表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
袋小路と白い魔女  作者: 葉月舟
消せぬ足跡
22/57

 真夜先生が何か言いかけたが、彼は構わずにまくしたてた。


「このままじゃ生まれてくると同時に、親から殺されたも同然ですよ。あんな親、いっそのことどこかに消えていなくなっちまえばいいんだ」


 先生は教壇をおりると、つかつかと近づいてきた。福沢の頬をいきなりパシッと平手打ちする。


「あなたの言うことは分かる。でも、親のことを消えていなくなればいいなんて、たとえどんなことがあろうと、決してそんな風に言ってはいけない。


そんな汚い言葉を使っちゃ駄目なの」

 両手を組み、身体を小刻みに震わせている。


 福沢は頬に手を当て先生を睨み返していたが、不意に立ち上がった。福沢君、待ちなさいと言うのを無視し、そのまま教室を駆け出していく。


先生はしばらくうつむいて唇を噛んでいた。やがて顔を上げて、僕の方を見る。

「たぶん、川の方に行ったんだと思います」と僕は答えた。


 校舎のすぐ近くには川があって、堤防の上の道路を僕と福沢は通学路にしていた。


自転車置き場から道路を横切って堤防をのぼると、すぐ下は河川敷になっていて、市民が憩えるようにベンチなども設置されている。


二人とも部活をしていなかったので、学校の帰りにはよくそこに座り込んでパンを食べたりしながら、とめどなくお喋りをしたものだった。


「良かった。今日の1時間目はちょうど私の授業ね。みんな御免。すぐに戻ってくるからそのまま自習してて。――さあ、あなたも」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ