解決策は……
困った時は、お姉様に限る!
私はお姉様の部屋を訪ねる。
「デリシアか? よい、入れ」
「失礼しま……ん?」
私は室内に入るなり、鬼気を感じてしまう。
お姉様はズボンに着替え、イスを二脚並べて開脚をしていた。イスに足先だけをかけ、腕組をし、背筋はピン、と伸びている。
ヒィィィ! なんだ、ソレ!
こっちも怖い!
「武とう……舞踏会に向けた稽古を中断させる……。それなりの用件であろうな?」
それって稽古なんだ!
……じゃなくて、それなりの用件で来たはずなんだけど!
なんだかそんな感じがしなくなる……。
しかしなんとか、私は必死にシンデレラの危うさを言い募った。
なんとかして! お姉様!
「ふっ、そのような些事、捨ておけい!」
「そんな!?」
せっかく一生懸命説明したのに、『些事』と切り捨てられた!?
「それよりも、デリシア。人のことよりも自分の稽古は進んでおろうな?」
あ、いや、その。
「この、うつけがッ!」
まずい、撤収!
◇◆◇
こうなれば、お母様しかいない。
シンデレラの危うさを説明して、説明して……。どうしよう?
よく考えたら、これを話してどうなるんだろう。お医者様にでも診てもらう?
しかし、シンデレラが猫被りをすれば様子見くらいで終わりそう。
入院? 屋敷に軟禁? そんなこと、できるはずがない……。
それでも……。
「あらぁ、デリシアちゃん。どうしたの」
私を迎えるお母様はニコニコ顔。
なんだか、安心してしまう。
「実は……」
と、シンデレラについての悩みを話してみる。
「そうなの……」
と深刻そうに聞いてくれるお母様。
「でも大丈夫よぉ。不安はわかるわぁ。デリシアちゃんも、シンデレラちゃんも、舞踏会を前にしてナーバスになっているのよ」
お母様が私の肩に手を置く。
「え? ええ……」
私が戸惑いながら頷くと、お母様は『私がうまく言っておくから』とウインクをしてみせ、話題を終わらせた。
その後は舞踏会の心構えを聞き、その日の話は終わりだ。
不安だーー。
これで良かったんだろうか。




