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『え、私が姫ですか?!』失恋後の帰り道、白ネコ宅配車を触ったら異世界のヤンデレ王子様が降臨して、溺愛してくるんですが?!  作者: 間宮芽衣
第四章 星に導かれし闇と叡智の試練と学園祭。

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【32】闇の地底宮と、白き未練。


「それでは皆さん。


 夏休みが明けたばかりですが、今日はいよいよ『闇の地底宮』に潜ります。」


ハロルド先生が真剣な眼差しでAクラスの生徒達を見つめる。


 ――夏休みが明けて三日後。私達Aクラスは二つ目の遺跡、『闇の地底宮』の前に来ていた。


 ちなみに前回の『水鏡の遺跡』をクリア出来なかったクラスメイトは校内で自習となっている。


(なんだかんだで40名中8名脱落しちゃったのよね。頑張らなくちゃ。)


一階建ての堅牢な石造りの『闇の地底宮』。


 外から見ているだけでも少し不気味で恐ろしい雰囲気である。


「この遺跡は元々は戦争やモンスターとの戦闘で亡くなった貴族達に敬意を払い、埋葬された場所でした。


 ところが、やはり特殊な状況でお亡くなりになられたからでしょうか。遺跡と連動して魂と遺跡が融合した形の『使徒』となって出てくるようになってしまったのです。


 今回は彼らの無念を無事晴らして遺跡から認められるように頑張って下さい。」


その言葉にギルベルトが訝しげな顔でボソッと呟いた。


「無念を晴らすっていっても…。それが分かんなかったりしたらどうすんだ?」


すると、ハロルド先生が苦笑した。


「すみません、ギルベルト君。聞こえてしまいました。――そうですね。その時は物理的に彼らを浄化…つまり倒すしかないですね。


 ただ、死者の魂ですので、浄化や聖魔法を使うか、

それに属する宝具等がないと厳しいでしょう。


 皆さん、頑張って下さい。」


その言葉に生徒達は真剣な声で頷く。


「では、前回も使用した異常検知の魔道具をお渡ししますので、並んでください。


 ――僕がまずは先頭を歩いて観光エリアから試練のエリアまで案内しますので。


 それではついて来て下さい。」


 ――こうして私達はいよいよ二つ目の遺跡の攻略に向けて、『闇の地底宮』へと入っていったのだった。


◇◇


 ウウウウウウ


 遺跡の中は何かが唸るような不気味な音がした。


(ううっ、何このホラー空間…。遺跡っていうより西洋お化け屋敷だよ…。)


そんなことを思っていると、ハロルド先生に呼び止められた。


「皆さん、こちらで止まって下さい。ここから先が試練のエリアとなります。パーティーを組んでもいいですし、個人で行くのも自由です。


 僕はここで待機していますので。

 ――それではスタート!」


その言葉を合図に生徒達が試練のエリアに足を踏み入れていく。


「アイリーン。君の事は僕が何があっても守るから。 一緒に行こう。」


サイラスが手をぎゅっと握ってきた。


「いいの?…私足引っ張っちゃうかも。」


私が眉を下げると、サイラスは微笑む。


「君が一緒じゃないと何の意味もない。

 ――行くよ。」


そう言われたので彼の手を握り返す。


「ありがとう。宜しくね。」


すると、後ろからギルベルトの泣きそうな声が聞こえた。


「さ、サイラス様ー…。カーティスとリリーがさっさと行ってしまって…。1人じゃ不安なので俺も一緒に行っていいですか?


 ううっ、俺、オバケ怖いんす…。」


その言葉にサイラスが笑顔のまま無言になった。


(あー…。本当は嫌なのかも、でも。)


「サイラス。入れてあげようよ。不安なのはみんな一緒なんだから。」


私の言葉にサイラスが溜息を吐く。


「…しょうがないな。アイリーンがそう言うなら。ほら、ギルベルト。行くぞ。」


「やったー!!ありがとうございますっ!!」


こうして私達は3人で試練を受けることになったのだった。


◇◇


 試練のエリアの中は、湿度が高く石壁の隙間からは黒い靄が漏れ出していた。冷たい風が頬を撫でる。


「ううっ、なんか気味悪いっすね…。なんか今、誰かの声したような…」

ギルベルトが怯えた声を出す。


「き、気のせいじゃないっ?!」

と言いつつ、私も背筋がゾクゾクする。


(ううっ、怖いぃ。)


思わずサイラスの腕にしがみ付く。


 すると、サイラスがニコニコと何故かご機嫌な顔になり、そっと私の耳元でギルベルトに聞こえないように囁いてきた。


「――ねぇ、胸を押し付けてくれてるのは、無意識?僕は嬉しいからいいんだけど、我慢できなくなりそうだ。」


「――っ!!」

私は思わず赤面してザザッと後ずさると、ギルベルトにぶつかってしまった。


「あー、ちょっと!!アイリーン様何してんですかっ!!急に下がったら危ないっすよー!!」


「ご、ごめんね?」


(もうっ!サイラスのバカ!)


そう思った瞬間、サイラスが低い声でつぶやいた。


「――2人とも。来たぞ。」


その言葉で身構えるとガイコツ型の使徒が襲って来た。


「オオオオオ…」


サイラスが手の平を使徒に向けて浄化魔法を放つと、中から男性かと思われる魂がホワンッと出て来た。


(…!!若い男の人だ!)


『お、女の子とキスしてみたかった…。ちょっと、身体貸して下さい…。』


その魂はギルベルトの方に一目散に向かったが、何故か思いっきりジャンプしてサイラスが自分から乗り移られた。


(え、なんで?!)


――次の瞬間。


 サイラスに引き寄せられて私は思いっきりキスされていた。


「んっ、サイラスっ、…こんな所でっ!」


だんだん深く激しくなるキスに頭の中がぼうっとして、目が潤んでくる。


 ――その様子をギルベルトが顔を真っ赤にして凝視している。


 5分くらいキスをした後、サイラスはやっと唇を離してくれた。


 すると、サイラスの中からスゥーッと満面の笑みの男性の魂が出て来た。


『いやー!!!大満足ですっ!これで成仏出来ますわー!!それではっ!』


そう言って、男性はだんだん白く光ると、消えてしまった。


 跡には紫色の媒介石が一つ輝いていた。


「あと二つか…。とりあえずその媒介石はギルベルトが持ってていいよ。」


サイラスが何もなかったかのように涼しい顔をして言った。


 すると、ギルベルトが満面の笑みになった。


「本当ですかっ!ありがとうございます。…いやぁ。それにしても2人とも、凄い激しかったっすね。」


その言葉に私は思わず赤面する。


「ああ。乗り移られたのが君だったら、耐えられなくて斬ってたかもしれない。機転を効かせて良かったよ。」


「…え。」


ニッコリ笑うサイラスにギルベルトはサーッと真っ青になる。


「…サイラス。ということは今、わざと乗り移られたってこと?」


私の言葉に悪びれもせずサイラスは頷く。


「当たり前でしょ?君を他の男に触らせるくらいなら、何度でも乗り移られるよ。」


その言葉にギルベルトははぁっと溜息を吐いた。


「なんか俺、お邪魔虫してすんません…。」


「い、いいんだよ、ギルベルト。とりあえず早く3人分、石を集めちゃおっか…。」


私が慌ててフォローした時だった。


 奥の方から――また“ウウウウウ…”と低いうなり声が響いた。


(……まだ終わりじゃないみたい。)


私達3人は顔を見合わせ、再び薄暗い通路の奥へと進んでいった。


◇◇


 奥の方に進んでいくと、なんと宝箱があった。


「わっ、やったーー!なんか良いアイテム入ってないですかね?!」


ギルベルトがなんの警戒もなしにパカっと宝箱を開けてしまった。


「――待ってっ!」


慌てて警戒するように注意しようとした瞬間。


 中には白いドレスが入っており、それがふわりと宙に浮かんだ。


 ――そして、誰もいないはずなのにドレスが人型にふくらんで、そこに青い瞳をした金髪の女の人が現れた。


 すると彼女は私の方に向かって来た。


「――っ!!」


『…お願い。もう一度だけ……あの人に会いたいの。申し訳ないけど身体を貸して。』


そんな言葉が聞こえた瞬間、冷たい何かが胸の奥に流れ込んで私の中に入ってきた。


(…!!嘘っ!一体何する気なの?!)


心の中で叫ぶが乗っ取られて身体が思うように動けない。


「私はクラウディア。


 どうしても戦地で死んでしまった彼に会いたくて…ここで誰か来るのを待ってたの。


 あの人が向こうにいるのを感じる。


 ――皆さん来てください。」


勝手に身体が意図しない方向に歩き出す。

 

 こうして私はクラウディアに身体を貸す事になってしまったのだった。



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