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第一の書 主人公は旅立つもの

俺の名前はユウシャ、この世界の主人公として魔王を倒し伝説に名を刻むはずだった男だ。


そんな俺は今、家でゴロゴロしている。

魔王が消え、この世界は平和になった。まだたくさんの魔物は生き残ってはいるが、全滅するのも時間の問題だろう。


かつての英雄、俺の母もすっかり一般人の仲間入りになり家事に専念している。


そんな母に頼まれ買い出しに行く主人公の俺……絶対こんな展開間違ってる。俺、ファンタジーの主人公だよ?魔物倒してこその主人公じゃないの?

そう思いながら晩御飯の食材を買う俺、まさかこんな展開がずっと続くわけないよな…


「誰得だよっ!」

思わず一人ツッコミしてしまった。野菜売りのおじさんにめっちゃ見られてる恥ずかしい。


恥ずかしさのあまり早歩きで家へ向かっていると目の前を歩くカップルが不安そうな顔で何やら話しているようだ。少し気になったので歩く速度を遅めてカップルの会話に耳を傾ける。


「どうしようダーリン私怖いよ。」

「大丈夫だよハニーただの噂だよ。まさか”魔王が復活した”なんてありえないよ。」


とても殴りたくなったが気になるワードがあったのでそれどころではなかった。


”魔王が復活した”


「君たち!その話詳しく聞かせて!」


カップルの話をまとめると、どうやら最近魔物の数が増えてきているそうだ。冒険者達が魔物を討伐しているはずなので魔物を見かけるのが珍しいくらいなはずなのだが、街の外は魔物で溢れているらしい。

そして魔王が復活してまた魔物を生み出しているのではないかという噂が広まっているらしい。インドア派の俺は全く知らなかった。

俺はカップルにお礼し、急いで家に帰った。


家に帰るなり俺は母に問いただした。

「母さん、魔王が復活したって噂本当なのか!」

「どうやらそうらしいわね。王様から調査依頼の手紙がきてたわ。」

そう言って引き出しから手紙を取り出して渡してきた。もうそこまで噂は浸透していたのか。

手紙を読ませてもらった俺は母に聞く。

「母さんはこの依頼受けるのか?」

王様直々の依頼だ、報酬も当然でるだろう。

「私はもう年だし、家事に集中したいから依頼は断ろうと思ってるよ。」

それもそうか。いくらかつての英雄とはいえ年は取るし平和慣れもしてしまう。断るのも納得がいくな。

でもそれって俺にとってチャンスじゃないか?

そう思った瞬間に俺は口に出して言った。


「その依頼、俺が受けるよ。」



街の一番奥には王様の城がそびえ立っている。

城の門番に説明し、王様と面会させてもらう。


「ユウシャよ大きくなったな。依頼を引き受けてくれて感謝しておる。」


事情は通っていたのか話はすんなりとすすんだ。


「感謝など恐れ多いです。俺はただ街の人の不安の種を解消する手助けをしたいと思っただけです。」

やっと冒険が始まるんだ、むしろこっちが感謝したいくらいだ。魔王よ、どうか復活しててくれ。そして俺に名誉を。


「流石、英雄ママスの息子だ。ろくな装備がないだろう。そこの宝箱の中に旅に必要な物が入ってある。好きにしてよいぞ。」


旅の援助までしてくれるのか、流石王様は太っ腹だ。昔、母が使っていた装備は全部売り払ったしありがたい。


「すいません。感謝します。」

きっと立派な剣と鎧や飲むと復活する薬とかが入ってるに違いない。そう思い宝箱を開ける。


「えっ。」

思わず声にでてしまった。いや、だって宝箱の中に入ってたのは木の棒とボロボロの皮、おまけに萎びた草のみだし、コレあれだよね多分ひのきのぼうってやつと皮装備、これは…薬草だよね。


「では勇者ユウシャよ、良い成果を期待している。」

早口で王様はいい面会は終了した。


こうして俺、勇者ユウシャの魔王調査の冒険は始まった。



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