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転生先が二次元みたいな三次元だったけどエンジョイしない人達(二次元愛)の話。 えくすとら  作者: 空月


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【番外】誕生日の話。



 日付設定のある恋愛ゲームに、誕生日イベントというものは大抵存在する。攻略キャラについてはもちろんのこと、主人公の誕生日設定が可能ならば、イベントが起きないわけがない。無論、ゲームに限らず、漫画でも小説でも珍しくはない。……のだが。



「現実としてはイベントなんて起きなくていい。むしろ起きるな」


「そんな力強く言わなくとも。嬉しくないの?」


「俺は画面の向こうのお祝いだけでいい」


「それもどうよ。家族とかは?」


「夕食が豪華になるのとケーキ出てくるからそれで十分。やたら金かかったプレゼントは事前お断りしたし」


「ご飯とかケーキはお姉さん作?」


「あの人はやればできるタイプだから」


「普段はやらないわけね」


「その通り。別に、家事が苦じゃないからいいけどな」


「主夫の鑑だね」


「そうだろうそうだろう、もっと褒め称えろ」


「……どうしたの、なんかテンションおかしくない?」


「誕生日イベントはお断りだけど、俺だって人並みに記念日に心を浮き立たせるくらいの可愛げはある」


「可愛げとか自分で言っちゃうのはどうなの? っていうか人生二度目なのに浮き立つの?」


「そういうあんたは浮き立たないわけ?」


「別に、言うほどは。まあちょっとはテンション上がるかもしれない」


「似たようなもんだろ」


「さすがに褒め称えろとか言わないし」


「性格の差じゃね?」


「それは一理ある。……で、誕生日イベント起こったの?」


「起こりそうだったから逃げてきた。偽恋人サマサマだよな」


「お役にたててなにより。二次元の嫁からのお祝いしてもらうなら本でも読んでるけど……ちょっと待って」


「? いや別にそこまで切羽詰って二次嫁切望はしてないけど、何?」


「はい、誕生日おめでとう同士。一応コイビトだしケーキ買ってきた。コンビニケーキだけど」


「おー、ありがとな」


「あとこっち。プレゼント」


「……そこまでしてくれなくても良かったんだけど。利害関係からの偽恋人なわけだし」


「いやいや、この世界に一人……と思われる同士へのお祝いくらいは。って言ってもアレだよ、君がこないだ買うの迷ってたゲームの特典だよ」


「え? いやいやアレ高いだろ」


「君が言ってるのはアレでしょ、ゲーム本体と一緒に買う場合でしょ。そこは店長と交渉しました。ゲーム本体持ってるって言ったから特典だけね。『店長バラ売りしてー』って頼んだら今後の贔屓と引換にOKもらえたんで」


「……贔屓も何もいっつも行ってんじゃん俺ら」


「だから建前建前。店長の道楽でよかったよねあの店」


「うん、まあ、そうだな。……あー、なんて返せばいいか正直わかんないんだけど。ありがと。マジ嬉しい」


「喜んでもらえたなら何より。こっちの誕生日も期待してるよ、彼氏サマ?」


「それハードルすげぇ上がんねぇ?」


「そこは二次嫁相手に鍛えたセンスで頑張って」


「無茶ぶりにもほどがあるだろ……」




 ちなみにその後、家路に着いた彼から「イベント回避失敗した」との悲壮感の滲むメールが彼女へと送られたりするのだが――それはまだ、二人共に予想しない未来だった。




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