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袋小路と白い魔女  作者: 葉月舟
コンビ解消
42/57

 ふと窓の外を見ると、暗い中を何か白いものがよぎった。

「雪だ――」


 思わず小さな声を発すると、彼も顔を上げた。

 しばらく間隔があいて、また一片(ひとひら)舞う。


「本当だ」

 彼も小さな声でつぶやく。


 雪はそれからも、まるでこちらを焦らすかのように、一つ、二つと間隔をあけながらチラついた。


 二人とも黙ってそれを見ていた。


 もうそろそろ腰を上げなければ。

 そう思った矢先だった。


「おい、カツ」

 と福沢が言った。T型定規の柄を、手の平でそっとたどっている。


「俺はまた学校に戻るよ。きっとだ、約束する。長くかかるかもしれないけどな」

「分かった」とだけ僕は答えた。


 雪はだんだん数を増しているようだった。あるものはふわふわと舞いながらどこかにいなくなり、あるものはガラス窓に当たりすぐにとけていった。


「あれ?」福沢はふいに素っ頓狂な声を上げた。

「君、いつから僕のことをお前と呼ぶようになった?」


「本当だね」と僕は笑った。「そういう君こそ」と言い返す。

「ふん、まあいいさ」と彼も笑った。


「僕と君は、俺とお前の関係になったわけだ。真夜子先生が言ったように、咸臨丸コンビは本当にこれでお仕舞いだね」


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