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前世の記憶でセラピスト ~甘い香りで男の人を虜にしちゃう!?~  作者: 藤谷 葵


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第二幕(1)

第八回アイリス異世界ファンタジー大賞に参加します。

ブックマークして頂けると嬉しいです。

更新は不定期ですが、三月二十一日までに完結を目指して頑張ろうと思います。

……頑張ろうと思うとできるかどうかは別の話ですが……。

 汚れてもいいような町娘風の服に着替え、庭園に出てみる。町娘風の服が汚れてもいいと言うのは別に庶民を見下しているわけではなくて、ドレスと比べて汚れてもいいと意味である。悪意はないわよ?


 庭園には丁度良いタイミングでエメラルド期。薔薇の花が咲き誇っている。補足ではあるが、この世界は元の世界と同じ十二ヶ月で一年である。そして一月から十二月まで宝石の名前で呼ばれている。ありがたいことに元の世界の誕生石とリンクしているので分かりやすいわ。


 薔薇にそっと手を触れる。まだ蕾が少し花開いている状態だ。開花ピークを考えると急がねばならない。観察してみると質は悪くないようなので、上質なアロマオイルがとれそうね。


 早速、出かける準備をする。着替えをする時間が惜しいのでこのままの格好で行く。いや待てどこ行くのです? 猪突猛進な私はどこへ行こうとしていたのかしら? まずは道具を揃えるための情報を入手しなければいけないわ。朝市を見た限り、アロマオイルの抽出には特殊な道具が必要である。分かりやすく言うと理科の実験道具ですわ。

 泥だらけになったブーツでそのままお父様の書斎に駆け込んだ。


 書斎に引き籠り、本棚を眺める。スコットの家は貿易商で稼いでいる感じだが、我が家は『戦争で活躍した功績』により、国から莫大な褒章を貰った感じである。

 不自然な本が一冊目に付いた。タイトルは『商業の始め方』と書いてある。私の推測だが、お父様は過去の反省を活かして今後の資金繰りを考えているのでしょうね。

 スコットの家は貿易商を営んでいるので徴兵はなかったが、我が家はお父様とお兄様たちが徴兵されていた。

 お父様は上官として後方にいたので直接的な戦闘はなかった。マークお兄様もその時は年齢がまだ幼いために後方で支援部隊などをしていた。だが、ローレンスお兄様は違った。前線へと駆り出された。それを思い出すと胸がキリリと締め付けられる。


 手にした本は何度も読まれた形跡はある。だが、お父様が商業を始めた様子はない。商品化のアイデアがなかったのでしょうね。それならば、私の目標として『ローレンスお兄様の心の回復』と『セラピーを用いた商売』の二つを掲げるべきかもしれないわね。グリスト家の一員として、今後のことを私も考えるべきでしょう。そして、できることをやるべきだわ。

 その本を読みこんでいると外から悲鳴が聞こえてきた。


「騒がしいですわね……一体何なの?」


 廊下に出ると、お母様がヒステリーを起こしている。原因は廊下が泥だらけになっていることだ。私は冷や汗をかきながら、そっと書斎の扉を閉じて中に籠った。


 お母様に書斎から引き摺り出されてしこたま怒られましたわ。元の世界なら土下座をさせられるくらいに。幸い、この世界に土下座はない。ありがとう世界!


 お説教から解放された私はと言うと町娘風の服を着たまま、ローレンスお兄様のお見舞いに来たブラックウェル伯爵家の長男であり、お兄様の親友であるクラレンス様とサロンでお茶をしている。お茶をしていると言うと現実世界の日本でチャラい感じだが、クラレンス様のイケメン度故にそんな表現しかできませんわ。

 凛とした顔立ちに悲し気に輝く青い瞳。髪は少し青味がかったアッシュシルバー。短髪のツンツンヘアがとてもよく似合っていますこと。


「はは、なんかメアリー嬢は以前とはまるで別人のようですね」

「あら? それは嫌味ですか?」

「いえ、メアリー嬢も心を閉ざしていたから心配だっただけですよ。元気になって何よりです。ええ……ぶふっ。……いや失礼」


 私は拗ねるように唇を尖らせながら紅茶を啜る。でも、良かったわ。クラレンス様も心に幾分か傷を負っている。笑顔が見れたことが心底嬉しいわ。

 クラレンス様も紅茶を一口啜り、悲痛な声を発する。


「ローレンスも貴女のように元気になってくれたらいいのに……」


 悲しげな表情に耐え切れず、クラレンス様の両手を握りしめ私の決意を表明する。


「ローレンスお兄様の心は私が取り戻しますから」

「あ、ああ……」


 頬を赤く染めるクラレンス様。耳まで真っ赤ですわよ?

 なぜだろうと思い、クラレンス様の視線の先に私も目を向ける。うん、手をがっしりと握りしめていましたわ。クラレンス様の熱が伝わったかのように、私の首から上が熱くなってきたわ。慌てて手を離す。


「し、失礼しました」


 狼狽える私を見てクラレンス様はクスリと笑った。

 その笑顔が眩しすぎて、心臓の鼓動が跳ね上がる。照れ臭さを消すために紅茶を流し込んだ。

読んで頂きありがとうございます。


書いていて「なんかコメディ感が強くなって来たな……」と感じた作者。

藤谷葵はコメディの呪縛から逃れることができるのか?

いや、あまり重くても読者さんがつらいですよね。シリアス、コメディ、ロマンスをバランスよく散りばめられたらといい感じになってくれるかな?


応援や感想をお待ちしております。

***

改:2026年3月1日

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― 新着の感想 ―
いつも楽しく拝読させていただいています。 どういう人物か外見が想像しやすくなりました。 応援しています。
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