・イーリア・リキア

【詳細】リキア皇国第二皇女

種族・人間(ヒューマン)

BWH・82/56/79

年齢・16歳

出身・リキア皇国


HP 48/46

MP 72/72

STR(力) 19

VIT(守備) 18

AGI(素早さ) 12

INT(知能) 47

MND(精神力) 46

DEX(器用) 43

LUK(運) 25

○●○●○●○●○



第二皇女?


「君お姫様なの?」


「お、王族を鑑定するなんて不敬だぞ!ちょ、ちょっと!なんでスリーサイズまで出てるの!?恥ずかしいからやめてよ!」


「おーい、演技崩れてるよー」


「もういいよ!ばれちゃったんだから!」


あ、開き直った。


「で、なんでこんなところでお姫様がオークに襲われてたの?それは女騎士のポジだよ?」


「何言ってるのかよくわかんないけど、ろくでもないことだっていうことはわかったよ」


いやいや、オークに襲われて女騎士が「くっ、殺せ!」っていうのはもう様式美といってもいいと思う。


「あいつらに襲われてたのは、その、ちょっと護衛騎士団から離れてたら襲われたんだよ」


「護衛、役たたねぇな」


護衛対象から目を離して護衛対象が襲われる。ほんと存在価値を疑うレベルだわ。


「だって、その、……レ行きたかったんだもん」


「ん?なんだって?」


「だから、トイレに行きたかったの!」


「……ああ、そういう」


性別をごまかして軍にいるなら女性用のトイレに行くわけにもいかないし、男と違って立小便なんかはできないか。


「それなら今までどうしてたんだよ。いつも騎士団から離れてたわけじゃないだろ?」


「……メイドのリーリャは私が女だって知ってるから、いつもついてきてもらってたんだよ」


「ああ、そりゃ身内に知ってる人の一人や二人いるか。で、そのメイドさんは」


……さまー


「ん?」


……めさまー!

なんか聞こえる。というか、なんかものすごい粉塵巻き上げながら何かがこっちに向かってきてる!


「姫さまぁぁぁぁぁ!!!!」


粉塵を巻き上げながら、メイド服姿の女性が鬼気迫る表情でこっちに突っ込んできた。


「姫様!ご無事ですか!?おのれ賊め!貴様姫様を誘拐してどうするつもりだ!?ここで息の根を止めてやる!」


メイドさんはスカートの中からアーミーナイフのような大ぶりのナイフを抜き放ち、イーリアを背に鬼の形相でこちらを睨みつけてきた。


WSの大阪地区に行ってたら投稿が遅くなるという……シカタナイネ

誤字脱字や感想など募集しております!

……次はもっと早く書こう(フラグ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ