クラフト・アーツ2.75
「うっわー……本降りになってきたよ」
カフェテリアの軒先でそう呟く。
季節は六月に入り、そろそろ衣替えの季節。
私は休日に一人。衣笠の街でウィンドウショッピングを楽しんでいた。
本当は纒ちゃんや晶ちゃんも誘ったのだけど、二人とも用事で都合が合わなくて、結局私一人で寂しく街をまわっていた。休日でやることもなかったし。
……その途中で激しい通り雨に見舞われたのである。
しばらく様子を見ていたけどすぐには止む気配もなかったので、おとなしくカフェテリアに入る。
すぐに座席に案内される。
「レモンティーをホットで一つ」
流石に何も注文しないのは悪いと思ったのでレモンティーを注文する。すぐに暖かいレモンティーが運ばれてきた。
通り雨を待つ間にゆっくり休憩する。
ギリギリ雨に打たれる前に屋内に避難出来た。それは結構、幸運な事だったのかも知れない。
こういう休日ものんびりしてて悪くは無いな。と、一息入れていると、カランコロンとドアが開く音と共に、
「ビショビショなのです。今日はついてないのです……」
と最近はわりとよく聞くようになった声が聞こえてきた。
「あ、美作さん! こっちこっち」
「む。南坂さんです!」
私の方にトコトコと寄ってくる。
そのまま私の前の座席に腰掛けた。
「偶然ですね。こんなところで会うなんて」
カバンからタオルを取り出しガシガシと髪を拭いている。豪快だなぁと思う。
「あ、チョコパフェ一つ」
定員さんが注文を取りに来たら迷うこと無く美作さんはチョコパフェを注文した。
「ってそんなにビショビショなのに冷たい物を食べるの?」
少しタイミングが悪かったようだ。美作さんは結構、雨に打たれてしまったみたいである。
「南坂さんはわかってないのです。冷たくて寒いからこそ冷たい物を食べるのですよ?」
ニヤリと笑いながらそんな風に美作さんは呟いた。結構、最近は一緒に居ることが多いけど、まだよく美作さんの事はわからないことが多い。
「南坂さんは何でこんなところにいるのです? 補習は回避したのですよね?」
きょとんとした顔で思い出したように尋ねられる。
美作さんは五月末の試験で撃沈し、アーツ近代史以外の科目でクラス最下位を取って補習地獄に入ったと誰かが言っていたことを思い出す。
「休日を楽しんでたんだよ。もうすぐ衣替えの季節だし。夏物の服を見ておきたかったの」
「女の子ですねー。ウィンドウショッピングですか。羨ましい限りです」
ちょっとネガティブな感じでそう告げられる。きっと今日も補習だったのだろう。
チョコパフェが運ばれてきた。
「んー。やっぱりここのパフェは美味しいのです。美作の最近のお気に入りなのです!」
パクパクと食べながらそう話す。確かにパフェは美味しそうだった。
「あ、私もチョコパフェ一つ」
チョコパフェの魅力に耐え切れなくなって私も注文する。
そんな様子をニヤニヤと美作さんは眺めていた。
「こう南坂さんと向い合って話すのは初めてかもしれないのです。大抵、間に東雲君がいるのですからね」
そう思いだしたように告げる。
確かに。私も美作さんとこうやって二人きりになるのは珍しいと思った。
「よく美作さんって涼……東雲君と話してるよね。何を話してるの?」
気になったので聞いてみる。よく涼君と一緒に何かを相談しているみたいに二人で話していることが多いのだ。
「無理しなくていいですよ? 涼君で誰のことかわかりますし。クラス戦の事とか基本的に東雲君とは情報交換してるのです」
クラス戦とかか。
「東雲君は優れた軍師でEクラスの戦力をほぼ把握してるのです。それに美作の能力が加われば他のクラスと対等以上にやりあえるのですよ」
美作さんの能力って確か……涼君は覗き行為と言っていた。それと同じく恐らくEクラスで最強の能力とも。
「美作の能力は知ってます? 簡単に言ってしまうと幽体離脱で説明できちゃいますけど」
パフェを食べながら美作さんはそう呟く。
幽体離脱。意識だけが別の所に行ってしまうってことかな?
「まぁそういうわけで東雲君にも頼りにされてるのですよ。それは美作の自慢ですね」
エッヘンと胸を張る。
ちょっといいなぁと思ってしまう。
「で、話は変わって前々から聞きたかったこと聞いてもいいですかね?」
ふとパフェを食べる手を止めて美作さんはそんな風に呟いた。
「何かあるの?」
「いやー。そんなに大したことじゃないんですけど」
美作さんはニヤニヤと笑っている。
「ぶっちゃけ東雲君と何処までいってるんです?」
ブッとレモンティーを噴きかけた。
「なななななな何の。何のことかな? よくわからな」
「……その様子だとまだ何にも進展は無さそうですね」
美作さんは冷静にコンシェルジュを開いて何かを書き込んでいる。
「い、一体。何を見て私が東雲君とだなんて……」
「そんなの南坂さんの行動を見てたら誰でもきっと分かるのです。東雲君が朴念仁みたいなので先に南坂さんに聞いてみたのです」
つまらなさそうにスプーンをくるくると回している。
「そ、そんなにわかりやすい?」
美作さんの発言を認めるような発言に自分の耳まで赤くなってる自信がある。
「言うまでも無いのです。きっとクラスのほとんどの人が気がついてるのですよ?」
そこまでなの……と軽くめまいがした。そんなに大胆に行動はしてないと思ったのに。
「東雲君は優良物件ですからねー。きっとライバルも多いのですよ?」
パフェを食べることを再開しながらそう呟く。
「み、美作さんも?」
恐る恐る聞いてみる。
「む? 美作ですか? それはたぶん無いですねー。東雲君との関係は今のギブアンドテイクで十分楽しんでるのです」
ニヤニヤと笑いながらそう私に告げる。
それにちょっとだけ安心してる私がいる。
「聞きたいですか? 東雲君の事。これはちょっとルール違反ですけど、応援するぐらいのことは出来るのですよ?」
「聞きたい!」
そんな風に言われたら聞くしかないでしょ。
美作さんはコンシェルジュを操作して画面を表示する。
「東雲 涼。私達と同じ十五歳。誕生日は六月十二日。孤児院の出身。まぁここら辺の情報はこないだの勉強会で明らかになった部分ですね。珍しく三つも隣の県からこの学園に来てるのです。本人に聞いたら僕のアーツが特殊だからって言ってたのです」
三つ隣の県から来ていることは初めて聞いた。涼君ってあんまり自分の事を話さないからね。
「アーツ名はアクアマリン。非常に珍しい治癒術が使える能力者。学園でも結構重要視されていて、一年の今の段階から特別奨学生なんて呼ばれてますね。それに最近は治癒術を使ったアルバイトもしてるみたいです」
美作さんがどんどん情報を垂れ流してくれる。一体どうやって集めたのだろう。涼君がアルバイトしてるなんて初めて聞いた。
「ここからが南坂さんにとって肝心な話ですが、今。東雲君とお付き合いしている特定の女の子はまだ居ないのです」
それを聞いてちょっとホッとした。
「しかしよく一緒に食事に行ってる女の子はいるのですよ。南坂さんもしっかりしないと!」
あ、それは前に見たことがあった。
「神楽坂さん……だっけ?」
「あ、知ってるのですね。そうです。この学園の一年生でもう一人の特別奨学生。Aクラスの神楽坂 春香氏ですね。よくこの二人がご飯を食べてるところは美作も目撃してるのです」
それは……わかっていた。けど私に何か出来るわけでもないので指をくわえて見ているしかない。
「……東雲君と神楽坂さんの仲は横から見ていると仲いいですよ。実質三月からずっと同じ授業を受けてるので普通に良い感じの仲ですね」
ちょっと悔しい。けど私に何か出来るのかな?
「まぁこれは仕方ないのです。特別奨学生って一年じゃあの二人しか居ないですからね」
「一年じゃってことは他の学年には居るの?」
気になった事を聞いてみる。
「本来は二年次になった時に各クラスの上位三名と交換留学生が優遇処置として選出される制度を特別奨学生って言うのです。東雲君や神楽坂さんが一年次で選ばれたのは治癒術が使えるっていう特別な事情を考慮した上でなのです」
そう美作さんから説明される。
「南坂さんはこの学園にはクラス替えがないってこと知ってます?」
「うん。だから少し安心してる。三年間は皆と一緒だから」
確かこの学園の方針で、戦力を補える戦略を練ることが出来るように学年が変わってもクラス替えはなかったはず。
これは学園ごとに方針が違うからまた変わるかも知れないけどね。
「だから南坂さんにも十分、特別奨学生になる可能性があるのですよ?」
そこで思いがけない方向に話が転がった。
「え、私が特別奨学生? ないない。テストで補習をギリギリ回避してるような私だよ?」
笑いながら否定する。
「テストの結果よりも色別検査の結果の方が優先されるのです。南坂さんの色別検査の結果はBLー392。学年単位で純粋に数値だけなら四位ですよ? 十分資格はあると思うのです」
それを聞いて少し驚いた。私の数値まで美作さんは記録してるのか。
「私より適任者は一杯いるでしょ?」
「それがEクラスだと東雲君を除けば南坂さんが一位ですからね。二位の西条君の数値はRー302。特別な何かがなかったらむしろ南坂さんが特別奨学生から外れることの方が珍しいのです」
そうなんだ。と私も運ばれてきたパフェを食べながらそう呟く。あまり実感は無い。
「東雲君を除けば?」
ってちょっと引っかかったので尋ね返す。
「あ、聞いてないですか? 東雲君。色別検査の時、手を抜いて記録をわざと低くしたのですよ。本当に細かいことに頭が回る人なのです」
初耳だ。何でそんなことをしたのだろう?
「美作の予想ですが、たぶん皆からあまり離れ過ぎない記録を出しておきたかったんだと思うのです。言っちゃうと東雲君の正式な記録はBー480。学年でもぶっちぎりの一位ですから」
またレモンティーを噴きかけた。480って。
「二位は有名な学年主席。Aクラスの篠宮さんで値はRー402。こちらは正式な記録なので学園からかなり優遇されてるぐらいですからね。ちなみに四百なんて数値が出せれば、ATF軍には基本的に書類だけで内定が出るほど優秀な数字ですよ?」
そんなに色別検査って大事だったの。
「歴代でも四百台の生徒は三年次に上がって優れた生徒がギリギリ出せるかなぁぐらいの水準です。だから東雲君はそれよりも遙か上に今の段階でいるのですよ。それを本人は気にしているのだと思うのです」
パフェを食べながら人事のように美作さんは呟く。
「って話がだいぶそれてますね。だから南坂さんも十分に特別奨学生の可能性はあるのですよ?」
「でもそれって来年の話だよね……」
少なくとも選ばれる可能性があるとしてもそれは来年度の話なのだ。
「そうです。つまりそれまで指をくわえて神楽坂さんの事を見てるのですか?」
うう……そう言われると悲しい。
「私的には少しずつアピールしてるつもりなんだけどなぁ」
ほとんど効果はないような気はしていたけど。
「もうちょっとさらに大胆になってもいいと美作は思うのです。結構今でもあからさまですけど!」
チンとグラスを叩きながらそう言われる。
「美作から見たらまだまだ……いや結構頑張ってるかな? ぐらいの印象です。かといってあまりに露骨だとしても東雲君も引いちゃうかもしれないですけどね」
パフェに戻る。言われると恥ずかしいがその通りである。
私的にはそこそこアピールしているつもりだけど、全く効果は無い感じがする。
「まぁ日常はそんなもんです。でも東雲君は間違いなく南坂さんをEクラスの戦力の一つとして数えては居ますよ?」
嬉しいような悲しいような。そんな気分。
「南坂さんの重力は強力です。特に相手の遠距離攻撃を叩き落としたり、逆にこちらの遠距離攻撃を強化したり。能力も結構幅があって応用も効く。流石BLー392なんて数値が出せる能力者なのです」
美作さんに褒められた。
「って内容は東雲君も当然、把握しているのです。これからまたクラス戦が起こったら間違いなく重要なポイントに南坂さんを使うはずです」
うぅ。それって頼られてるってことなのかな。
「普段が足りないならクラス戦でアピールしていくといいのです! その方が東雲君の視界に入りやすい気もするのです」
それは少し私も思った。涼君も男の子だもんね。クラス戦では戦略担当とその力から前線に出ることが多いけど。
「まぁこんな所ですかね。そんな二人を見てるのは非常に面白いので美作的にはガンガン行くといいのですよ?」
まとめられる。結局、今のままだとあまりアピール出来てないってことだよね。
まだ私は涼君の事をそこまで詳しく知らない。涼君自身も自分の事はほとんど話さないし。
そういう点から埋めていく必要があるのかもしれない。
「ふう。言いたいことと聞きたいことがどっちも満たせて美作的には満足です」
そう呟きながらパフェに戻る。
「じゃ、私からも聞いていい?」
「美作にですか? いいですとも。何でも答えるのです!」
胸を張りながらそう答えられた。
「いや美作さんってどんな子だったのかなぁって」
美作さんとは寮の部屋が違う。だからあまり直接的な会話はしたことがなく、知らないことの方が多いのだ。
「美作の過去ですか? お安い御用です!」
コホンと咳払いを一つ。そのまま美作さんが語り出した。
「美作はここから北部にある小さな街の出身です。あまり裕福な家庭の出身ではないのですよ」
淡々と話を始める。ちょっとその印象がいつもとは違うような雰囲気を感じた。
「美作は実はかなり早い段階からこのアーツの力が目覚めていたのです。だから人よりちょっとだけ色々とアーツについて考えている時間が長いと思ってるのです」
そこで一息。アーツについて考える時間か。
「美作の子供の頃はたぶん今と大差ないですよ? 楽しいことに群がっていく。そしていつのまにか加わってる。そんな女の子でした」
静かにそうゆっくりと話す。そんな美作さんはとても優しい顔をしていた。
「美作の家は貧乏子沢山って言われる通り、弟が二人いて賑やかだったのです。でも家計はずっと苦しかったので、美作はなんとか出来ないかなって考えてたのです」
スラスラと言葉が出てくる。聞いておいて何だが本当に聞いてよかったのかちょっと疑問に思い始めた。
「そんな美作を見かねて、通っていた中学校から学園に進学することを推奨されたのです。学園は基本的に授業料が無料。さらにルピスを稼げば外部に送金することまで可能ですからね」
そっか。お金の面から学園を目指す人もいるんだ。
「知ってますか? 南坂さん。学園には推薦候補と呼ばれる仕組みがあるってことを」
「え、推薦ってあったの? 初めて聞いたよ」
「じゃそれの説明からですね。学園生になるには基本的に三つの試験を突破しなければいけないのです。筆記試験。適性検査。そして難関とされる実技試験の三科目を突破した人が晴れて学園生になれるのです」
それは私も知っている。そのおかげで今の皆と知り合えたのだから。
「ところがこの適性検査の段階で、実技試験では力を発揮できないタイプの人は予めに選別されて、適性検査と実技試験を突破したことにされる場合があるのです。これが裏ルート。推薦候補って呼ばれる人達です」
初めて聞く話だ。
「その推薦組は基本的に白の系統能力者が選ばれやすいと言われています。美作の能力も発揮しているのかしていないのかパッと見では絶対わからない能力ですからね」
「じゃ、じゃ美作さんもその推薦候補なの?」
「そうですよ。まぁ学園に入ってしまえば普通の一般生徒と区別は無いんですけどね。だから美作は最初あまりグループに入れなかったのです」
ちょっとしょぼんとした感じで話を続ける。
「同じ試験を受けた人が同じクラスになりやすい。それは仕組みとして既にテストの段階で生徒が協力したりすることが多いですからね。そのままクラスにそのグループ単位で当てはめることが多いのですよ」
それを私に当てはめてみる。確かにあの実技試験を受けた五人は同じクラスだ。
「だから美作は最初一人ぼっちの感じを強く受けました。同じ試験を受けた人って周りにいませんでしたから。そもそも実技試験を受けてませんしね」
確かに。五月の半ばぐらいまで美作さんとはそんなに接点はなかった。それは私達もグループで固まってたからだけど。
「しかし美作は学園生活を楽しんでますよ。家族にルピスを換金して送る事を考えないといけないですが、それ以外は自由ですし」
美作さん。意外と重い過去があるのか。
「と、言うわけでクラス戦での報酬のルピスは美作にとってもかなり重要な物なので東雲君に協力するわけですね。美作の情報と東雲君の頭脳があればそれなりに戦うことが出来ますから」
そう言ってまとめられる。私が聞きたかったこととはちょっと違ったけど、これは興味深い話が聞けた。
「と、言う話を即興で作ったのですが……」
ゴツンと頭を叩かれたような衝撃に見舞われる。え、作り話?
「えっと……何処から?」
「さぁ何処からでしょう? それは美作だけが知っているのです!」
ニヤリと笑いながらそう付け加える。
「ちょ……折角まじめに聞いて少し感動したのに」
「残念でしたね。美作もたまにはウソをつきたいお年頃なのですよ」
やーいやーいと言われた気がした。
「外。雨は通り過ぎた感じですね」
美作さんが外を眺めながらそう呟いた。
雲の切れ間から太陽が顔をのぞかせている。
「今日はもう寮に戻るよ。だいぶ時間も立っちゃったし」
「美作も戻って課題が山積みなのです。誰か手伝ってくれないですかね……」
それは自分でやるべきだろうと思ったので何も言わない。
「ま、たまにはこういう日があってもいいのです。南坂さんと話せたのは有意義でしたよ?」
「あ、その南坂さんっていうのもやめにしない? 普通に凛でいいよ?」
気になってたことだ。皆が名前で呼んでいる所を一人苗字が交じると逆になんだか寂しくなる。
「ふむ。じゃ次から凛さんと呼ぶのです。あ、でも美作のことは美作と呼んでください。これが染み付いてるのでハルなんて呼ばれても反応出来ないのです」
わかった。と軽く笑いながらそう返す。
あんまり自分の事を名前で呼ばれた経験がないのだろう。いつかこっそりハルちゃんと呼んでみようと心に決める。
「じゃ晴れてる間に寮に帰るとするのです」
「うん。そうだね。帰ろうか」
そのまま二人で会計を終え、帰宅する。
のんびりと帰り道を二人で歩く。
こういう日があってもいいなと思った。
美作さんの話は何処まで本当かはわからないけど、すべてがウソだとは思えなかった。
……またいつか。きちんと話してくれる時がくるのかも知れない。
いまはそんなに急ぐ必要はないのだ。
ゆっくりとしたペースで歩く。
私は恋も友達も。私のペースで進めていけばいいと思うのだ。
恋の方はちょっと急がないと神楽坂さんに大きく差をつけられそうだけど!
……そうして、二人で寮までの道を歩いて帰った。