凡人がカクヨム甲子園のふたりの天才から学べる事 半村良の「妖星伝」と栗本慎一郎の「過剰蕩尽理論」
◇ カクヨム甲子園から発掘された逸材
【高校生限定】カクヨム甲子園2024
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カクヨム甲子園 授賞式スピーチ 蘇芳ぽかり
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このスピーチが凄いというか、僕はこういう人が小説を書いていられるように、認知戦というか、マスコミのウソを見抜く情報戦に特化してささやかに頑張ります。
最近、神風特攻隊の新解釈というか、太平洋戦争で多くの軍人が亡くなって、女、子供、老人ばかりの日本本土を守るための時間稼ぎにあの人達は命を賭したんだなと思います。
おそらく、もう日本軍は勝てない、だが、自分のできる事を何かやる、それが馬鹿なことだと分かっていても、神風特攻隊という選択をしたんだと思います。
という心理が僕にも分かるようになってきた。
あの当時と同じような状況に日本はある。
そういうことが一般人でも分かる段階になってる。
満月と卵焼き 蘇芳ぽかり〔カクヨム甲子園2024 〈大賞〉受賞〕
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何という事はない日常の中で、これほどドラマチックな濃厚な心理描写ができるんだという見本。
文学作品になってるというか。
人間関係とその心理描写は大事だというか、この部分でかなり凡人でも参考にしやすいものがある。
僕は正直、感情表現がいまいちなので、大いに刺激を受けました。
蝶の味 冷田かるぼ
〔カクヨム甲子園2024ショートストーリー部門大賞〕
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衝撃の展開というか、「蝶の味」という発想というか、あらすじにすれば単純だが、長編にしても特に短編の場合、ワンアイデアのインパクトと心理や情景描写でこれほどまでの文学作品になるんだという見本。
かるぼさんの他の作品(「桃花に別れを告げて」もまだ途中です)も読んだ時の衝撃が凄いので、ちょっと休み休み読みたいような感じですね。
心理的に脆弱な人とかが、主人公の心理に巻き込まれると精神衛生上良くない作品もありますね。
題名がおしゃれなので、つい騙されて読んでしまうと……。
心理や情景描写がこれほどのインパクトを生む事が衝撃でしたね。
その辺りは学べるかと思いますが、真似はしずらいタイプかな。
心理情景描写の大切さが学べる作品です。
作品全体としては、そういう発想がそもそも出ないとは思いますが、そこは個人の個性だと思いますね。
桃花に別れを告げて 冷田かるぼ
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◇ カクヨム甲子園の成果、半村良の「妖星伝」と栗本慎一郎の「過剰蕩尽理論」
このふたりがカクヨム甲子園2024から発掘されたのは凄い事で、異世界転生小説とかでなくて、王道の文学作品のようなテイストなんですよね。
まあ、このふたり以外にも逸材が潜んでるような気がしますが。
芥川龍之介とか、夏目漱石とか、ああゆう系統の文学作品の復活です。
「満月と卵焼き」(蘇芳ぽかり)などは兄の彼女の出現により主人公の女性はお兄さんへの複雑な感情が表出するお話であり、それとタイトルの「満月と卵焼き」と見事にリンクするお話になります。
日常生活の何気ない人間関係が非常にドラマチックに描写され、これこそ王道の文学作品という感じになっている。
異世界転生小説でも同じような描写はあるのですが、何というか、世界が滅びるような状況ではなく、ささいな日常生活にも人間の劇的な心理が潜んでるという作品になっています。
「蝶の味」(冷田かるぼ)さんに至っては、蝶を食べるというだけの話なのに、こんなに劇的になってしまうのかという話になっています。
ただ、今はちょっとスランプ気味っぽいので、ひょっとすると、この方、作風が変わってくるかもと思ってます。
春、きらいでさよなら 冷田かるぼ
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この作品を読んでたら、半村良(SF小説家、人情小説で直木賞受賞の故人)の「妖星伝」を思い出しました。
「妖星伝」は春になると桜が咲き、生命が溢れかえり、それが喰らい合うような地球は実は地獄のような「妖星」ではないかというお話です。
冷田かるぼさんの作風が半村良と栗本薫(SF、ミステリー小説家)と栗本慎一郎(経済人類学者。後期の遊牧民族から見た歴史本が面白い)とちょっとかぶります。
あらすじはこんな感じ。
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完本 妖星伝【合冊版/全3巻】 (祥伝社文庫) Kindle版 半村良 (著)
神道とともに発生し、超常能力をもって歴史の闇で暗躍してきた異端の集団・鬼道衆。彼らの出没する処、必ず戦乱と流血、姦と淫が交錯する。八代将軍・吉宗が退いた今、鬼道衆の跳梁が再び開始された!人類の破壊と再生を壮大なスケールで描く大河伝奇巨編、全3作が合冊版で登場!
半文居 | 半村良オフィシャルサイト
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古本で揃えるともっと安いと可能性もありますが、1925円で買える!というのはお得です。
全7巻の大河伝奇小説なので、当時は4000円ぐらいかかったはず。
僕は半村良は古本とか図書館で揃えて読んだので、ほぼ全部の作品を読んでます。
僕の作品は平井和正(電子書籍の後期作品は読んでないが)と半村良と栗本薫と栗本慎一郎の影響がでかい。
この「妖星伝」は作品としても面白いのですが、鬼道衆という異能物であり、異次元や異空間の考察や地下世界、最終巻に至っては宇宙論にも言及しています。
六巻まではトントンと刊行されたようですが、最終巻の七巻の刊行が遅れに遅れ、何か編集部とのトラブルか何かで、最終七巻の刊行は十三年後(刊行からは十八年で完結)とかになったとか。
どうも編集者が完成した第七巻の原稿を失くしたのが真相っぽい。
本当にこれが真相かは確定ではないが。
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当時、講談社からは「半村良独演会」という名称の半村良全集の出版を予定していて、すでに広告も打ち始めていた。だが、その広告はいつしか消え失せ、「半村良独演会」はついに幻の企画として終わってしまったのである。それどころか、『妖星伝』第七巻はまだかいな、などと皆が思い出した頃から、半村良は講談社に原稿を書かなくなっていたのである。
半村良と講談社との間に何かがあったにちがいない。誰の目にも明らかなことである。何があったのか?
実は、講談社の編集者が書き終えたばかりの『妖星伝』第七巻の原稿を紛失してしまった、というのがその真相だ。雑誌連載を続けていれば、避けられたにちがいない事態であったが、第七巻に限って書き下ろしという手法を使ったがための事故であった。
なぜ『妖星伝』第七巻の発行はかくも遅れたのか……
『妖星伝』第七巻の秘密
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妖星伝の最終巻末の清水義範との対談で半村良はどうも春が嫌いだったらしい。
その辺りから生命の過剰な春の闇に気づいていくと。
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私自身が春が嫌いなんですよ。子供のときから。何が新入学とか、お花見とか、疎外感があるんだよね。みんな陽気にしやがってなんて(笑)。そのころからの影響だね、いま考えてみると。だから春が嫌いだったね。冬になって、ポケットに手を突っ込んで、コートの襟立てて一人でポコポコ歩いていると、何となく張り合いがあるんだよね、おれの季節だって感じがして(笑)。生命過多っていうのは……SFをやってからそう思ったけれども、何か花咲き、鳥さえずりなんていうと、いやらしいなと。
2008-04-14 『完本 妖星伝』〈2〉〈3〉/半村良
関内関外日記
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この 「妖星伝」のテーマである『春になると桜が咲き、生命が溢れかえり、それが喰らい合うような地球は実は地獄のような「妖星」ではないか』と捉える感性は、経済人類学者の栗本慎一郎の「過剰蕩尽理論」と重なります。
この地球に降り注ぐ太陽エネルギーは「過剰」であり、最初は狩猟採集生活で単純に消費していたが、ある時から人類は農業により農作物に変えて富として蓄積する生活をはじめた。
その「富=呪われたもの」(過剰なエネルギー)は、最終的には「蕩尽」されてしまう運命にあり、そのために、戦争や某薬剤による過激な人口削減になってしまうのではないか。
過剰な富の蓄積はその成果でもある農産物で増えた人間の命さえ、最後には「蕩尽」、消滅させる運命にあるという話です。
単純に狩猟採集生活などで消費すれば良かったのだが、拡大再生産や成長を志向して「富の蓄積(呪われたもの)」など始めたから戦争や某薬剤による過激な人口削減が起こってしまう。
富の蓄積という物は呪われた物なんだよという話です。
この理論はフランスのバタイユやカイヨウの「普遍経済学」などの思想に繋がっていきます。
カクヨムにジョルジュ・バタイユの思想(著作『呪われた部分』)を語ってる人がいた!のでリンク張っておきます。
この作品を少し読んだのですが、人間の本質が本能の壊れた生物であり、それを制御するために禁止が生まれ、それが過剰を生み出し、それが暴力やいじめなどに繋がっていくという闇の話になっていきます。
ジョルジュ・バタイユの思想はヤバいわ。
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たとえば、太陽を想起しましょうか。太陽は燦燦と輝き、エネルギーを地表にもたらしますが、植物がそこから自身の成長に回収していくエネルギーはわずかであり、多くは捨てられていきます。
また、ぼくたち人間は毎日たくさん食べますが、そのすべてを成長や個体維持のためのエネルギー、栄養として100%活用しているわけではありません。必ず過剰な部分、無駄が発生しています。
バタイユのいう「生きとし生けるものにとってエネルギーが過剰」、というのは、与えられたエネルギー、そのすべてを自身にとって有用なものとして回収し尽くすことができない、という事実を指しているのです。
ジョルジュ・バタイユの思想 千夜一夜
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「普遍経済学」とはそもそもこの地球に降り注ぐ太陽エネルギーが過剰なので、その過剰なエネルギーを消費(蕩尽あるいは消尽)する必要が出て来る。
本当の戦争の原因は太陽の過剰なエネルギーで生まれた人類の命とかを蕩尽するという自然の法則なのだよという結論になります。
『春になると桜が咲き、生命が溢れかえり、それが喰らい合うような地球は実は地獄のような「妖星」ではないか』という半村良の感性は、経済人類学者の栗本慎一郎やジョルジュ・バタイユの「普遍経済学」の思想に繋がっていく。
半村良の文学者としての眼は、そういう春に潜む闇のような「鬼」を見つめている。
文学者は鬼を見ないとね。
半村良凄え。
栗本慎一郎の著作の「反文学論 」にそんな事が書かれています。
ジョルジュ・バタイユ、大江健三郎:『雨の木を聴く女たち』、筒井康隆:『虚航船団』、『乗り越し駅の刑罰』、半村良、フィリップ・K・ディック、カート・ヴォネガット、レイモンド・チャンドラーなどについての批評なような物があります。
批評なのですが、作品自体にはあまり言及していなくて、作者の姿勢とか、感性や思想を批評してますが、まあ、栗本慎一郎の文学センスも凄いなあと思います。
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『反文学論』(はんぶんがくろん)は、1984年に光文社より文庫で刊行された栗本慎一郎の著作。同名の著書が柄谷行人にもある(講談社学術文庫に収録されている、柄谷の文芸時評である)。
概要
経済人類学者でありながら文学にも造詣が深く、自ら小説(『反少女』『敵意』など)を書いたこともある栗本が書いた文芸評論集。純文学だけでなく、SF、ミステリーなども評価対象にした。本著でも自作のSF短編「蕩変木三号」が、『俺がキルゴア・トラウトよ』という副題で収められている。
第一章で、本質的な文学論が書かれる。自己へのこだわりから根源へ迫る文学を評価し、坂口安吾、橋本治、本書で取り上げられた半村良、ディック、ヴォネガットなどがその実践者として挙げられる。
反文学論 (栗本慎一郎の著作)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
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◇ 4月は体調崩したり、2025年は大スランプだったが復活中
「春、きらいでさよなら」(冷田かるぼ)でも言及されてますが、今年の4月は寒暖差が激しく、春とは言えない春でした。
僕も体調崩したり、81歳の母親が体調崩して、やたらに眠くて頭がふわふわするようでした。
自律神経失調症みたいな症状ですが、点滴打つぐらいしかなく、10度から20度まで暴れる寒暖差が無くなって、ようやく元気を取り戻した。
僕も4月は体調崩したり、2025年は大スランプだったが復活中だったが、ようやく元気を取り戻して来たので、これからは戦略ノートももう少し更新していきます。
次回はAIの日常生活への活用方法などと小説、動画制作への応用について書いてみます。
下のカクヨム近況ノートから話が始まるかと。
「AI人間」の衝撃(カクヨム近況ノート)
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◇ 坂崎文明のファクトフルネスなニュース解説/Radiotalk(最近、文章より動画とかラジオでしゃべる方が楽なので、動画、ラジオの方が更新早くて最新情報に触れてます)
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【ニコニコ動画】マッドフラッドとタータリア帝国、世界の改ざんされた歴史の謎 2021年5月20日〔坂崎文明TV youtubeに出せない動画はここにアップ〕
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坂崎文明TV(映画感想、歴史、小説などのyoutube)
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洗脳社会<マトリックス>の謎を解く~科学も医学も迷信だった~(坂崎文明) - カクヨム
祝155万PV超えの人気エッセイ!? 人類必読の真の医学エッセイ!
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洗脳社会<マトリックス>2/坂崎文明 - カクヨム(完結)
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ヨハネの黙示録の四騎士の時代と解毒健康長寿法/シン洗脳社会<マトリックス>
作者 坂崎文明
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MATRIX~宇宙詐欺とマッドフラッドの謎を解く~(坂崎文明) - カクヨム
スペースXのファルコン9のジェットエンジンに宇宙ネズミが走ってる?
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カクヨム、noteではじめる小説家、クリエーター生活(坂崎文明) - カクヨム
祝14万PV!note、カクヨム中心のWeb小説サイト攻略法
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カクヨム、noteではじめる小説家、クリエーター生活3/坂崎文明
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小説家になるための戦略ノート(坂崎文明) - カクヨム
小説家になろうでユニーク54万人、123万PVを超える人気エッセイ!
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第2回角川武蔵野文学賞最終選考作品(デイダラボッチ/巨人伝説研究家<角田六郎>の事件簿 坂崎文明)
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小説投稿サイト×バリュースター×人工知能 第七章 AIヒューマン連載中
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