壱・はじまり(1)
思いのほか早めの投稿です。
もしかしたら、毎週日曜更新になるかもしれません。
では、どうぞ。
「ふぁ〜〜・・・・ねむ」
朝、女性がするのははしたないほどの大きい欠伸しながら
同じような制服を着ている学生とパリッとしたスーツに身を包んだ社会人で賑わっている
バスの中で、太陽は座席に暖かい陽光を放ち学生にとっては天敵ともいえるであろう眠気を
誘っている。そんな暖かいバスの中で思いっきり陽光が照りつける座席で
コックリ、コックリと首を上下に動かしながら登校中なのは、十叶水奈。
まもなくするとバスが停留所で止まり、二人の学生がバスに乗ってくる。
その二人はごった返したバスの中を見渡し、人ごみの中にいる水奈を見つけると、
人ごみを掻き分けてやっとも思いで水奈の横に立つ。
しかし、水奈はそんなことに気がつかずまだ半覚醒状態を保っていた。
身長が高く肩より少々短い髪の毛を持ちいかにもスポーツが得意そうな学生が
水奈のほほを引っ張る。彼女の名前は木戸野朱希。
その後ろで、まるで何かにおびえる小動物のように縮こまっているのは、洸沇慈茉那。
(こうえんじ まな)。朱希は水奈のほほを引っ張りながら耳元で、
「おっはよー!水奈」
ほかの人がチラッとこちらを向くような大声で挨拶をした。
茉那は控えめに
「おはようございます。十叶さん」
朱希とは対照的に聞くものの心を穏やかにさせるような声で。
その二人の言葉とほほを引っ張られる痛さからか、
「お・・ふぁよう〜」
半目の欠伸混じりで水奈は返す。とにかく眠い、その思考だけが今、水奈を支配していた。
その体全体で“眠い”を表現している水奈をみて、朱希は目を細めながら
「ハッハーン。サテはあんた、今日あんまり寝てないね?
とゆうかこんなこと言わんでも十人が十人『ああ、こいつ寝てないんだな』ってわかるほどの表情をしてるけどね」
くっ、そんなに図星をガンガンつかなくてもいいのに・・・・水奈は
頭のかろうじて起き出した部分で朱希に対して反論しようと考えていると、
予想だにしない、というかそもそも予想してないのだが・・・しかし予想していても
意外な言葉が起きていない頭にまるで耳元で大きい声を出されたみたいなショックを
受けるはめになった。(さっき実際に受けたが)
「・・・・もしかして、好きな人のことを考えていて、一晩眠れなかったって落ち?」
主人公の少女+サブキャラの二人を紹介しました。
後2,3話引っ張りますw