表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
袋小路と白い魔女  作者: 葉月舟
消せぬ足跡
23/57

 二人で川に行くと、案の定福沢はそこにいた。ベンチには座らず、堤防の斜面に仰向けになって寝そべっている。


 真夜子先生は唇に人差し指を当て、そっと近づいた。

 すぐ右横に座ると、白衣のままいきなり大の字になって寝転がる。


 彼の方はぎょっとして、上半身を起こした。

 真夜子先生は構わずそのまま目を閉じている。


 僕は胸をどきどきさせながらしばらく迷っていたが、仕方なく福沢の左横に尻餅をついた。


 対岸にも堤防があって、その向こうには高い建物などは何もなく、空はどこまでも広く、真っ青に澄み渡っている。


 左手には赤い鉄橋があって、電車がゴトゴト言いながら通り過ぎていった。


「あーあ、このまま何もかも忘れて、一日ここでこうやって過ごせたらなあ」

 先生は目を閉じたまま、ふとそうつぶやいた。


 朝の柔らかい日差しが、彼女の顔と髪を明るく輝かせている。


 福沢はまた元通り、両手を頭の上に組んで寝転がった。さっきからふて腐れたように、ひとことも口を利かない。


 僕も所在なく、ごろりと仰向けになった。

 空は高く透明で、白い雲がゆったりと頭上を横切っていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ