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狂乱の女銃士

またしてもサリエリ先生活躍回

ハハハハハハ...。


西洋の銃士の格好をしたメルヘンな少女は微笑みながら返り血を舐めた。


血はすぐとれるようにできているため、手で掃うだけですぐに落ちた。



??????「足りない...足りないわ。


とびっきりの獲物が欲しい...」


足元に転がる男の頭をヒールで踏み潰すと少女は闇に消えた...。


*********



サリエリ「フゥッ...」


たった今、サリエリ先生はモーツァルトの持っていた遺言に従い『レクイエム』を完成させた。


凌牙「お疲れ。」


俺は右腕で紅茶を渡した。


サリエリ「ありがとう。」



サリエリ先生は一口飲むと昼寝を始めた。



やはりモーツァルトの音楽を真似るのには相当な精神力が必要だったらしい...。


利休「せっかくですし、買い物でもいかがですか?」


凌牙「いいな。賛成。」


ちなみに翔子と義元はバイトに行っていない。


ま...資金を大量調達したいらしいんだが。


サリエリ「いいですね。


必要なものを少しだけ欲しいわ。」


サリエリ先生は小さなイエスの木彫り彫刻に祈りを捧げると俺たちと一緒に街に向かった。



サリエリ「もうすぐね。」


利休「ですねぇ...」



と、俺は殺気を感じ剣に手をかけた。




急に空間が裏路地に変わり、バーチャル世界が構成された。


凌牙「誰だ!!」



しばらくしてカツカツというヒールの音が響き渡り...三銃士の姿をした少女が現れた。


??????「こんにちは。


獲物の諸君。



私の名前は『ダルタニアン』。」


少女は腰から細身の剣を抜いた。


ダルタニアン「決闘を申し込む!」









利休「無視無視。」


凌牙「いいもの売ってたらいいな。」


サリエリ「ええ。」


ダルタニアン「無視するなあああああああああ!!!!!」


ダルタニアンが涙目で叫ぶ。


凌牙「あのなぁ。


今の時代そんな剣じゃ生き残れないぞ?」


ダルタニアン「そんなって....この剣はね!」


サリエリ「私が受けるわ。」


利休「師匠!」

ダルタニアンがニヤッと笑った。


ダルタニアン「ルールは簡単。


死ぬまでレイピアのみで戦う。」


サリエリ「二人とも下がりなさい。


レイピアを使えるのは私くらいしかいないわ。」


タクトがレイピアに変わり、サリエリ先生は一振りする。


凌牙「サリエリ先生....」




*********



サリエリ「!!」


戦況は圧倒的にダルタニアンが上だった。


今のもあわせて八ヶ所の刺し傷ができていた。


ダルタニアンの動きは無駄がなく風と一体化する戦い方をするためレイピアを知り尽くしたダルタニアンが有利なのも納得がいく。


利休「師匠...」






ダルタニアン「なかなか骨のある人ね。


名前は?」


サリエリ「サリエリよ。」


ダルタニアン「ああ。


モーツァルトを罠に嵌めて挙げ句の果てに毒殺。


自分は自殺未遂。



責任逃れも甚だしいわね?」


サリエリ「!!!」



凌牙「それ...禁句だぞ...。」


ダルタニアン「?」


ダルタニアンはその時、サリエリを取り巻く雰囲気が変わったことに気がついた。



サリエリ「―悔の」


ダルタニアン「!!!」


サリエリ先生の背中から光子の翼が現れ、光子をばらまく。


凌牙「利休、耳を閉じて伏せろ!」




サリエリ「懺悔の用意は出来ているか!!!!!!!!!!」



光子を震わせる咆哮を放つ。


ダルタニアン「!!!!!!」


慌てて耳を塞ぐが脳が沸騰して倒れた。




消えていく意識の中、ダルタニアンは古い記憶を掘り起こした...。



*********



私は裕福...ではない貧しい貴族の娘として生まれた。


男が欲しいと願っていた両親は私に冷たく当たった。


私に女物を一切与えず、男装させて殺しの術ばかり教え込んだ。



そんなある日...


王宮から令状が届いた。


『後宮に来い』と。



嫌われ者だった私は侍女を一人もつけてもらえず身一つで後宮に向かった...。



ドレスの一着もなく、男装のまま中に入ると待っていたのは他の女たちの冷たい目だった。


私は小さな部屋に入り、毎日剣の鍛練をした。


剣に憎しみをこめて...。




仕送りされるわずかなお金は安くて使いやすい男物の服に使い、残ったお金で野菜くずや売り物にならなくなった魚を買う。


女たちの陰口は無視して部屋に戻るとそのくずで質素な食事をした。


パンが買えない時は売り物にもならない石豆を譲ってもらい、粉にして食べた。


元々孤独だったのではぶられても苦はない。





ある日の事。


社交パーティーがあると聞いた私は部屋の小さな窓から会場を眺めていた。



と、突然目の前に男の顔が見えた。


びっくりした私は慌てて剣を構えた。




彼は貧乏な貴族の出身でお金もろくな服もなくパーティーにはぶられた私と同じ境遇の人だった。



それから私と彼は貧乏だけど楽しい時間を過ごした。



これが人生で一番幸せな時間だったかもしれない。






ある日、私は王子に呼び出された。


私は王子が嫌いだった。


肥え太った体、身につけた宝石。


それらの全てが生理的に嫌だった。



王子「そなた。なぜ男の姿でいる?」


ダルタニアン「私には金も物もないからです。」


王子「ならば世の子を産むか?」




つまりそれは王子が私を気に入ったととってよかった。


でも...


ダルタニアン「私には不釣り合いです。


貧乏には貧乏の貴族がお似合いと思いますが」


王子「それは...前に会っていた男のことか?」


ダルタニアン「!!!」


王子「あれを運んでこい!」



王子の命令で私に運ばれてきたのは....あの人の生首だった。


ダルタニアン「!!!!」


私は口を塞いだ。


王子「世から目をつけた女を奪うとは愚か奴じゃ。




さぁ、返事はどうした?」



ダルタニアン「ええ。」


私は王子に近づくと....。



王子「うっ!?」


腰の剣を抜き、眉間に突き刺した。


ダルタニアン「あなたは死に神と結婚なさい。」


襲い掛かる兵士たちを次々と殺す。


ダルタニアン「フフフ...楽しいッ。


みんな断末魔あげて死ぬんだもん。」




私は戦いながら死に場所を捜していた。



不意の事件でこの世界に飛ばされ...やっと私は殺される。




でも...満足できないかな...。


*********



サリエリ「な!?」


なんとダルタニアンは起き上がってきた。


先程のハウリングで目は吹き飛び、脳が散乱し、各所が破れて血が流れているのに...だ。


ダルタニアン「はぁ...はぁ...」


剣を杖に立ち上がり近寄ってきた。


サリエリ「ひ...」


凌牙「どけ!!!」


俺は先生を退けるとダルタニアンの頭にサイコガンを撃ち込んだ。


頭を失ったダルタニアンは力尽きて倒れた...。






*********




あれ...?


気がつくと私は広い畑のど真ん中にいた。


突如私の視界が塞がる。


??「誰だ?」


ダルタニアン「う....うわあああああああああああああ!!!!」


私は大好きな彼の胸に飛び込んだ。



彼氏「長旅お疲れ様...」


ダルタニアン「会いたかった...」


彼は私の頭を撫でて言った。


彼氏「そうだ!結婚しようよ!」


その言葉に私は笑顔でいっぱいになった...。







結婚式とは言っても、ここには私たちしかいないしあるのは広い畑と野菜だけ。


そこで彼は私に長年欲しかったものをくれた。



それは.......質素だし草の繊維でできた...ドレスだった。



彼氏「手作りなんだけど...ごめんね。」


私は首を振った。


ダルタニアン「ううん。


これだけでも十分幸せ。」




ドレスを着ると彼はベールの代わりにクローバーの冠をくれた。


彼は手作りのタキシード(やっぱり草の繊維でできている)を着ている。



彼氏「神父...いないね。」


ダルタニアン「フリをしようよ。」


私は神父の声真似をした。


ダルタニアン「永遠の愛を誓いますか?」



彼はクスッと笑うと。


彼氏「誓います。」


と返した。


ダルタニアン「はい。

誓います。」


私たちは微笑むとキスをした。




ずっと続くポカポカ陽気の中、私たちは幸せに暮らしました...。



ずっと........。

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