お母様は、マ◯コ・デラックス!?
はい、私、ロワール=ソーヌ=デリシアでございます。
御歳、花も恥じらう19歳。
シンデレラの義理の姉でございます……。
前世は日本という国で地味なOLをしていた私……。
もうすぐ30歳を迎えようとしていたある日、突然記憶が途絶えています。
これは、なにかがあったのでしょう。
そして、なんの因果か悪役令嬢転生。
先日、前世の記憶を取り戻したばかりで、まだ少し混乱しているのです。
――さて、気を取り直して私を取り巻く環境をお話いたします。
我が家は母、姉、私、そしてシンデレラという四人の家族構成で、王都にあるそこそこ広い屋敷に暮らしています。
亡くなった父はこの国――フランシア王国の伯爵でした。
母と娘二人ならば十分な『年金』をいただけますので、生活には困りません。
それにシンデレラが加わっても、特に過不足なくやっていけます。
領地には代官がおり、私たち母娘は王都で貴族としての務め……サロンでのお茶会に精を出しております。
まあ、この話には多少裏がありまして……。
我が家、ロワール家には跡を継ぐ男性がおりません。
よって、母が亡くなった後は年金が減額されてしまうのです。
姉か私が入り婿を見つけ、男子を産むことができれば伯爵家が存続、年金も継続、と相成ります。
母は内心焦りつつ、お茶会に精を出して姉や私の相手を探しているのが現状です。
なお、シンデレラは庶子ですので家の相続権はありません――。
などと、私が屋敷のサロンで物思いに耽っていたところ、
「あらぁ、デリシアちゃん」
と声がかけられます。
「あら、お母様」
私が視線を向けた先には、大きなお顔に満面の笑みを湛えたマ○コ=デラックス……もとい、お母様がいました。




