真打登場!?
モゾモゾ、モゾモゾ……
ピアノの響きに合わせ、私のドレス内ではハムハムが踊っている。何気にお茶会を楽しんでいる……?
……私のドレス内に入るのを特殊技能として覚えてしまったのね。
しかし普通のお茶会ならばまだ良いが、さすがに王家のお茶会でハムハム連れはマズイ。大顰蹙を買う。
(おとなしくしててね)
と私は願いつつ、冷汗が止まらない。
とにかく、時間を潰すためにピアノを聴く輪に加わる。十ほど席が用意され、七人座っていた。私が空いている後列に落ち着こうとしたのに、なんの気を利かせてくれたのか一番前の席を譲られた。
(ヒイィィ……。いいのに……)
私が譲られるままに前の席に座ると、ピアノを弾くシフォン様からにこやかな会釈をされ、私も会釈を返しておく。
「……」
ピアノの周りは穏やかな時が流れているーー。
……この前も思ったが、私ってなんのためにここにいるんだろ?
非常に緩やかに時は過ぎ、会の終わりが意識され始めた頃、第二王子の元へ一人の使用人が来て、何かを知らせているようだった。
もう終わるのかな、とボウッと見ていると第二王子が立ち上がる。
「会の終わりが近づきましたが、皆様にお知らせがあります」
さらに第二王子は立ち上がり、話を続けた。
令嬢方の気配が変わる。私も、第二王子が何を話すのか注目した。形だけ。
どうでもいいけど、もうすぐ終わりそうで良かった〜。
「まず、紹介したい人がいます」
第二王子が庭園から建物へと視線を向ける。
どうやら、誰か出てくるみたいーー。
出てきたのはーー。
まさかのーー、
シンデレラ!???
私は思わず目が点になる。
なんでいる?
家で待っていたはず?
しかも、そのドレスは!?
招待されていないシンデレラが現れたことに驚いたが、シンデレラのドレスにも驚きだ。
シンデレラが身につけていたのは、またもや純白のドレス。しかもドレスを綺羅びやかに飾るのは豪華なアクセサリー。
ティアラ、イアリング、ネックレス、ブレスレット……。控えめな造形であるも、見る者は目を奪われる。しかも、シンデレラの美貌をさらに際立たせる。
これ、家にはなかったよね。
ん? んん? しかもシンデレラの靴は一層輝く透明の靴……これってもしかして、もしかしなくてもアレか。『ガラスの靴』だ。
シンデレラの足首をほっそりと演出し、つま先までは見えないように工夫され、上品な装いだ。
はっきりとーー、悪い予感しかしない。
「私の婚約者、レイラです」
ーーはい、爆弾発言投下されました! いきなり『婚約者』ですと、シンデレラが!?




