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そう思ったとたん、流れ星が一つ天空を斜めに切り裂いた。すると黒雲は雲散霧消し、満点の星空が現れた。
やがて星々はきらきらと輝きながら、僕の身体に降り注いでくる。
――先生、今度こそ本当に逢えるんですよね。僕はこの美しい光景をぜひあなたに見せたかった。
うっとりとしながら両手を広げ、一身に星々の光を浴びていると、やがてそれは雪に変わっていた。
目が覚めると、扇風機がガンガン回っているにもかかわらず、汗びっしょりになっている。
何だ、バカらしい。このクソ暑い中に雪の夢を見るなんて、と腹立たしく思った。そしてまたウトウトして同じ夢を見ては、暑苦しさと扇風機の音で目覚めるのだった。
何度かそんなことを繰り返して、最後にこう思った。
ああ、あれはやはり雪なんかではなかった。今度こそ本当に先生の所に行かなければ。そうすればあの美しい星々を本当に見ることができるだろう。
その時、玄関のチャイムがピンポンと鳴った。
誰だろう、こんな夜更けに。今頃こんな俺に用事のある奴なんているわけないのに。待てよ、ひょっとしたら……。
ぼんやりとした意識の中でそう思った。
すると少し遠慮がちに、もう一度鳴る。
無視していたら、今度はひときわ大きく鳴った。
やれやれ、とうとう死神のお出ましか。俺はちっとも怖くなんかないぞ。むしろ大歓迎だ。




