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袋小路と白い魔女  作者: 葉月舟
消せぬ足跡
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「人生はリセットできないし、たどってきた足跡を、こんな風に簡単に消し去ってしまうこともできない。


みんなは自分の大切な人生が、こんなくだらない落書きみたいなものでいいの? どお、ユキチ君」


 挑戦的な目付きで微笑んでいる。

 しかし呼びかけられた方は、何かが癇に障ったのか膨れっ面をして横を向いている。


 僕も正直言って、また魔女のお説教かと少しうんざりしていた。

 真夜子先生はそんなことには一向に気づかないように続けた。


「人生はこの何も書かれていない黒板に、恐る恐る文字を書いていく作業に似ていると思う。


いい加減ではいけない。たどたどしくてもいいから、一つ一つ丁寧に、真面目に書いていくの。


 あなたたちは若いんだから、その一日一日を大切にして、何にでも真っ直ぐひたむきにぶつかっていかなきゃ。


たとえ失敗したって、カッコ悪くたっていいじゃない。そんな自分が愛おしく思える時が、いつかきっとやってくる」


 すると福沢が言った。


「先生は、今の僕たちの毎日が、さっきの落書きみたいにくだらないものだと言いたいんですか」


「誰がそんなことを言った?」

 彼女は腕組みをすると、真っ直ぐに福沢を見つめた。


 しかし福沢は引かなかった。


「いや、先生はきっと内心ではそう思ってるんです。ゆうべ両親からも同じようなことを言われて、さんざん叱られました。


このままでは、僕はろくな人間にならないそうです。


自分のことは棚に上げて、ああしろこうしろとか、あれもするなこれもするなとか、僕たちをすっかりがんじがらめにして、可能性を全て閉ざしてしまおうとする」

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