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気が付くと、元いた校庭に僕は立っていた。
しかし、彼女はおろか、さっきまでソフトボールに興じていた級友たちが誰もいない。
唯一、あの福沢だけが星明りの下にぽつんと立っている。さっきは真っ白だったシャツもトレパンも泥に汚れ、ところどころが擦り切れているようだった。
「やあ」
こちらに気づくと、間の抜けたような顔をしてそう言う。
「みんなはどうしたんだ」
不思議に思ってそう尋ねると、
「さあ。それよりも君の方が問題だ」などと言う。いよいよ変なやつである。
「どういう意味だい?」
「だって彼女のことを魔女だと言ったじゃないか」
「それは君のほうだろう」
あっけに取られて言った。
「自分で言ったも同然さ。彼女を疎んでそのそばを離れたんだから。そのせいで君は呪いにかけられ、ここに閉じ込められてしまった」
彼女の呪い?
僕は福沢の言葉を反芻しながら、呆然としていた。
そしてなんとなく理不尽さを感じながらも、彼の言うとおりかもしれないと思った。確かに僕は彼女のもとを一度去ったのだから。




