Case-1431253-
初めてこういう形で物語を投稿させてもらいます。
どうか暖かい目で見てあげてください。
よろしくお願いします。
うす暗い廊下を息を上げて走る男がいた。
男はなりふりかまわず、振り返る事もなく、時に足がもつれそうになるくらい必死だった。
何者かに追われているようだったが、男にもその正体はあやふやなままだった。恐怖のあまり直視する事なんてできやしなかった。
男は廊下の角を曲がった先にある部屋に入り、勢い良くドアを閉め鍵をかけた。
窓はないものかと部屋を見渡したが、壁は一面コンクリートで覆われていた。
恐怖と逃げるすべを考える思考がぐちゃぐちゃになっている中、ドアの向こうから鉄の軋む、耳に痛い音がする。やつだ。
男は近くにあった狭いロッカーに無理やり体を押し込んだ。
ロッカーを閉め、少しでも気配を消そうと口を塞ぐ。これ以上なすすべはない。出来るのは神に祈る事ぐらいだろうか。頬に滴るのが涙なのか、汗なのか、その判別もつくわけもなかった。
しばらくして、鉄の軋む音が遠ざかっていった。
危険が遠ざかったと感じた男はゆっくりロッカーを開け、外に出た。
張り詰めた緊張と溜めた酸素を一気に外に放った時、自分の目線が急に上がった。
何が起こったのか思考が追いつかなかった。
ふと下を見ると、自分の腰から下が横べっているのが見えた。
血の気が引き恐怖と痛みが残りある体を覆ったと同時に自分の顔以上の大きさの口が目の前を覆い、目の前が真っ暗になった。