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人魚と人形

気がつくと俺は病院にいた。


左腕を見ると案の定、肘から先が無くなって血の染みた包帯が巻かれていた。


凌牙「だがそれ以外が無傷なのはビックリだな...。




はぁ...これじゃあギター弾けないぞ...」


病棟に飾られているギターを掴むと肩に立てかけて少し鳴らしてみた。


凌牙「ッ!」


左腕の傷が疼き、俺はギターを落としてしまった。




凌牙「はぁ...」


??????「ふあぁ.....」


凌牙「!?」


ふと病棟の中を見渡すと...アブノーマルな連中が勢揃いしていた。



まずはさっきため息をついていたのは金髪が綺麗な女の子(リヴィエールという可愛らしい名前がついている)。


そして...手足のないライトグリーンヘアーの女の子がいた。(なんと大谷吉継という名前だ!)




リヴィエール「こんにちは。


よろしくね?」



*********


どうやら二人は訳ありの入院らしい。


リヴィエール「私...人魚なのよ?


今は人間だけど...」


凌牙「...は?


頭どうかしてんじゃないのか?」


俺はツッコムと...。


リヴィエール「私ね、人魚だから人間と脳の構造が根本的に違うの。


だけど誰も信じてくれなくて...色んな精神科をたらい回しされてここに来た訳。」


リヴィエールは微笑むと吉継を見た。



吉継は...パクパクと口を小さく開けていた。


凌牙「?」

リヴィエール「彼女...生れつき喋れないし...手足もないらしいの。


で、戦国時代から飛ばされて来て何も分からないままここに来てしまった...らしいのよ。」


凌牙「ふぅん...


でもなんで分かるんだ?」


リヴィエール「見て。」


吉継を見ると鉛筆を口にくわえて一生懸命紙に絵を描いていた。


吉継は笑顔で紙を口にくわえて見せた。


吉継「(よろしくね?)」



*********


凌牙「なるべくな、リヴィエールはバンドをやってたのか。」


リヴィエール「はい。アンドロイドボイスで歌えるんです。」


なるほど。





アンドロイドボイスとは機械的な声で歌う事を指す。


歌える人は数少なく希少価値の高い人材だ。



吉継はホワイトボードを見せた。


吉継「(私はブレインミュージックができるんです。)」



ブレインミュージックとは、電子楽器に専用のコードを刺し、専用のヘルメットに繋げてそれを被ることで特殊な音波によって曲調などをコントロールするものである。


これも数少ない人材だ。



リヴィエール「そうだ!

三人が軽音楽やりませんか?」


凌牙「無理だよ。


俺の左腕を見ろ。」



無惨な左腕を見せてやった。


リヴィエール「あなたは弾くだけでいいんです。


吉継さんが頑張ってくれるので」


吉継「(やってみましょう?ね?)」


凌牙「わ...分かった。」



*********


俺たちは多目的ホールを借りると早速練習を始めた。


吉継が必死に念じ、楽器を動かす。


俺は痛む腕を無視して無理矢理ギターを弾いた。


リヴィエールが二つの声を両立して歌う。



気がつくと痛みを忘れて弾くことができた。


自然と入院患者や看護士たちも見に来ていた...。



*********



リヴィエール「すごかったね!凌牙!


みんな私たちに拍手くれたよ!」


リヴィエールは興奮した面持ちで言った。




*********


その後も何回か演奏した。


のんびりした平和な音楽...。


静かな温かい歌が寂れた雰囲気を壊した。






ある日...リヴィエールが息を切らしながら走ってきた。


リヴィエール「大変!


テロリストが来たみたいなの!!!」


凌牙「何を持っていた?」


吉継「(患者の一人は『サブマシンガン』って言ってた。


もう撃たれたみたいだけど...。)」



俺は...現場に向かった。



テロリスト「ハハハハハハ!!!!」


サブマシンガンを乱射し発狂するテロリストは...三人か。


俺は食料庫からナイフとフォークと包丁を持ち出すとサブマシンガンでは突破できない壁に隠れた。




テロリストA「おい!

あそこにいい女が二人いるぜ!」


テロリストB「ヒャッハー!!!」


まずい!


俺は二人の喉元目掛けて包丁を投擲した。



刃はテロリスト二人の喉元を切り裂き、倒れた。



テロリストCがサブマシンガンを撃ってきた。


しかもリヴィエールを人質にとって...。


凌牙「チッ....」


俺は壁に隠れながらもイライラしていた。


が...ある名案を考え出した。




凌牙「降参だ。」


俺は武器をほうりなげて手を挙げた。


テロリストC「おとなしくしろ!」


リヴィエールを解放するとテロリストは俺に迫った。


テロリストC「二人をよくも殺してくれたなぁ?....ヒャァ!!!


こいつもかなりの美人だ!


脱げ!命令だ!」


俺はパジャマに手をかけると全部ほうりなげた。



リヴィエール「な...」


テロリストC「ふたなりかよ!?」


凌牙「スキあり!!」


俺はサブマシンガンを蹴り上げると使える右腕でアッパーした。


顎を砕かれたテロリストは即死した...。



*********



凌牙「すまない...」


新しいパジャマを着ながら俺は頭を下げた。


リヴィエール「ううん...ビックリしたけど...かっこよかったよ!


助けてくれてありがとう。」


凌牙「勘違いするな///


俺はただテロリストがうざかっただけだ。」


リヴィエール「あの...恩返しというのも難ですが...



これを受けとって下さい。」


渡されたのは大きな袋だった。


リヴィエール「これは...バミューダ王国の逸品です。


これを私が紹介する医師に渡して下さい。



先程...騒ぎを起こして迷惑だから退院しろという手紙も来ました。


是非行ってみて下さい。」


凌牙「ありがとう。


やっぱりお前は人魚だな。」


吉継「(ありがとうございました!短い間でしたが...楽しかったです!)」


連中はみんな泣いていた。


二人に礼をすると俺は病棟を出て行った....。

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