表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/39

ハムハムの

 結果ーー。

 私は、お城の舞踏会の参加を見送ることになった。

 当日の不参加のため、会場でお母様が取次役の者に事情を説明する。

 理由は突発的な発熱、とでもなるはずだ。

 以前着用したことのあるドレスで参加も検討したが、周りには使い回しが必ずバレる。そうすると、家の不評が立ち、今後に響いてくる……。

 今回、第二王子が駄目でも我が家には今後があるのだ。不評は避けたいーー。

 私はお母様の意を汲み、舞踏会の参加を見送ることにした。


(しかし、それはそれで一息つけるかも)


 私は大して落ち込んでいない。あまり派手派手しい場は好まない。それに、第二王子などと万が一親密になってしまうと窮屈そうだ。

 伯爵令嬢くらいがちょうど良い。

 お母様には内緒だが、それなりに今の生活を満喫しているのだ。

 ただ、世界の狭さには辟易するものがある。

 色々な国があり、色々な人がいる。

 ーーどうして、お茶会だけの日々に満足できようか。


(ふう、近場に行くだけの旅行が関の山ね)


 ポッカリと穴が空いたような、飛べない籠の鳥にでもなったような虚無感に襲われる。


(ーー悪役令嬢転生してしまった!)


 などと騒いだが、それがなんなのか。

 前の世界では、可能性が無限に広がっていた。未知なる世界は、飛び込むものに対して等しく平等だった。今になってわかる。

 与えられた現状に甘んじることなく、もっと自分の力で立てば良かった……。


(虚しくなる……)


 私はハムハムに話しかけながら、無力感に浸る。頭ではわかっていても、同じことを繰り返していないか?

 無力? それって、なにもしていないだけの無気力ってことと同じではないか?


(違う! 私はただの一令嬢で、世間に抗うだけの力はない。この世界では、人生なんて生まれたときからきまってるんだから)


 なんだか、腹立たしい。なんでこんなことを自分で考えるんだろう……? 親から与えられたものをただ甘受する……。それでいいはずだし、恵まれた環境で幸せだ。不平を言えばバチが当たる。


 カラカラカラ……


 その時、回し車で遊びだしたハムハムが、急に部屋の中を走り始めた。私があっと思うまもなくハムハムが部屋の外に出ていく。


(扉が開いてた!? 追いかけなくちゃ!)


 使用人たちが、少ない時間の屋敷を私は走った。ハムハムは、シンデレラの部屋の前にいた。シンデレラの部屋の扉は少しだけ開いていてーー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ