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袋小路と白い魔女  作者: 葉月舟
呪われて
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 それから僕は、一人で世界のあちこちを旅した。


 ある時はオーロラを見た。緑色の投網(とあみ)のようなものが天空から垂れ下がり、今にも地球ごと呑み込まれてしまいそうな気がした。


 ある時は危うくライオンに食われそうになった。その巨体にのしかかられた時、アカシアの木の枝を通して真っ青な空が見えた。


 気が付いた時はライオンの姿はすでになく、太陽がぎらぎらと照り付けて、サバンナの中に倒れている僕を焼き焦がそうとしていた。


 またある時は、月の美しく輝く藍色の空の下で、黄金色に輝く砂丘を彷徨(さまよ)い歩いていた。


 いつでも一人だったが、彼女のことを忘れたことはなかった。そして、自分はなぜ彼女のもとを去ってしまったのだろうと後悔した。


 誰が何と言っても構うことはなかったのに。たとえ彼女が魔女だったとしても――。


 ある時、向こうの山の峰から、うろこ雲がこちらに向かって扇状に広がっているのが見えた。空は暗かったが、雲だけが明るく輝いている。


 すると流れ星が一筋、天空を斜めに切り裂くように飛んでいった。雲はたちまち消えてしまい、代わりに星々が満天を覆い尽くした。


 やがてそれはそのままきらきらと輝きながら、地上に降り注いできた。

 僕は両手を広げ、全身で星々の光を浴びながら、その美しい世界に恍惚としていた。


 そして彼女のことを思い出した。――そうだ、彼女をここに連れてこよう。

 そう思ったとたん、地軸を中心に天空がゆっくりと回転し始めた。

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