第三話 スペック把握
2019年4月10日、ストーリーの見直しの結果呪刻の設定は不要と判断し削除。
祈りが通じたのか、僕は捨てられることはなかった。
まあ捨てるのは外聞が悪いということで、病死や事故死に見せかけたりするのかもしれないが…………それもなさそうかな?
(地球の時間で)一日程経つが、母親のこちらを見る目に嫌悪や恐怖の色は見られない。ただただ心配しているだけだ。
では、当面の安全は確認出来たところで現状の把握に努めよう。
今の僕の名前はクロム・シューティングスター。つい最近産まれたばかりのシューティングスター家長男。
……黒霧流星からのクロム・シューティングスター。やはり作為的なものを感じずにはいられない。世界か。世界なのか
まあそれは置いておいて、ステータスに種族という項目があるということは、この世界には人間以外の、例えばエルフやドワーフなどの異種族がいるという事だろう。
……見たい、会ってみたい。話して生態や文化を調査したい。物凄く好奇心を刺激される。やっぱり森に住んでたり鍛冶をしていたりするんだろうか、いや先入観を持つのは…………
閑話休題、次に属性。
【火】【水】【風】【土】【雷】【氷】【木】【金】【光】【闇】の十種類。やはり多すぎると思う。父親も三つしかないようだし。さっき見た母親のステータスにも 【水】【風】の二つしかなかった。早くも自らの異常性が見えてきた。
次、魔力。異世界には付きものの謎エネルギー。
Bというのはおそらく魔力総量のことだろう。正確な区分はわからないが、これはわりと高い方なのだろう。しかし父親がB+、母親がc+なので、別段異常という事はないようだ。成長の可能性がなければ、だが……
現時点でわからないことは悩んでも仕方がない。今を見つめよう。
魔術の欄が空白なのは、おそらく僕が今まで何の魔術も修得していないからだろう。生後数日も経っていないのだから当然だが。
適性がないから、という可能性もあるが、次に挙げるものがそれをほぼ否定している。
最後に特性。天才と銘打たれたもの。
自分でいうのもなんだか、僕は前の世界ではステータスに記述されているように天才だった。それも並の才覚ではなく、千万年に一人というくらいの天賦の才。
あらゆる技術は一目見ただけで理解し、習得し、数日程度の練習で先人を上回ることができた。
天才はおそらくこれを特性として表したものだろう。なにせ中身は同じなのだ、肉体が変わったところで、失うものではないという事だろう。
しかしそんな異常性の持ち主だった僕は、当然と言うべきかその代償として人間として大きな欠陥が多々あった。夢を見ないこともその一つだ。その辺についてはなにも記述はないようだが、副次的なものであって直接関係がないが故なのだろうか。
まあそれらに関してはまたの機会に確認するとしよう。
何故ならば、現在強大な敵が襲いかかって来たからだ。今の僕では抗いようのない相手。僕は成す術もなく意識を奪われた。
その名を、睡魔と……言った…………zzz